第67話 あいさつ大事! 遅刻厳禁! 体育会系お姉さん長官(2X才)
<放送中>
「TAMA! 風邪引いたんだって? 心配したぜ。もう動いて大丈夫なのか?」
火曜。いつもの白ジャージ姿で基地にやってきた玉鍵に、サンダーバードがその大きな体格を生かして心配をアピールする。タンクトップ姿で両手を広げた彼の上腕と大胸筋は妹の雉森からしてかなり暑苦しい。
「サンダー、そんな半裸みたいな恰好であんまり玉鍵に近づくなよ」
兄のストレートな友好姿勢に花鳥が嫌そうに釘を刺す。
褐色の肌に筋肉という分かりやすい男らしさを持つサンダーに体格的なコンプレックスがあるのも理由だが、そんな非常に男性的な人物に意中の少女に近づいてほしくないという男としての危機感もあった。
「はいはい。病み上がりの子に絡まないの。ごめんね玉鍵さん」
どうしようもない男衆たちに代わって雉森が前に出る。幸い玉鍵は不快に思ってはいないようだが、口数の少ない彼女に喋らせるならもう少し促し方があるだろうと、兄と弟を刺すような目で牽制しておく。
「…大丈夫だ。ありがとう」
「~~~~っ、可愛いなぁもう! この子は!」
心配されたことが嬉しいのか、少しだけ恥ずかしそうな年下の少女に雉森の胸がきゅんとなる。もし仲の良い妹や姪がいたらこんな気分になるのだろうかと思いながら、たまらず玉鍵を抱き寄せて頭を撫でてしまった。
雉森の兄弟はマッチョとメガネ。そして亡くなった末の弟と全員男ばかり。年の近い姉妹に憧れていた彼女としては玉鍵のような妹がいたらいいなと密かに思っていた。一緒に買い物や恋愛話など出来れば最高だろうなと。
(………逆に花鳥みたいにコンプレックスを感じて、仲良くなれないかもしれないけどさ)
玉鍵はとにかく容姿がずば抜けている。同性としてこのスペシャルと比べられたらたまらないという気持ちもあった。
それに加えて知力や運動能力などの他の項目でもこの少女は群を抜いている。もし二人が姉妹だったなら、姉の自分は母のお腹にあらゆる才能を置いてきた、なんて言われるかもしれない。
雉森が唯一勝っているところがあるとすれば、それはちょうど玉鍵の顔に押し付けている胸の大きさくらいなものだろう。
「姉さん、玉鍵が窒息するよ」
人に注意しておいてなんだ、という呆れ顔で弟が玉鍵から姉を離そうとする。それを身を翻して躱した雉森は、手に掛かった少女のサラサラの髪の毛を堪能してから体を離した。
(すごくサラサラで、良い匂い。後でどんなシャンプー使ってるのか絶対聞こう)
匂いのほうは玉鍵本人が由来かもしれないと思いつつ、年相応の女子の顔が出た雉森はそう頭のメモに記載する。
「学校からすぐ
サンダーの言葉に頷いた玉鍵は『戦果』についての話だろうと淡々と答えた。
(あの海洋の敵……もしくはその前の宇宙戦艦の可能性もあるわね)
これまでの戦闘記録に無いほどの極めて大きな戦果を挙げたパイロットである玉鍵。その報酬や戦利品の買い取りも莫大な金額になることが予想できる。下手をすれば国家規模の組織でも即金は用意できない額かもしれない。
ならば支払いの猶予の調節のために、受取人と相談することになってもおかしくはないだろう。
「今後は詐欺に気を付けたほうがいいぞ。おまえが金持ちだってみんな知ってるわけだしな」
(……この、バカ花鳥)
弟からすれば心配しての言葉なのだろう。しかしそれならそれで言いようがあるだろうと、雉森は弟のデリカシーの無い発言に呆れた。せめて前半分だけで済ませればいいものをと。
「お金を貸してとか、奢ってなんて言うヤツは相手にしないことだ。そういうヤツほどいざって時に目を合わせないからな」
うんうんと頷くサンダーに玉鍵も実感が籠った頷きを返す。おそらくもうそういった連中に遭遇したのだろう。
「しつこいようだったら私に教えて。学校の生徒だろうが基地の人間だろうが、私がそいつのあらん限りの悪評流してやるから」
最近見なくなった評判の悪いオペレーターのように総スカンを食らわせてやると、雉森は年下の少女を勇気づける。
もちろん玉鍵であれば平気であろう、しかし平気だから心配されないのは寂しいはずに違いない。ここは年上として頼れるお姉さんを演じるべきだと雉森は胸を張った。
