第61話 目覚めろ! ゼッター3!!

 定刻通り一般層の天井、岩盤手前に開いた新しいゲートに飛び込む。


《ゲートを通過、回廊に突入。シャトルの出現まで速度・方向このまま》


(オーライ。1号、2号を目視。3号は直進する)


 ゲートからSワールドに向かうための短い異空間の回廊。いかにも不思議空間って感じで虹色に煌めいちゃいるが、こんないい加減な・・・・・空間が現実にあるわけが無いわきゃねー。オレたちは『Fever!!』に何を見せられているんだろうな?


《シャトル出現。ちょい早いかな? 減速、減速、ピタリ。コースはこのまま。同期位置まで7秒》


 前方には先行した1号機と2号機がゆっくりの旋回を中断して、シャトルに合わせて直進する姿が見えた。

 ゲートは一度入ったら戻ることは出来ないが、異空間回廊を旋回する程度のことは出来る。合体機チームはこの回廊で先行機が待ち、後発と編隊を組んでSワールドに突入するのがセオリーだ。


 まれにケンカとかして仲悪いと、ここで組まずにバラバラで入ってくタコもいるがな。そういうタコはだいたい手痛い目に遭って後悔することになる。ケンカするくらいなら単機を選んどけや。


 過去にこの回廊で滞在できるか試した実験ってのがあったらしいが、残念ながら一定時間で中の人間ごと機材が粒子化して『分解』しちまうって無情な結果が出ただけだった。

 人類らしいズル・・の模索はもちろん、マシントラブルで立ち往生みたいな偶発的なものでも区別なく、やっぱ同様に消えちまうらしい。


 というかつーかまあ、変にここに住めたら絶対コロニーとか建造し出すだろうしな、人類は。どこにでも生息域を広げたがる生き物だし。『Fever!!』が予防措置を取るのも納得だよ。


(同期準備……チッ、ちょいズレたか?)


《ダイジョブダイジョブ。回廊ここで目視は信用しないほうが良いゾ。安定の計器飛行ジャ》


 スーツちゃんの言う通り計器上は予定通り。なら問題無しとして、そのまま計器とにらめっこしながら背後から迫るシャトルとコース・速度を同期する。


 これは早くても遅くてもよくない。指定したフィールドにいつ着くかは、長い事観測した今でも未だにわっかんねえらしいのだ。もしかしたら回廊の移動時間やフィールドの違いは無関係なのかもな。


 そして実はこのシャトル、人類製の物じゃない。出撃の日にどこからともなく飛んできて、パイロットの出撃と帰還を手助けしてくれる謎のお助けメカだったりする。


 操作のおぼつかない新米ペーペーにはドッキングもしんどいが、これが無いともっと大変だ。なんせこいつが設定されたゲートへオレらを導いてくれる、一種のナビゲートの役割をはたしているんだからな。


 同期を逃すと戦闘フィールドがランダムぶっぱ。乗ってるロボットが想定していない戦闘区に飛び込んで、戦うまでも無くデッドエンドなんて事もありえる。


 このドッキング作業があるせいで陸戦機はキツい、なんて言われたりするくらいだ。帰りは同期とか無関係で一直線とはいえ、飛べないロボットは結局くっ付いて帰らにゃならんしな。


(んっ? 今嫌な振動が来たぞ!? スーツちゃん!)


 ほんのちょっとのガスッ、って感じの振動。けどこの嫌ゃーな感じは覚えがある。放っとくと絶対ヤベーやつだろ!


《メインエンジン出力、低下の予兆》


 チィッ、出撃して早速コレか。ゼッターこいつはサブだけじゃ飛ぶのもままならねえんだぞ。回廊で墜落したら死んじまう。


 回廊ここに陸地なんざ無い。時間切れで消滅するまでどこまでも落ちていくことになる。さながら何千年もかけて落ちるって話の阿鼻地獄のように。こっちは地獄行きまでそこまで掛からんがなっ!


