第28話 女子更衣室は百合の香り?

 基地のシャワーはまともな水質のお湯が出る。


 人によっちゃそれがどうしたって話だが、底辺上がりにゃこれで十分ありがたいもんだ。肌に触れさせるのもヤベーって水質の水で体を洗わにゃならん経験をすれば猶更だ。気兼ねなく訓練上がりに汗を流せるってのはいいもんだなぁ。


 ……はぁ、すっかり自分のロン毛の扱いにも慣れちまったな。性転換したオレの未来はどこに向かっているんだろう。


 水気をしっかり切って乾燥用の温風を受けた後は更衣室に戻る。


 専用のロッカーを借りるなんざオレも贅沢になったもんだぜ。まあ防犯を考えると小銭惜しむわけにもいかねえしな。特にスーツちゃんを盗難されたら大問題だ。最悪相手が誰だろうと秘密裏に殺して口封じせにゃならん。


 スーツちゃんは黙って盗まれるタマじゃねえから、電流流すなり薬物まき散らすなりして抵抗するだろう。その機能の情報、一片たりとも他人に知られるわけにはいかねえんだ。相棒はオレの切り札だからな。


「……しっかし、いい加減慣れたけどよぉ。なんでこうブラジャーってのはいちいち面倒かねぇ」


《えー? 背中で合掌できる低ちゃんなら難しくないでしょ》


「そりゃこの体は柔らかいやっこいから背中のホックは苦労しねえけどよ。肩紐とか付けた後の微調整とかめんどくせえんだよ」


《あははは、ち〇このポジショニングとそんなに変わらないじゃない》


「例え方ッ」


 蒸れやすいマイサンのポジション調整はすべての男のデリケート問題だ。イケメンもブサイクも毎日どっかのタイミングで調整してるからな? のオレはトランクス派だったからまだ通気性は良かったけど、それでも暑さでたるんだお袋さんが肌に張り付いたりして不快だったりしたもんだ。


「なあスーツちゃんや、どうせ真っ平なんだからスポーツブラだけでよくねえ?」


《ダメです》


「なして?」


《あの娘いっつもスポブラしかしてこないわねーとか、すぐアホな女たちに嘲笑の的にされるゾ。見栄も女のバリアーなのだよ低ちゃん?》


「そんな連中は何してようが言ってくるだろ……」


《スーツちゃんの! 目が! ゲーミングな内は! 低ちゃんに更衣室で恥を掻かせない!》


「今は何色に輝いてんだよ、1680万色もいらねえよ」


 色の合間に境界線引いてもひとつ違いの色なんざ、色の違いが認識できねえんじゃねえの? 七色で十分だ七色で。


《1677万7216色だぞ》


「ざっくりでいいわい、そんなもん」


 下着の上下で色や柄までガッチリ合わせて買わせやがって。なんの縛りなんだコレ、無駄に高いしよぉ。特にブラ。


《お、人が来るよ》


(あいよ。お口はチャックな)


《……! 女の子のお口とチャック、閃いた!》


(封印されてしまえ邪神の眷属めっ!)


「!! ご、ご、ごめんなさい!?」


 女子が入ってきた途端に逃げてった。なんだありゃ?


《低ちゃんの下着姿を見てビックリしたんだねー、うひひひっ》


(いや、ここ更衣室だろ。体も同性だし……)


《女の子同士でキャッキャウフフするのは創作だけだからねー。現実は同性でも普通に恥ずかしいものだよ?》


(いやだから女子の更衣室じゃん。なんで異性の更衣室に入っちゃったみたいな逃げられ方せにゃならんのさ)


《人の心には色々あるんだよ。同性だから比較されたくなかったり、同性でもムラッときたり》


(おい、後半)


《みんなちょっとずつ低ちゃんに慣れてきて、そろそろ怪しいリアクションをする相手も出てきたねー。楽しみだねー♪》


(後半!!)