(私はそのくらい思っておかないとダメ。じゃないと、ついつい玉鍵さんに甘えちゃうのよね……)
これほど美しい少女だというのに、まるで年上の男性のような不思議な頼りがいを感じることがある玉鍵。その懐の深さに甘えがちな自分に活を入れる。すでに自分たち兄弟は返し切れないほどの恩を受けているのだから。
「ありがとう、そのときは頼む」
(うぇへへへへっ)
クールでどこか男らしい雰囲気を持つ少女の照れた顔。そのギャップに雉森の嗜好がギンギンに反応する。
そんな妹、姉の姿に男兄弟たちは二人で白い目を向けた。これで普段は才女と言われているのだから世の中分からないなと思いながら。
「不躾な話なんだが……月影、エイジというパイロットからガンドールの面子と会いたいと仲介を頼まれた。会う気はあるか?」
わずかに会話が途切れた時、少し申し訳なさそうな雰囲気でそんなことを切り出してきた玉鍵に雉森たちは三者三様に反応した。
サンダーは思案するような表情で顎に手をやり、花鳥は神経質にメガネの山を指で持ち上げて嫌そうな顔をする。
そして雉森はストレートに困った。
宇宙での厳しい状況下において、それでも玉鍵に月影エイジを助けてほしいと言ったのは雉森本人である。しかしいざ月影が生還すると顔を合わせるのが気まずくて、意図的に彼の事を避けていた。
雉森たちは全員が異母兄弟。その関係性を知ったのもそれぞれがパイロットになってからで、こうして自然に一緒にいられるようになるまでには感情的な衝突もあった。
これは理屈ではない。同じ無責任な父の血が流れ、不幸な母を持つ同士の近親憎悪とでも言おうか。特に初対面ではお互いに理由が分からない強烈な嫌悪感を抱いて、四人で大喧嘩をしたものだった。
それでも最年長のサンダーバードが初めに折り合いをつけ、根気よく雉森と花鳥、そして最年少の大鷹に向き合いついに四人は兄弟になったのだ。
あの心がしんどい作業をもう一度やる、それは中々に大変だ。母親の違う兄弟を受け入れるというのは。
「よし、会おう」
「サンダー!?」「兄さん?」
「オレたちだって向き合ったんだ。後から知ったからって、初めから無視するのはFAIRじゃない」
ぐっと言葉に詰まる弟の肩を兄が叩く。そう言われたら逃げている自分がズルいと感じ、雉森も観念の溜息をつくしかない。
「無理に仲良くしてくれとは言わない。あくまで要求は会うだけだ」
「HEHE! 玉鍵が気を遣うことはないさ。これはオレたちFAMILYの問題だ、むしろ巻き込んで悪かった」
(うん。やっぱり男前ねサンダーは)
多少暑苦しく思う事もあるが、変な意地を張らず素直に物事を進めるその姿勢はやはり好感が持てる。年上の彼の飾らない素直さがあればこそ、雉森も花鳥も異母兄弟に軟化することができたのだろう。
「お詫びと言ったらなんだが、後でパーラーのケーキでも食べないかTAMA。もちろんオレが奢るぞ。実は基地から報酬が出てな」
(そして中々に踏み込みがうまいわね。自然にこの後で会う約束を取り付けようとしてる。結構ちゃっかりしてるわコイツ)
雉森たち引退した人間が今日基地に来た理由は、事務の手続きと残っている仕事の引き継ぎのためだ。
敵の地下都市侵入から今日まで、前長官とその息子の出来事もあってメチャクチャになっていた基地の運用。それをボランティア覚悟で支えた者たちに、それまで沈黙していた国から急に報酬が出ることになったのだ。
(新しい女性長官が国に働きかけてくれたって、獅堂さんが言ってたのよね)
彼らは勝手に手伝っているだけと無報酬を決め込んでいたらしい国に、彼女は猛然と抗議していくつかの臨時予算をもぎ取ったのだという。
なおその予算の出所は、最近逮捕の話が相次いでいる星天一族の莫大な資産のごく一部であることを雉森は知らない。
「分かった。じゃあ後で」
「……………………………
去り際の玉鍵から了承の言葉を貰い、大きな手を胸元でピコピコ振って見送ったサンダーは彼女が廊下の向こうに消えたとこで渾身のガッツポーズを取った。
「こうやって取っ掛かりを作るんだぜ?