(サブエンジン! 出力セーブ解除! 動力制御バルブ1番から4番まで解放、メイン炉心の増幅を補助だ! 起きろゼッター!)


 こちとら緊急時のトラブル対処はシミュレーションで一通りやってんだ! 頭上にある無数のハードスイッチ群からサブエンジン関連のスイッチを弾きまくる。


 抑制していた出力が一気に増幅され、ここで目に見えて不安定になり出していたメインに水素エンジンで得た強引なパワーアシストが加えられる。


 居眠りしかけて尻切れになったメインエンジン目掛けて、働き者の補助動力によって蹴りを入れられたゼッター炉が跳ね起きる。計器では低下していた出力波形がドンと跳ね上がったのが見えた。


(急すぎるか? 動力バルブひとつ閉めるぞ)


 タッチパネルもハードスイッチも状況によって善し悪しだ。けどオレは振動する操縦席でも確実な操作ができるハードスイッチを推すぜ。なんせ目が潰れても触ればオンオフが分かるからな。日頃から訓練してれば押し間違えない。


待ったタンマ。メインエンジン出力波形、安定値までサブこのまま増減無し―――うん、安定したぞい》


(ふぅ……イタズラ小僧め、試作機とはいえ気紛れが過ぎるわ過ぎらぁ。さっきまで良い子だったのによ)


《シミュレーションは出来ても実機の運用は出撃日くらいだからねー。地上で整備上のコンディションチェックだけじゃ限度があるから》


 そのうえ試作機となりゃなおさらか。しかも急遽組み直したらしいロボットだしな。ホント無茶なモン押し付けてくれるぜ。


「3号機だ。メインエンジンに不調の兆しがあった、そっちも注意してくれ」


 どうも運の悪いオレほどじゃなくても同じパーツ機だ。似たようなタイミングでトラブルが起きる可能性がある。家電とかだと同じ会社のヤツは似たような時期に壊れるしな。


Z01.<は? 問題ねえよ、こっちは三島がせい―――>


Z02.<02りょうか―――>


 正面やや右を飛んでいた1号機、同じく2号機の噴射口から一瞬だけガスッ、ガスッ、という嫌なノズル炎が吐き出される。


「おい! ノズルが!」


 二機が同時にフラリと揺らぐ。1号も2号も3号も、パーツ機の推進力を担保するのは二基の噴射口。どちらか一基正常なら通常航行に支障はない。


 だが、目の前の二機はふたつのノズルが同時に異常をきたした。それはつまり、エンジンの根元であるゼッター炉に問題が起きた事を示している。


Z01.<なんだ!? 急にパワーがっ、クソ!>


 推力バランスを崩した機体がフラフラと外側に逸れていく。それでもマクスウェル側が咄嗟に1号機から離れる形に流した・・・から、最悪の場面で激突事故だけは避けられた。 


Z02.<メインエンジンに異常発生! 出力低下!>


「サブの出力を上げろ! メイン制御は後だ!」


 エンジンの暴走なら真っ先にメインをカット。慣性飛行が出来るうちはサブで持たせて、お祈りでメインを叩き起こすしかない。こっちは正直賭けだ。強制停止した炉心を短時間で再始動させるのはかなり難しいし危険だからな。


 逆に出力低下ならずいぶん楽だ。さっきのオレみたいにサブの出力で寝ぼけたメインを引っ張って、安定するまで高出力で補助を続けるだけでいい。


《ワイプ画面を見る限りキャスちんはまだしも、ヒカルちゃんはリカバリー不慣れ、いや全然ダメみたい》


 クソ馬鹿が! 実戦は得点だけ取って済むゲームじゃねーんだぞ! ロボットの不調で自分が死んだらどうやって文句言うつもりだ!


綺羅星きらぼし! エンジンカットだ! 慣性飛行で飛べ!」


 今素人のタコにあーだこーだと操作法教えてどうこうなる状況じゃねえ。スイッチひとつ見つけるまに墜落しちまう! 機体の飛行を安定させる作業に集中させたほうがいい。そっちは機材トラブルと違って散々やってんだろうからな! タコが!