<放送中>


「あれ? ゆっちゃん、着替えに行ったんじゃなかったの?」


 星川マイムの友人にして同志。湯ヶ島ゆたかはジャージに着替えず制服のまま更衣室から戻ってきた。


 私用でグループとは別行動を取っていた彼女は訓練前の着替えが遅れてしまい、慌てて更衣室に向かっていったはずだった。


「た、た、玉鍵さんが着替えてて……」


「マジ!?」「うわぁ、ゆっちゃん神タイミング」「ちょっと行ってくる」


「待て変態!」


 友人の発言に身を乗り出して聞き入った仲間たちが色めき立ち、ひとりが本気で暴走したので星川が止める。


 玉鍵たまは同性の少女たちにとって良くも悪くも極端な反応を抱いてしまう存在だ。その強さと美しさに強烈なあこがれを抱く者もいれば、抱えきれない劣等感から憎悪に近い嫉妬を抱く者もいる。


 その二極のどちらであっても、本人を前にすると圧倒的なオーラの前に大抵の凡人は委縮してしまう。おそらく『生物としてのステージが違う』と本能で理解してしまうのだろう。


 星川たちは玉鍵に助けられて以来、全員が前者のイメージで固定され信奉と言っていい感情を持っている。しかし、ここ最近は恐れ多いと考える自分と、もっと仲良くなりたいと訴える欲求がせめぎ合っていた。


「もう、無理。絶対ムリ……玉鍵さんの肌めちゃくちゃキレイだったの、めちゃくちゃイイ・・においしたの」


 同性なのに斜め上に興奮する友人。彼女が口走った『無理』とは何が無理なのか、周りも本人も理論的に説明はできないだろう。


 だが、共通の友人『ゆっちゃん』の中で荒れ狂っている感覚を、この場の全員が理屈ではなく感覚で理解できた。


 ――――辛抱たまらん、と。


「放せぇ!! 残り香、残り香だけでも!!」


「やめなさいっての!」


 使い物にならなくなっているゆたかを除く全員で変態を止める。ひとりの暴走で全員が玉鍵に嫌われるかもしれないのだ。そんなことになったら最悪、このバカを損切りするしかない。


 恩人に嫌われるのも嫌だが、せっかく出来た気の置けない本当の友人を星川は失いたくなかった。


 星川マイムは幼い頃から『良い子』だった。家族の、教師の、大人の、先輩の、同級生の、後輩の。誰もに文句を言われないよう、誰にも逆らわないよう立ち回ってきた。


 それで心が苦しくなって立ち止まっても、周りは何も気にしなかった。気のせい、すぐ元に戻る、そんな態度で。


 あの子は『良い子』だから。放っておいても心配いらないはずだと。


 本当はなまじ小器用で我慢強かったから、真剣に助けを求める術を知らなかっただけなのに。


 いつしか心を守るために覚えたのは『我慢』。抗えない嵐が過ぎるのを待つように、『しばらく我慢すればいい』と思うようになった。


 この時間が過ぎれば、夜になれば、学校が終われば、訓練が終われば、いずれ解放されるからと。


 心の悲鳴なんて誰にも聞こえはしない。そう諦めていた。


 そんな星川マイムという子供の無言の絶叫に、玉鍵だけが気付いてくれた。


 あれ以来、星川は何に対しても嫌なものは嫌と声に出して言えるようになった。


 『させたいことしかさせない親』も『言うことを聞くはずと思い込んでいる大人』も『友人顔をして便利に使ってくる連中』もハッキリと拒絶する姿に、周囲はひどく困惑していた。まるで別人のようだと。


 この変化を一過性、前の自分が本物と思っている人間と星川は徐々に距離を置くことを決め、新しい自分の構築を模索するようになっていた。


 その手始めが新しい友人関係の構築。トレーナーの速水から理不尽な訓練をさせられたことで全員が速水を暴行とセクハラ・パワハラで訴えることになり、連帯した同志たち。


 パイロットである自分たちは一般の市民に比べて司法に真摯に対応してもらえるが、それでもキチンとした裁判を行うには複数の被害者仲間がいる。もし星川ひとりだったならトレーナー速水への国からの罰は罰金程度ですまされていただろう。


