第52話 校則に『学生らしい下着を着用のこと』とある学校はわりと狂気の産物だと思う
……朝か。どんなに疲れていても生活習慣からくる起床ってのは身体に染みついているもんで、いつもと同じ時間に目が覚めちまうもんだな。それに今朝はそれに加えて目覚ましもひとつ多いし。
《おはよう低ちゃん。『月曜日』が現れた―――コマンド?》
「モンスターか、いやモンスターか月曜は。それはともかく体がクソ痛くて目が覚めたわ、筋肉痛ってレベルじゃねえぞ」
《ブレイウィングで無茶な飛行をしたからだナ。体に掛かった加圧は最大で11Gだったゾ。高性能なスーツちゃんがフォローしてなかったら確実に死んでたぞい》
オレの体重をざっくり50キロとすると、全身に550キログラムの重圧が掛かった計算か。そりゃあちこち痛めもするわ。スーツちゃんの言う通り優秀な補助が無かったら、オレの体は首といわず全身の骨という骨が折れて、内臓が潰れて死んでいたろうよ。
《重量設定メチャクチャのまま火事場の馬鹿力でウェイトトレーニングしたようなもんやの、鍛えるどころか体を痛めただけやで》
無茶せず死んだら元も子もないからな。痛みが生還のチケットと考えれば格安だろう。
「しばらくは湿布でも張って静養するしかねーな。因縁の5回目を突破してちょっと気が抜けちまったし」
これまでのリトライはすべて5回目の戦闘で死んでいる。何か因果でも含まれているみてえにそうなった。オレにとっちゃ生還を賭けたひとつの壁になっていたのが5回目。
それをついに抜けた――――ははっ、やっと自由になった気分だぜ。
潜っていた布団からなんとか上体を起こす。筋肉が剥がれるみてえにミシミシ
《それでも学校には行くんだ? 真面目じゃのう》
「生活サイクル変えるとゲンが悪くなるからな。良い運気のときはガチャガチャ動かず流れにそったほうがいいんだよ」
筋肉疲労のせいかプルプルする指でボタンを外して寝間着を脱ぐ。パジャマなんぞ着て寝ることになったのはこの体が初めてだぜ。
一般層で男の時はシャツとトランクスで寝てた。底辺層では基本衣服は着っぱなし。置いといたら何でもかんでも盗まれるからよ。
「ぐおぉ……腕も肩も背中も首も全部痛えし感覚が鈍くて、うまく手が背中に回らねえ」
今のオレの体は女ってのもあってかやたらと柔軟で、手を肩と腋から後ろに回して握ったり、背中のほうで合掌さえできる。それが今朝はできない。関節の可動域はまだまだ余裕があるはずなのに力のほうが入らねえ。
「ブ、ブラのホックが果てしなく遠い……」
パジャマの下はスーツちゃん好みの淡いピンクの上下。もう下着に関しちゃ考えるのやめた。
ああ、寝るときもちゃんとしてるよブラジャー。大胸筋サポーターと自分を偽るのも限界だわ。
《フロントホックはおっきい子じゃないと合わないから。残念ながら低ちゃんには生涯縁が無いノダ》
「胸は、DNAで、決まる、らしいぃぃ~~~~しなッ……ダメだ、届かん。筋肉と腱だけじゃなく関節もバカになってやがる」
もういっそ変えずに着替えるか? でもスーツちゃんがうるさいんだよなぁ。女は小まめに下着を変えろってよ。
《低ちゃん。はっちゃんが来たよん》
「ん? ああ、時間食ったか?」
いや、まだ遅いって時間じゃねえな。欠食児童が腹でも減って朝飯の催促に来たか? オレも腹減ったしチャチャッと作れるもんにしよう。それと丁度いいや、初宮の手を借りよう。
『玉鍵さん、起きてる?』
「ああ、入ってくれ。悪いがちょっと手伝ってほしい」
『え? あ、うん。お、お邪魔します』
「って、た、玉鍵さん着替え―――」
「体が痛くて腕が回らないんだ。悪いがホックを外してくれ」
「―――ほ、うえぇぇ!?」
何か後ろで頭ぶつけたみたいなゴッとかいう音がしたな? 成長期は日増しに大きく体が変化するからあちこちぶつけたりするらしいが。足の小指とか肘にジーンって電気が走るところとかぶつけると辛いよな。
《! ガタッ》
(なんの擬音だ)
《撮影許可を申請!》
(却下だ)
よくわからんが気味が悪いわ。初宮の寝間着姿でも撮るつもりかよ。
「…………初宮?」
「ひゃい! あああ、うん! だいだい、大丈夫、すぐ外すね」
普段よりぼーっとしてんな。起き抜けで頭が回ってないのか? まあそっちも午前中に出撃して夜間部までアークの中で宇宙に缶詰だったもんな。疲れてんだろう。
……なんか後ろではーはー息してるがホントに平気だよな? 無理すんなよ?