Z01.<な!? カットしたら落ち―――>


「(直せないグズは)黙ってろ! Sワールド向こうで合体して拾ってやる!」


 出撃枠のズルを防止するためか知らんが、回廊ここじゃどんなロボットも合体出来ない。拾うにしてもSワールド向こうに行ってからだ。


 だから! 変なところに飛び込まないよう妙なところを弄るな素人が! クソクソクソッ! 真面目にやってやがるなと思ってたのに! とんだタコパイロットだぜ綺羅星きらぼしッ!!


《予定ゲート出現。マズいね、このままだと1号機が出口から逸れるよ》


 この場合Sワールドへの入口と言うべきか、回廊の出口というべきかどっちかねって……ああクソッ、世話の焼ける!


(しゃあねえ! オプション破棄だ! もったいねえ!)


 満載していた追加装備を回廊に投棄。大小5基の魚雷が胴体と翼から切り離され、高価な装備が使われることなく虹色の世界を落ちていく。 


「ゲートに押し込むぞ! 操縦棹ガッチリ握ってろ!」


Z01.<無茶す、うわぁ!?>


 身軽になった3号機を一気に加速させてフラつく1号機の横につけ、タイミングを見て主翼の端を1号の胴体にぶつける。


 嘘か誠か、大昔の迎撃機はこうやって弾道ミサイル落としたらしいぜ!


《うひょー、無茶苦茶するぅ》


 より大型の3号機に機体をブッ叩かれた1号機が重量負けして、うまいこと進行方向がゲート側に逸れた。


(他にやりようがねえんだよ! スーツちゃん、2号機は付いて来てるか!?)


《なんとか持ちこたえてる。でもメインとサブの出力調整がうまくいかないみたい》


 マクスウェルはアクシデント時の訓練も一応してたようだが、いかんせん掛けた時間が少ないんだろうな。

 スーツちゃんのいるオレと違って、機体の操作にトラブル対処、そのうえ繊細なエンジンの調整までは手が回らねえか。


「マクスウェル! そっちもメインを切れ! こっちで拾う!」


Z02.<くっ……頼むわ!>


《低ちゃん、さすがに二機の面倒は大変ゾ?》


(合体機なんでな! 撃たれでもしないかぎり見捨てるわけにゃいかねえんだよ!)


 正直なところ綺羅星きらぼしのほうは捨てちまいたい気分だ。けど一度助けると言っちまった以上はやるしかねえ。


《しょうがないにゃあ。スーツちゃんも真面目にサポートしてしんぜYO。はい突入だよん》


 ぶつけた反動でやや逸れていた3号機をバンクさせ、ゲートのど真ん中を突っ切る1号機に背面で被せる形でオレも飛び込む。どっちも無駄に突起があるから接触に気を遣うったらないわ。


Z02.<凄い…>


 オメーはこっち見てねえで機体制御に集中しろ!





 飛び込んだゲートの向こう側。虹色の世界が一瞬で青一色に。そしてすぐさま白が混じる世界が広がった。


 こんなときでも無ければ感動モンの光景。


 青い空と白い雲。そして空とも違う青い海が視界いっぱいどこまでも広がっている。


 ――――これが海洋フィールド。


 土の色が何ひとつ無い青と白だけの世界。かつての宇宙飛行士が、生命の青という聖なる色だけを口にした光景の源。


(きれいだ…)


 訂正だ。こんな時でも感動しちまうくらいきれいな青だ。クソみたいな世界で汚れ切ったドブ色の水を、人の手でろ過した生活水なんておよびじゃねえよ。


《おー、低ちゃんの心が子供になってる。環境映像として録画してあげようか?》


(―――へっ、いらねえよ。ずっと見てたらうらやましくて泣いちまうわ。パイロットの見るモンは計器と照準で十分だ)