 彼女たちは同じ苦しみを受けた同士であり、共に今後の裁判を戦う同志であり、何より本音で向き合える『友達』だ。『新しい友達』が『新しい星川』にも出来た、それがとても嬉しい。


 その切っ掛け、理不尽な扱いから目を覚ます力をくれたのが玉鍵だった。


 怒鳴り、暴力を振るい、まだ子供といえる年齢の自分たちを大人の力で支配していた速水を、あっさりと雑魚のように殴り倒した少女。


 他の誰のためでもない。殴られた星川のために戦ってくれた英雄。玉鍵たま。


 合併で同じクラスになれたときの感激は忘れられない。痛ましい数の戦死者が出た結果であることを忘れてしまうほどだった。


(学校で一緒にお昼ごはんも食べている私たちが一番玉鍵さんと親しいはず。でも、もっと仲良くなれないかしら……)


 玉鍵はいつもどこか人に素っ気ない。自然に気を遣ってくれるし優しいのだが、他人に見えない心の線引きがハッキリしていて、誰であろうと一定以上は絶対に踏み込ませてくれない気がした。


 それが星川には無念でならない。


(考えたら謎だらけなのよね、玉鍵さんて)


 地下都市で転校生というのがまず珍しい。今の時代、他の都市から引っ越してくるのは手続きが面倒極まる上に冗談抜きで命がけである。まして彼女のようなスペシャルが他の都市に行くなど、基地や都市は非合法な手段を用いても止めたいはずだ。


 家族構成も経歴も玉鍵は話さない。水を向けても無表情気味ないつもの顔で聞こえないふりをする。


(でも、たまにスゴイ変顔するのよね……)


 一瞬で素に戻ってしまうが、まるでガラの悪い男のような喜怒哀楽が顔を彩ることがあるのだ。遠巻きにしているだけのグループには知られていない、星川たちだけが知る玉鍵たまの秘密だ。


 もっと玉鍵のことが知りたい。それはたぶんみんな一緒だ。


 ――――だが節度は持たなければいけない。


「下着、下着はどんなのだった!? 色は? エロいの? カワイイの?」


「誰かぁ!! こいつの口にフードカセット突っ込んでぇぇぇっっっ!!」


 1時間後、この騒ぎから『玉鍵さんの下着談義』が基地の女子の間で花開いて男子の耳にまで入ることになった。


 原因を突き止めたらしい玉鍵本人の射殺すような視線を前に、星川たちは14年間生きてきて初めての土下座をすることになる。






<放送中>


(熱は完全に下がったか。まだ喉は痛いが、こっちは放っておいても治るだろう……)


 体力の消耗でフラフラしながらも、大量の寝汗を吸ったシャツを交換できるくらいに回復した向井は、今日も机の上に置かれたひとつの保温バッグを眩しい物のように眺める。


 起きているときはいつも無意識に視界に入れてしまう。このホコリと廃材の掃き溜めのような部屋になんとも場違いな、淡いパステルカラーの可愛らしい保温バッグ。


(夢じゃない、か)


 何度も自問自答した事を繰り返す。


 玉鍵が向井の自宅に現れた、それは夢か幻覚か。そして最後はバッグを見て本当の事だと結論する。何度も。


 あの日、高熱にうなされボロボロの中でも向井はドアが違法に開錠されたことに気が付いた。


 最初は物取りや強盗の類だと思い、この体力では短期決戦しかないと思い隠し持った蛮刀マチェーテで首を一撃のもとに刈り取ってやるつもりでドアを開けた。


 向井が即座に刃を振るわなかったのは、ドアの隙間から見えた人影に違和感を感じたからだ。恰好はそれっぽくしているがスラムの住人特有の暗い気配がなく、小柄で、それでいて誰よりも頼れる戦士のオーラのようなものを感じた。