<放送中>
朝。電子音の軽いアラームに呼び起されて、ベッドでまどろみの中から覚醒した初宮は、しばらくぼんやりと視界に入った枕カバーの端を眺めていた。
(生きて帰ってこれたんだ)
書き換えられた偽の契約書でチームから引き離され、絶体絶命の宇宙空間で、絶対に倒せそうにない巨大な宇宙戦艦を相手に生きて帰って来た。
その困難の何もかもを解決してくれたのは、玉鍵たまという初宮と同い年の少女。
奪われていた書類の写しを取り返し、たったひとりで四人乗りの機体を操って仲間のために宇宙まで来てくれた。さらには攻撃してくる味方機から人質になった初宮たち三人を救い出し、最後には撃破不可能と思われていた戦艦まで倒して見せた。
ブレイガーには自分も同乗していたが、それで戦艦撃破者として名を上げられても自信を持って私たちで撃破しましたとはとても言えない。
(やっぱり辞退しようかな。あれは玉鍵さんのスコアだよ)
今回の戦果についての話は、夜遅い上にみんな疲れていたこともあってまだしていない。しかし、心優しい彼女はチームメイトと等分することを望むだろう。
あれほどの大物はエリート層でさえ撃破記録が無い。それどころかあの巨大戦艦は懸賞金がついているほどの
『SRキラー』。それは同型機に撃破報告が無く、おびただしい数のパイロットが返り討ちにあった場合のみつけられる敵の称号。
多くはその敵専用と思われる戦闘区にのみ出現し、たった1機でありながら恐ろしい戦闘能力でスーパーロボットたちを迎え撃つ難敵である。
挑めば死ぬ。そのエリアを戦闘区に選んだら死ぬ。SRキラーと会敵したくなければ絶対に選ぶなとまで言われている。
Sワールドは1機だけでも倒さねば帰還のゲートが開かない。ならばそこを守るたった1機がとんでもなく強ければ、それは生きて戻れぬデスマッチに引きずり込まれるのも同じ。
確認初期こそ意地になって挑むパイロットたちもいたが、彼らの意地をあざ笑うかのように損害ばかりが積み上がった。
やがてどんなスーパーロボットでも倒しようが無いとして、長期間交戦することが無くなっていたためにパイロットたちから半ば忘れ去られていた存在。あの戦艦はそんな悪名高いSRキラーの一隻だった。
(これからどうなるんだろう)
玉鍵への注目度はさらに高まるだろう。彼女がエリート層に勧誘されたら、残された自分たちはやっていけるだろうか……。
(駄目、こんなこと考えちゃいけない。玉鍵さんの未来のためにはエリート層に行くべきよ。私たちだけでやっていけるって、笑顔で送り出すのがせめてもの恩返しじゃない)
あれほどの才能を足踏みさせてはいけない。
初宮は近い将来くるであろう玉鍵との別れを予感し、それがお互いにとって良い形となるよう自分も努力するべきだと感じた。
「よし。まずは小さな事からコツコツと」
そのために普段より早い時間に目覚ましをかけたのだ。ベッドから体を起こした初宮は手早く身支度を整えキッチンに向かう。
ここに居候してからというもの、いつも当たり前のように玉鍵が初宮の分まで朝食を用意してくれる。まずはこれを変えなければいけない。
何せ今の初宮は貯蓄が乏しく、碌に家賃さえ払っていないのだ。せめて家事くらい引き受けなければ肩身が狭くてしょうがないのだ。
(食材から何から好きに使っていいと言われているけど、これも本当なら食費を払わなきゃいけないんだよね)
玉鍵は体質的に品質の悪い食料は口に出来ないらしく、特にフードパウダーを混ぜ込んだ食べ物は胃が受け付けず吐いてしまうらしい。そのため買い置きされている食材はオーガニック系の高級品ばかりである。
初宮がこれらの食料を自分だけの稼ぎで揃えようと思ったら、それこそ平日は毎日訓練して毎週戦う必要があるだろう。
(玉鍵さんはものすごく稼いでいるはずなのに、どうして休まないんだろう?)