綺羅星きらぼし! そのまま真っすぐ飛んでろよ! マクスウェル! そっちはできるだけ高度を維持しろ!」


《合体準備。ゼッター炉、出力増幅。変形モードスリー


 こっちの速度を減速することで、必然的に1号機が前に出オーバーシュートする。その場で回転ロールして向きを調整。


「《チェンジ! ゼッター、スリー!》」


 合体宣言を受けて1号機後部の二基のノズルが分かれ、3号機の機首が収まる余地が生まれる。


 1号の、そしてそれ以上にトンガリだらけの3号機のスーパーなフォルムは空気抵抗受けまくり。

 全力でぶち当たってくる気流のせいでガクガクとブレる二機の戦闘機。飛ぶことに関しちゃパワーでなんとでもなるが、この空気抵抗由来の微妙な振動はパワーじゃ抑え切れねえ。


 合体ズレの許容限界は2.5度。ぜってーそれ以上にブレブレの大激震だぜ。チクショウめ!


「《ビルド・オン!》」


 覚悟を決めたらやるだけだ。推力を上げ突撃する。この合体はシミュレーションで何度もやったが、自分から壁に激突しに行くみたいで恐くないとはとても言えねえわ。


 前だけじゃなく左右のノズルも迫ってくるような視界の中、密着したコックピットが外界の光から遮断されて暗転する。合体を受けてすぐさま風防キャノピーが発光し、メインモニターとして機能し出した。


 内部機構に埋まったはずの正面が、1号機のカメラを介して風防キャノピー型モニターに世界がクリアに映し出される。


《1号機との合体成功。3号機1号機、共に変形開始》


(飛行能力を優先だ。今は腕とか出さんでくれよ)


 ゼッタースリーはこの状態でも上半身だけのロボットとして機能する。足になるのは2号機だ。足が無いとホバリングみたいな状態だから腰の強さが出ないがね。


 ……まあ足と言ってもこいつは戦車とかで見る履帯式なんだがよ。いやまあ、嫌いじゃないんだ、嫌いじゃ。ちょっとドン臭いフォルムだなーと思うだけで。


 ともかく今は残りの2号機と合体だ。ロボット形態にならず戦闘機の連結状態で降下する。


(スーツちゃん、1号のサブエンジンを叩き起こせ! メインは後だ!)


《はいな。サブエンジン出力上昇。制御バルブ1番から4番まで―――ヒカルちゃん変なスイッチ入れたかな? 4番にトラブルの可能性あり、1番から3番までを使用。4番は停止。3号の出力を回すね》


(ケッ、『なにもしてないのに壊れた』の典型だな)


 機械ってのは物知らんヤツがガチャガチャやるのが一番ダメージになるんだよな。終いにゃ直ると称して殴り出すのが機械オンチってヤツだ。


 知ってるか? こういうヤツは潜在的に生き物も殴って言う事を聞かせるタイプなんだぜ? もし知り合いで機械相手にバンバンやってるヤツがいたら、そいつより強くない限りは深く交流は持たない方がいい。


「っ、綺羅星きらぼし! 操縦が干渉する、スティックを動かすな!」


 初めは気流のせいかと思ったが、どうもタコがスティックに変な力を入れてやがるな。


Z01.<オレに命令すんな!>


「命令じゃない、要求だ―――約束を破るつもりか、綺羅星きらぼし


《お、低ちゃんガチトーン》


Z01.<~~~~っっっ、クソォ! ゆ、操縦権移譲ユーハブ!>


移譲確認アイハブ


 ―――分かりゃいいんだ。


(遅れた分取り戻すぞ。海面まで―――5000、十分だ)


《炉心の再起動時間をお忘れニャク》


 っと、そうだった。一発で掛かる保証も無いんだな。


「マクスウェル! 行くぞ!」


Z02.<キャスと呼んで、信じるわよタマ>


《おぉ、キャスちんがデレた》


(戦闘区で手早く呼ぶためだろ。合理的とか最適解とか好きそうだしな)


「任せろ」


 流れてきた雲の下に消えた2号機を追う。白い世界を突っ切ると、サブエンジンだけでどうにか姿勢制御をして墜落を遅らせている、健気な灰色の機体が海の青の中にすぐ見えた。


(合体準備! 2号機のドッキング位置を確認)


《2号機、合体に向けて変形開始。機体上面中央が開口。気流がさらに乱れるからキャスちん姿勢制御が大変ネー》


(そこに突っ込むコッチもな!)