 声を出した人影はまさかの玉鍵友軍。なんでスラムに、ここは危険、早く出ろ。そんな思考がグルグル回る中、彼女は困窮している向井に支援物資を渡してくれた。


 彼女が去った後、熱で震える手で開けたバッグには暖かく栄養のありそうな食料に高価なビタミン剤、そして今の向井の症状に適切な薬までもが入っていた。


 夢中で食べた。三食分はあったはずのシチューを一回で食べ切って、ビタミン剤と薬を飲んだ向井は気を失ったように滾々こんこんと眠ることになる。


 再び目を覚ましたときは随分と体調が戻っていて、感覚的に快方に向かっていると感じた向井は玉鍵に言われた通り端末から自分の口座を確認した。

 確かに1機分の報酬が口座に入っていることを知ると、やはり玉鍵に言われた通りまともな病院に通院し、無心で回復に努めた。


 動けない兵士などクソの役にも立たない。どんな事をするのにも健康を取り戻すことが最優先だと考えて。


(……また友軍に負担ばかりかけてしまった。今のままでは部隊チームのお荷物と言われても言い返せない)


 極寒地獄から基地に帰り着いたことでどうしようもなく気が抜けた向井は失神し、ここでも玉鍵に崩れ落ちた体を支えさせて迷惑をかけている。


 意識を手放す間際に彼女のにおいを嗅いで安堵してしまったことを、向井は誰にも言えないくらい恥ずかしい事のように感じていた。


(どんな事をしても恩を返さなければいけないな)


 自分に出来ることは戦うことだけだ。だが、玉鍵に必要なことであれば何でもしよう。何でも学ぼう。彼女がすべきことを全力で助けようと向井は誓う。


(だが、まずは体を治してからだ。それからスラムにはもう来ないように言わないと)


 あれだけの美しさを持つ少女だ、『Fever!!』がどうであろうと凶行に走る男が出かねない。行動に移さなくても頭の中で何をするのかくらい向井でも分かる。


 それを考えたたけで、とてつもなく嫌な気分だった。


(……一日も早くスラムここを出ないとな。心配した玉鍵友軍がまた来そうだ)


 Sワールドまで助けに来るような優しい少女を、もうこんな汚らしい場所に来させるわけにはいかない。


 数十分後、端末に入っていた100件近い基地からの連絡に気が付いた向井はある事に思い至り、金と義理の狭間で苦悩することになる。


 金を取りスラムを抜け出すか、義理を取り味方との連帯を高めるか。


 共に生き残った仲間に連絡してから考える、という発想に至るまでもう十数分を要する。死地から生還した少年兵はまだまだ病み上がりであった。






(女は人の着けてる下着の話で盛り上がれるのか……)


《ね? 気を遣わなきゃいけないんだヨン?》


(もう頭痛しかしないわ。じゃあ縞パンと縞ブラのときはどうするつもりだったんだよ)


《低ちゃんが着けてればイチゴだろうとクマさんだろうと即流行ブランドになるから問題ない!》


(着けないからな!? 縞はギリ妥協したけどそれ以下のガキっぽいのは絶対嫌だからな!?)


《クマさんプリントはともかく、イチゴにあやまれ!》


(あやまんねえよ! ふざけんな!!)


 ファンシーなクマのバックプリントとか小学生の低学年か、それ以下の年齢用だろうが! イチゴだって明らかにおかしい方向性だってことくらい、男のオレだって分かるぞコラ!


(あー、もういい。訓練は早めに切り上げたし、夏宮と初堀の見舞いして今日は帰んぞ)


《夏『堀』と初『宮』ね。また合体事故起こしてるゾ。でも、確かにあの二人の体が平均化したらちょうどいいバランスかもしれにゃい》


 なんのこっちゃ? いや、とにかく駐車場に行かねえと。クソデカロボットを扱うだけに基地の敷地はメチャクチャ広いんだ、チャッチャと動かねえとな。


 主要な設備に行くためのルートには小さいモノレールみたいな電動レーンが通っていて、基地の人間や比較的小さい資材の入ったコンテナを運んでひっきりなしに往来している。徒歩だけで敷地の反対側に行こうとしたらアホみたいに無駄な時間が掛かるからな。


 分単位で次が来るからボケっとしててもどれかに乗れる。後は手すりに掴まって降りたい場所で降りるだけだ。


《! ショック姿勢》


「なに!? おっと」


 とっさに屈んだところで小さな揺れがあった。近くの数人が同じように揺れに驚いてしゃがむ。ショック姿勢を取るほどじゃなかったが結果論だ。甘く見てケガするよりマシだ。


(なんだ? 地震か?)