「ふんっ!」
調子こいた兄のドヤ顔に花鳥が心底嫌そうな顔をしてソッポを向く。意中の相手に兄から先手を打たれた弟の心中は複雑だろう。雉森さえ若干イラっとくるドヤ顔であった。
「私たちの事といい、新しい長官は有能で精力的ね。
少し空気の悪くなった場を変えるため、少し唐突だが雉森は兄弟が食いつきそうな話を振る。この裏の意味に気が付いたサンダーが『調子に乗りすぎた』という顔で苦笑いをした。
「……エリート層に直接コネがあるみたいだね。でなきゃ
遅れて姉の意図に気が付いた弟が話を繋ぐ。
スーパーロボットの建造と解体、そして一般層への納入のサイクルはスケジュール化されており、簡単に予定外の機体を割り込ませることは難しい。最悪は野ざらしにできる地表と違って、地下都市である一般層には『置けるスペース』にどうしても限界があるのだ。
地下駐車場のように地下へ地下へと潜らせてロボットの格納スペースを確保しているが、さすがに限度というものがある。
「TAMAの実績ありきだろうがな。どんな戦利品が出たのか一切発表されてないあたり、相当なRARITYだろう。エリート共のサイフも緩むってもんだ」
「その機体を一発でスクラップにしてたら
花鳥は獅堂への恩返しとして主にロボット整備の仕事を手伝っていた。その縁で今日も整備棟に顔を出した彼は、知り合いである玉鍵付きの整備士たちに話を聞いている。
プロトゼッターは破損が酷く、獅堂整備長の判断で使用不能。既にエリート層へ送り返す予定らしい。
「それだけの戦闘だったということよ。映像を見たけど、玉鍵さんがいなければ死んでるわ」
「……あの二人でさえ実力が釣り合ってないか。SIMULATIONの対戦戦績で最上位を争っている二人なんだが」
不動の1位は負けなしの玉鍵で固定されている。シミュレーションの成績を競う面々からは玉鍵との対戦だけ『殿堂入りだからノーカン』扱いをされているらしい。
「メインパイロットに拘るあいつにプロトゼッターは合わないかもね。ほとんど二人のお守りだったみたいだし」
変形によってメインパイロットが交代するプロトゼッターは、厳密に言えばそれぞれが
「……玉鍵さんが乗るべき機体があるとしたら、どんなものかしら」
「そうだね……単機でなんでも出来る機体かな? それに支援用のオプションを充実させた豪華な機体がいいと思う。あいつなら腐らせないよ」
いつかあの少女に感じた孤独性を裏付けるような弟の言葉に、雉森は少し悲しくなった。
天才は孤独。玉鍵はその実力の高さゆえに他のパイロットと足並みが揃わない。もし自分から合わせてしまえばチームメイトとの関係はギクシャクするだろう。かと言って実力そのままに戦えば、ついていけないチームメイトたちは危険になる。
そしてそれを庇っていたら、いずれ玉鍵自身が命を落とすことになる。自分が死ねば仲間もまた道連れになると知りながらも。
彼女はメインに拘る。しかしそれはもしかしたら少しズレた評価だったのかもしれない。
――――あの心優しい少女は、本当は『単機』に拘っていたのではないか? 誰も死なせなくて済むように、戦場でたった一人であることを望んでいたのではないか?