戦績を見る限りすでに十年単位で遊んで暮らせるはずだ。だというのに彼女は戦いたがる。出撃しなかったのはクンフーマスターで都市防衛をした日くらいであり、やや変則的ながらこれも休まずで戦っていると表現して間違いではあるまい。
まるで戦う事が自分に課せられた義務だとでも言うように。
初宮由香がパイロットとして戦うのは家計のためだった。今にして思えば、そうするよう両親に遠回しの誘導をされていたと思う。彼らは娘の収入を当てにしていたのだ。
これが普通のアルバイト程度であれば、社会勉強も兼ねてと理解もできよう。だが初宮に求められたのはパイロット。大金を得られる代わりに死ぬことも十分あり得る選択肢。
それでも両親は娘がこの仕事に就くことを望んでいた。どのような意図であれ、娘が死んでも構わないと言っているも同じ。
(もういい。あの人たちとは別の道を行くんだから)
朝から嫌な気分になることはない。こういうときは甘い物だと、初宮はついさっきまで考えていた献立を一部破棄して、玉鍵に教えてもらったメニューを作ることにする。
(パンもあるし『玉鍵さんのフレンチトースト』にしよう)
従来の作り方、という料理上手の玉鍵らしい手際で作ったフレンチトーストに、買い置きしてある高級なバニラアイスを加えて溶かしながらフライパンで焼いたものだ。
初宮はまずフレンチトーストという食べ物を知らなかったので違いはさっぱりだが、バニラの香るしっとりと甘いパンは10代の若者には悪魔的な魅力があり、瞬く間に胃袋に消えてしまうほどおいしかった。
初めて作ることもあってやや手間取ったが、これにカットフルーツ、ベーコンを入れたサラダ。そして玉鍵が作り置きしていたトマトベースのスープを温め直せば朝食は完成だ。
(作っておいて今更だけど、私が普段食べてた食事の10倍くらいお金が掛かってそう。でもこれが正しい
初めの頃、どうしても食費に気後れする初宮に玉鍵が言ったことがある。自分の体以上の資産は無い、投資するならまず健康だと。
あの美貌を作っている理由のひとつと考えれば納得できる話だった。
「玉鍵さん、起きてる?」
寮の部屋は使わず管理人室に住んでいる玉鍵を呼びに行く。今朝は彼女らしからず遅れ気味のようで部屋をまだ出ていないようだった。
(帰りに手足に力が入らないって言ってたものね。疲れたんだろうなぁ)
Sワールドに突入直後、ほとんど目と鼻の先で戦艦と会敵したファイヤーアークは訳も分からず外殻に叩きつけられた。
その後は半端に距離を取ると猛烈な攻撃にさらされることが分かったため、月影という初顔のパイロットは身動きが取れなくなってしまい何時間も動けずにいた。
一方で救援に来た玉鍵は非常に距離の離れた地点に出たため、その分戦艦からの執拗な攻撃を受け、これに対処するためかなりの無茶をしたらしい。
放課後に基地で映像を観れば、今回も度肝を抜く玉鍵の記録が映し出されるのだろう。
『ああ、入ってくれ。悪いがちょっと手伝ってほしい』
まだ寝起きかなと思っていたが、ドアの向こうから返ってきた返事はしっかりしていた。しかも玉鍵は初宮に入室してほしいという。
「え? あ、うん。お、お邪魔します」
同年代の女同士だと言うのに、玉鍵が相手だと何故こうも気恥ずかしいのだろうと初宮は苦笑しつつドアを潜る。
そこにはドアに背を向けて姿見の前に立つ、下着姿の玉鍵がいた。
腰まである髪を前に流し、可愛らしいピンクの肌着に包まれた少女。その肩に掛かるブラの紐がまるでリボンのように見えて、さながらラッピングされたプレゼントのようであった。
「って、た、玉鍵さん着替え―――」
「体が痛くて腕が回らないんだ。悪いがホックを外してくれ」
「―――ほ、うえぇぇ!?」