 ここは日本列島だからな。小さな地震はよくあるし、デカ目の地震もシャレにならんくらいある。よくまあこんな地震大国に地下都市なんて作ったもんだ。地震のたびにリアルで生き埋めの恐怖と戦わせやがる。


《エコー的にこれは事故だね。基地で何か大きいものが転んだか、壁に激突したみたい》


(格納庫で整備の新米がロボットを横倒しにでもしたか? 整備の連中はそこらのパイロットより精密な操作は得意なはずなんだがな……)


《スーツちゃんニュースの追加情報をお待ちください》


(頼んます。変なエネルギーで動くロボットから得体の知れんものが漏れてたらヤベエ)


 完全無公害の夢のエネルギー源もあれば、漏れたら大惨事のヤベー何かを動力に使ってるタイプもある、それがスーパーロボットってヤツだからな。


《追加情報じょーほー。悲報、ロボットを持ち出そうとしたクソザコパイロット、操作を誤って壁に激突!》


(……詳しく。出撃日じゃねえぞ今日は)


《正義鋼人ジャスティーン3のパイロット、火山宗太容疑者が整備中のジャスティーンに搭乗し、発進しようとした模様。機体の調整中であったためか、機体操作を誤ったパイロットは大量の設備を跳ね飛ばしつつ壁に激突。その間に整備側の強制停止信号を受けて行動不能になり、最悪の事態は免れました》


(ジャスティーンの火器は? 内蔵火器によっちゃ擱座状態でも撃てるし、壁を貫通して被害がくるぞッ)


 ロボットの遠隔操作から独立して撃てるスタンドアローンの機銃とかミサイル発射機とか、どこで使うんだって意味不明の装備してるヘンテコマシンもあるからな。普通車に無理やり機関銃積んだやっつけ兵器かっての。


 他にもそこらの壁を平気で透過する中性子ビームとか、生物にとっておっかねえ装備を持ってるロボットもいる。そこまでじゃなくても巨大兵器サイズの火炎放射器とか、作ったヤツ絶対脳の大事な部分が頭悪いだろって感じの原始的な兵器だってこっちの世界じゃ十二分に脅威だ。


《基地の整備ルールに則って、格納庫入りのロボットは全部の火器にロックが掛かっているから大丈夫》


(そのバカにロックを外せる技能は無かったか。いや、そのくらいの知能があったらそもそもこんな事しねえな)


 一体どういうつもりだ? 発進って事は整備の手伝いじゃねえよな。身勝手なガキの思春期臭せえにおいがプンプンするぜ。


(出撃の日以外でゲートは開かねえ。つまり基地の外に用があったってことだよな? ……都市を道連れに破滅したい危険思想の持主か? 死にたきゃひとりで死ねよ、迷惑な野郎だなぁ)


《クソザコパイロット君は最近情緒が不安定だったよーです》


(情緒で都市ひとつ道連れにされてたまるか。火山なんとかとかいうタコ―――火山?)


《続報。クソザコ君は基地長官の火山氏の息子さんのようです♪ メデタイネ》


 あ、あの親子、タコだタコだとは思っちゃいたがタコの養殖場かよ……。どうなってんだこの基地はぁ!!


《あっ》


(どうした!? ヤバイか? 逃走ルートは!?)


《…………悲報、玉鍵たまさん所有のミニカーゴ他、基地設備で充電中の多数の車両が跳ね飛ばされた設備や資材の下敷きになりご臨終の模様》


(なっ!? ………1月も乗ってねえのにッ!)


《うー残念、MIDNIGHT RIDERが次の世界に旅立っちゃったねぇ》


 最悪だ、最悪だぞあの親子! 二人して底辺送りになっちまえ!! もしくはくたばれ、くたばっちまえ!

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