ラートVS ???

 その光景は、見たことがある。

 清流の技、膝崩しだ。

 

「なんだ、この程度なの? ガッカリ……」

「舐めるな~!!」


 女の子の落胆して嘲笑うかのような言葉に彼女は怒声で再び突っ込もうとする。

 瞬間、彼女達の地面から魔法の鎖が姿を現す。

 そして鎖はラートを拘束してこちらに向かってくる。


「こんなもの……」

 

 そう言って女の子の周りの鎖は風化するように消えてく。

 否、恐らくだが先程の戦闘を見るに、一瞬で鎖は細切れにされたのだろう。

 ラートが後ろに下がると、彼女は剣をしまう。


「喧嘩っ早い子は早く死ぬわよ?」


 僕から見て、ラートは頭の回る子だ……そんな彼女が一直線に向かうだなんて、あの男と何かあるのだろうか?


「ラート、落ち着け」

「こいつ、喋り方が嫌い!!」


 そうでもなかった。

 思いっきり私怨だった。


「馬鹿の躾はちゃんとした方が良いよ、それが双璧貴方達の仕事でしょ?」

「もういいよ、君は黙って」


 呆れたように男は女の子を見ている。

 

「私に命令する気? 生意気な」


 そう言って呆れたように男を見る彼女は、まるで自分の方が強いから命令するなと言わんばかりだった。


「大体、君がそれを言えた立場か? いっつもいっつも先走って、後の事は

全部僕任せの君が?」


 そう言われ、彼女はイラついたのか彼に殺気を放っている。


「ここで死にたいの?」


 なんか、僕達そっちのけで争いが起きたのだった。







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