けど、玉鍵だってひとりぽっちはどうしても寂しかったのかもしれない。そのギリギリの妥協点が『メイン』であったなら。
考えすぎかもしれない。だけど、雉森はあの孤独な少女の胸の内を思い心が締め付けられる気分だった。
<放送中>
「こんにちわ。タマ」
「おはよう」
作戦室の横に備えられた小さな会議室で、予定時刻より早く来ていたキャスリンは、時間ピッタリに現れた白いジャージ姿の少女に軽く手を挙げて挨拶した。
(風邪を引いたと聞いたけど、元気そうね)
玉鍵は声も挙動もしっかりしており、さらに言えば身嗜みにも隙が無い。彼女の腰まである長い髪の手入れなどかなり面倒だろうに、その艶とスタイルにはいささかの不備もなかった。
(スタイリストでもいるのかしら? 誰かを雇って身の回りの世話をさせるだけのお金もあるだろうし)
キャスリンの聞いた話では彼女はひとり暮らし。最近チームメイトの一人と同居したらしいが、別に召使いとして雇ったわけではあるまい。それに同年代の少女にプロのスタイリストほどのスキルは無いだろう。
何気なく隣に座った玉鍵から香ってきた甘いにおいに、キャスリンは自分の心臓がドクンと揺れたのを自覚してコンセントレーションを開始する。
(タマは女、私も女。私はレズビアンじゃない。タマも違う)
「……どうした?」
「気にしないで、ちょっと
キャスリンを見る吸い込まれるような透き通った瞳。口数が少ないながらもこちらを心配していると分かる優しい声質。そのひとつひとつにクラクラしながら
そのたびに隣の少女の香りを肺いっぱいに嗅ぐことになっていることに気が付いたとき、キャスリンはピタリと呼吸を止めた。
(意識を沈めろ。キャスリン・マクスウェルは冷静沈着、天才マックス。私はクール)
「か、かじゅ――――風邪は大丈夫だった?」
(噛んだぁぁぁぁぁッ!!)
それでも意地で言い切った。しかし噛んだのは明白であり、キャスリンは急速に顔へと血が上ってくるのを自覚して泣きそうになる。
「ああ、もう平気だ。……キャス、おまえは大丈夫か? 顔が赤いぞ」
大丈夫、そう言おうとしたところに透き通るような白い手がキャスリンの額に添えられる。吸い付くような手のひらの感触に全身が硬直し、それが安全なものだと体が理解したあとは無意識に弛緩してしまう。
(優しい手……)
幼いころから周囲に天才と呼ばれ、普通の子供とは違う接し方をされてきたキャスリン。年齢を問わず優秀な
キャスリン自身もその高い知性から、彼女に無理解な大人に頭ごなしで子ども扱いされるのは嫌いだった。
同年代の少年少女もひどく愚かに見えて、彼らの年相応の幼稚さに付き合いきれないと思ったことも一度や二度ではない。
けれど――――――そんな肥大化した自我を抱えながらも、キャスリンは心のどこかで子供として扱ってほしい自分もいた。
この子なら心配いらない。いつからかそう言われたときに感じる小さな棘が、時折心の奥にチクリとして――――少し苦しかった。
だからだろうか、『任せろ』とたった一言そう言って、キャスリンの窮地に手を差し伸べてくれた玉鍵が眩しかった。
たとえ失敗しても、背中にいる大きな誰かが自分を受け止めてくれる。あの戦いにおいて、キャスリンは他人の頼もしさを久々に感じた。もう親からも感じなくなった全能の守りを。
「おはようございます!」
盗聴対策のために密閉されているドアがプシュリという音を立てて開いたとき、キャスリンはコンマの判断で弾かれた様に姿勢を正す。
突然の行動に呆気に取られている玉鍵に申し訳ないという気持ちが湧き上がってくるが、高い知性がプライドとなっている少女にとって、誰かに甘えている姿とは決して見られるわけにはいかなかった。
「おはよう、ございます」
「………おはようございます」
入ってきたのは高屋敷長官。見るからに体育会系らしい彼女の元気な挨拶を受けて、落ち着いて立ち上がった玉鍵がそつなく挨拶をする。それに釣られてキャスリンも同様に挨拶を交わした。
「んー、ヒカルちゃんはまだか。ならジュースでも飲んでお喋りして待ってよっか。お姉さんがパーラーのデリバリーを奢ってあげよう」
タイトなスーツ姿の高屋敷は腰に手を当てて部屋を見回した後、最後のメンバーが来ていない段階では話せないと判断したようで、そんな事を言い出す。