思わず後ずさってゴツンと後頭部をドアにぶつけてしまう。その頭に響いた衝撃に気付かないほど初宮は狼狽していた。
(せ、せ、背中のホック……)
別に背中に手が届かなくても、肩の紐を外せばブラがよれるから脱ぐのは簡単だ。初宮はその一言がなぜか口に出せない。
玉鍵の白い素肌とパステルピンクの下着。その例えようのない魅惑的なコントラストに、初宮由香という思春期の少女は目を逸らすことが出来なかった。
「…………初宮?」
「ひゃい! あああ、うん! だいだい、大丈夫、すぐ外すね」
彼女の白い砂糖菓子のような肌にどれだけ見入っていたのか、玉鍵が返答に間が空いたことに訝し気な声を出したことで初宮は我に返った。
近付くほど分かるきめ細かい肌。近づくほど分かる甘みのある香り。それは例えようも無く魅力的で。
何をするかという具体的な発想も無いままに、ただこの少女に抱きつきたい組み敷きたいという衝動が初宮の奥底で湧き上がる。
(静まれ、静まれわたしぃぃぃぃぃぃぃッ!!)
己の持ちうる理性のすべてを総動員して『玉鍵の友人』の肩書を守った初宮。しかしこの後、新しいブラを出した玉鍵がホックをつける事を頼んできて、次はすべての気力を総動員することとなった。
なお用意したフレンチトーストは玉鍵に好評で、初宮もまた朝から感じた疲労にトーストの甘味が脳に染み渡ったのだった。
放課後。オレ、向井、夏堀、初宮と基地の一室でS・国内対策課とかいう細メガネのオッサンと
「お時間を頂きまして恐縮です。前置きは面倒でしょうから要点をご説明いたします」
腰の低いオッサンだけどメガネの向こうの目付きはインテリヤクザって感じだな。後ろに控える部下もどっちかってえと尊敬より恐がってる感じだ。一皮剥けばヤベー野郎なんだろうな。
「みなさんの撃破した敵から出た品ですが、はっきり言って値段が付けられないほど貴重な代物です。国はこれに見合う金銭を用意できません。国庫が空になります。かといって買い取らない選択肢もありません」
貴重品がどんなものかについては、口外無用のガチガチの契約を交わしてから教えられた。
物質転換機。一回分はごく少量だが、石ころみたいな無価値な物から高額な薬品とか貴重な物質を手間なく生み出せる、みたいな代物らしい。説明がフワッとしてるのはガキ相手だからか、単にS関係の謎技術で説明できないからかのどっちかだろう。
「つまり買い叩くけど文句を言うなってか? ずいぶんな要求じゃのう」
オレたちが何か言う前に爺がメガネのセリフを拾って嫌味を言った。まあ今の話を要約するとそんな感じだもんな。
「お恥ずかしながら仰る通りです。ただ、その代わりに国としては金銭以外で優遇する用意があります」
「ふん。功労者に安物の金時計を放り込んどった時代からさして変わらんの、この国は」
社員が大金を生む発明をしても国や企業が権利を持って、発明者自身にはせいぜい小遣いみたいな金銭渡すだけってのが定番だったんだっけ? まあ昔の事なんざどうでもいいが。
「まずそちらの―――玉鍵さん。あなたには逮捕状が出かけています」
(玉潰しの件か? 計3個も潰せばさすがに正当防衛は認められねえか)
《住居侵入に暴行傷害。まあまあサイレンのお世話案件だにぃ》
「あれは太陽って女が!」
「マコちゃん、続きを聞こう―――出かけている、でしたよね?」
立ち上がった夏堀を初宮が抑える。静と動でいいコンビだよな、キレると逆になるが。
「はい。私共としては耳目家への襲撃などどうでもいいのですが、それでも入院するような怪我を負わせた者を野放しでは外聞が悪いようで」
「611人殺したガキはそのままじゃがな」
ジャスティーンで暴れた
「あちらは近い将来、私が親子共々必ず底辺に送ります。お約束しますよ」
(口約束じゃなぁ。寒天とやらがまた助けるんじゃねえの?)
