学院留学生編

物語

 ナオトの話は簡潔なものだ。

 昔、三聖は魔族から世界を救った。

 神の遺体は世界に帰され、神はこの世から消え去り人類の世界が始まったというものだった。


「っという事は神が昔はいたんですか?」

「あぁ、その名は秘匿されている……その神の名前は三聖しか今は知らないそうなんだが……いい加減出てきたらどうだ?」


 ナオトさんは目を向ける方向には何もなかった。

 ここは広間、隠れる事も出来ないし何よりそんな魔法は聞いた事が無い。


「あ~あ、ややこしいな、


 声はするが、姿が全く見えなかった。

 まるで、幽霊と話をしているかのような感覚だった。


「この声、この前の……」


 そう言うと、何もなかったところから男女が現れる。


「もう、だから言ったのに、隠れてこそこそするのはよくないって」

「そうはいっても、敵かどうかわからんし、様子を見るっていったろ?」


 二人の男女は、全員の警戒を気にしないかのように彼らから視線をそらしている。


「危害はないから泳がせていたが、いい加減鬱陶しい……」

「いいじゃねえか、ケチケチすんなよ」


 その言葉と同時に、甲高い音が響き渡る。

 その方向を見ると、ラートと女性が鍔競り合いしていた。


「短気は駄目だよ?」

「!!」


 そう言ってラートは剣を振う。

 速すぎて僕の視界には追いつけない。


「速いね、だけど」

 

 次の瞬間、彼女は膝をついた。

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