Z01.<っ、っ、く>


 モニター上は3号機の正面に視界が通るが、実際には1号機を前にしてドッキングしている状態。

 それも操作権をこっちに渡している以上、綺羅星きらぼしは勝手に動くジェットコースターでグングン迫りくる2号機をコックピットで見せられることになる。恐いのは同意するがそういうロボットだ、ぼちぼち慣れろ。


 シミュレーションでも微妙にビビりが入るのがテメーの合体不調の原因だ。見かけの威勢の良さのわりに、実は根っこが臆病なタイプかもな。むしろビビりだから声を張り上げてんのかもしれねえ。


《! エアポケット! 減速減速!》


「チッ」


 いざ合体、といった瞬間に急激な操作感覚の落差を感じてスロットルを戻す。大気流の中に稀にある隙間ポケットってヤツを通過したようだ。自然現象は人の都合なんざお構いなしだな。


 Sワールドここを自然と言っていいかは知らねえがな!


(抜けた、もう一度だ!)


 今度こそ完全な垂直降下で2号機の背に突き刺さる。通信音声で綺羅星きらぼしの小さな悲鳴が聞こえたが、これでおまえのジェットコースターは終了だよ。お疲れさん。


(機体制御を3号機で掌握。1号2号メインエンジン再始動用意)


《サブエンジン1号機は三基。2号、3号機は四基をフル使用。全動力制御バルブ同調開始》


Z02.<海面まで4000―――3500!>


「《点火コンタクト!》」


《―――失敗! 再点火まで5秒!》


(3号機のメインもブン回せ! この高度から戦闘機形態なんぞで着水したらゼッターが無事でも中身のオレらが粉々だ! 炉心安全圏なんか知るか!)


Z01.<か、かからねえぞ!?>


「もう一度だ!」


Z02.<高度2500!>


 やいこらゼッター! てめえ何スネてやがる! 正規のロボットが生まれてお払い箱が気に入らなかったか? 今さら引っ張り出されて迷惑だってか?


《再点火準備! 高度的にあと2回が限度!》


 ふざけんなよ? テメエは武装のついた立派な戦闘用だ! 試作だろうがポンコツだろうが武器がついた時点で戦う兵器だ!!


「《点火コンタクト!》」


《失敗! 再点火まで5秒! マズイマズイ、これマズイって!》


Z01.<……マジかよ、おいどうすんだよぉ!?>


「もう一度!」


Z02.<こ、高度1500!>


 ふざけんなよ? 人間だってガキだろうが女だろうが弱虫だろうが、敵から見れば武器を持ってるヤツはひとり残らず戦士なんだよ!!


《再点火準備! ラストワン!》


 ―――戦うロボなら、戦士のロボなら、スネるプライドがあるなら! 戦いやがれ!!


「《点火コンタクト!》 ―――吠えろ! ゼッタースリィィィィー!!!」


《―――来た!? 1号、2号、ゼッター炉再始動! 3号炉と同調開始!!》


よっしゃあしゃあっ!! 各部最終変形! フレキシブルアーム生成、履帯を展開!)


Z01.<!? う、動いた!!>


Z02.<高度500! タマ!>


「着水に備えろ! このまま降りる。噴射一杯!」


 どうあがいても今から噴射かけたって落ちる。これは着水の衝撃緩和のためだ。それに今から分離して、まぁーた炉心にヘソ曲げられたらたまんねえ! こうなりゃサブが焼き切れる前に一度全開でゼッター炉を吹かしてエンジンの煤払いだ。


 おう寝坊助野郎のゼッター、オレにこれだけやらせてクソ弱かったら許さねえぞ! 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る