《星天な。寒天の構造は男性のアレの海綿体みたいらしいゾ?》
(その情報ここでいるか?)
「……つまり玉鍵の罪状と引き換えか」
おお、陰キャが自発的に口を出したぞ。なんかレアだ。
「ええ、お渡しするひとつです。さすがにそれだけでは釣り合いませんから他にもご用意しています」
「気前が良いんだか悪いんだか。なんだか気持ち悪い」
夏堀が愚痴るのも分かるな。態度は下手でも嫌われ上等で強権を振りかざすのが国ってもんだ。なんで微妙に配慮してんだか。意図が掴めなくて気味が悪い。
「国としてはあなた方、いえ、ハッキリ言いましょう。玉鍵さん、貴方個人にへそを曲げられたくないんですよ。世界一の戦績を誇るエースパイロットに」
「今後も破格の戦果が期待できる超有望株じゃからの。ならちょっと悪戯した程度では逮捕なんざしたくないのが本音じゃろ」
「そういうことです。しかし戦果が挙がると国庫が寒くなる。特に今回のような場合は過去に例の無い貴重品のため現実的な値段がつけられない」
「それで、玉鍵さんにはどんなものが提示されているんです?」
「玉鍵さんに対しては過去の罪状の免除。スリーストライクの免除。都市内での行動の完全自由。基地備品の無償貸出。出撃におけるオプション装備代金の無料化。戦闘時刻の自主決定、などです。他にも要望があれば国が可能な限り実現するよう動きます」
スリーストライク法は要するに軽犯罪でも期間内に3度やったら重罪として扱うって法律だ。オレの場合は学校で暴れた分、スタンドで不良をブチのめした分、それと今回の玉潰しの件ってトコか? 他には思い当たらんな。
「率直にお聞きしますが、今言った以外でどのような望みがおありでしょうか? 早めに言っていただければそれだけ早く実現に動きます」
「品はともかく、戦艦の撃破報酬は払ってくれるのか?」
「はい。こちらは国の示した提示額があるので誤魔化しが効きませんから」
「……ならふたつある。まず、マスコミがうるさくて困ってる」
「即対処します。基地から自宅に戻られる頃には記者もカメラも消えていますよ。いまひとつは?」
「星天とかいうのに絡まれている。冥画、太陽、月島、知ってるだけでも三つ」
「……近日中に。正確な期限はお伝えできませんが、そちらもS課がすでに動いています。必ず対処しましょう」
(スーツちゃん)
《本当っぽいかな。今は太陽桃香の詐欺事件で本家も分家も大わらわみたいだよ》
「皆の要望は?」
「私はそれでいいよ。玉鍵さんだけに払われてもおかしくないところだもの」
「そーなんだよねぇ。この人も玉鍵さん名指しだし。私たちはおまけ扱いだからいいよ」
「玉鍵に従う」
「胸糞悪いが妥当じゃろうよ。国とケンカしても良いことは無いわい」
貴重品とやらは権利を放棄。代わりにオレは諸々の権利を受け取るという形で今回の報酬が決まった。
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