その後、さして口数が多いほうでないメンバーが二人いるにもかかわらず、高屋敷はキャスリンが精神的にヘトヘトになるまで喋り続けた。
途切れることなく続く怒涛の会話の波は、隣の少女に感じていたキャスリンの気恥ずかしさも激流のように押し流していった。
(ゼッターはスクラップか。悪いことしちまったな)
集まる時間に20分遅れてきた
話自体はすぐ終わったからその足でパーラーに行って、約束通りサンダーにケーキを奢ってもらったのはいいんだが……ガンドールの面々はケンカでもしたのかね? 花鳥のヤツが終始不機嫌だった。月影の事でまだ意見が分かれてんだろうな。
学校で『病み上がりなんだし、今日は訓練せず帰ろうね』なんて妙に圧のある笑顔で初宮に迫られたし、兄弟の話に立ち入るのもアレだからケーキ食ってすぐサヨナラしたがね。
……初宮、あれで親の言いなりだったってんだから刷り込みは怖いねえ。
《炉心が
(基本を強調するな。なんか恐いわ)
《直ちに影響はにゃいっ。キリッ》
(誤魔化し方が雑すぎる。影響が出るころには責任取るヤツなんざいないんだろうな)
《どうせ『因果関係は確認できない』って言い張るだろうから同じジャネ?》
はっ、和解はしても罪は認めないのがお国ってやつだからな。今も昔もよ。
《なお基本無料ですが課金しないと話になりません。回してどうぞ》
(どこのボッタクリガチャだ)
《こんなスーツちゃんに一言だけ言わせてほしい》
(どうぞ)
《データガチャはともかく、実物のガチャってもう出てくる順番決まってるようなもんじゃん? 補充のたびにレアをひょいと除けて上に乗せたら、もうずっと出―――》
(大昔の田舎の駄菓子屋みたいなやり口だなッ!? いや駄菓子屋なんてオレ世代でもリアルじゃ知らんけどっ)
まだ『Fever!!』が出てくる前の、さらに前の時代だろ。古典マンガやアニメなんかにたまに出てくるレトロな個人店舗だ。作品によっては小遣い握りしめたガキたちと、何ともしみったれた攻防を繰り広げていたりする。まあそれがおもしろいんだがな。
時間のかかる煮込みの時間なんかに電子書籍を暇つぶしで見たりしてるが、ああいった古典マンガのデータも多くが消失してるから巻数飛びだらけなんだよなぁ。
何巻か飛んだところから読むと突然新しいキャラが出てきたりしてスゲー困惑するわ。そのキャラのエピソードが歯抜け巻でまるっと終わってたりすると、作品の最後まで『誰?』状態だもんよ。
まあいい。今日は訓練なし、乗機の問題も
「あっ、玉鍵さーんっ! お帰りーっ」
こっちと違ってちゃんと訓練を終えた初宮たちが基地の出口付近で待っていた。ここは無駄にクソ広くて搬入口みたいな場所になっている。
なんでも建築当初は駐車場に車両を停めず、そのまま車やバイクで格納庫に飛び込んでロボットの緊急発進することを想定して広く作ってたらしい。
まあ実際はお行儀よくSワールドへ順番に出撃するわけで、想定は無駄に終わっちまったがな。ただ都市防衛に関しては以前の
同じく都市防衛用に小型のスーパーロボットを配備すべきって話もあるんだと。実現してもまあまあ先の話だろうがよ。
「(悪りぃ、)待たせた」
「全然。高屋敷長官の話、してもいいお話なら後で聞かせてね」
(ゼッターが潰れた事と、今回の戦利品報酬はもうちょっと待ってって話だけなんだがな)
《きっとなまらスゴイものが出たんだろうねー》
(なまらって何だ?)
「それと玉鍵さん、なっちゃんに話があるみたいだから聞いてあげて」
「(あん?)どうした夏堀」
「大家さん! 私を店子に加えてください!」
90度に腰を折って手を伸ばしてくる夏堀。ボクとお付き合いしてくださいっ、とか言いそうな姿勢だなオイ。しかし店子とか古い言い回しを。
(寺子屋か)
《? それを言うなら長屋じゃ。低ちゃんの助よ、おぬし素で間違えたでゴザルな?》
(ぐっ、おい恥ずかしかぁっ!)
《介錯しもす。口に紅を引けい》
(この程度で切腹しねえよっ)
これで三人か、広い寮がちょっとは賑やかになりそうだ。
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