皆の回答

「殺すべきよ」

「セシア!!」

「だってそうじゃない!! こんなに迷惑かけて、身内の恥のみならず王国の恥だわ

!!」

「実の兄なのよ!?」

「実の兄だからこそ、殺すべきなのよ!!」


 その顔は全くといって良いほど真逆だった。

 殺したくない、死んでほしくない……。

 しかし、彼女は貴族……今回の件で責任は免れないだろう。

 これだけ暴れてめちゃくちゃにしたのだ……それに禁忌とされる薬にも手を出している。

 王国に戻れば、最悪死刑になりかねない。

 

「殺す……べきなのよ……」


 そう言っていつも強気なセシアが涙を流した。

 実兄の殺しを選択するのだ。

 その心は計り知れないだろう。


「決まったわね……それじゃあ……」

「ちょっと待ってクレア……」

「なに?」


 僕の言葉に目を向ける。


「生け捕りは絶対に無理?」

「うん、流石に何があるかわからないし、危険は冒せないから」

 

 得体のしれないから無理という事か……。


「なら、こういうのはどう? 僕達の誰かが死にそうになるまで手を出さない……もし君が無理だと判断したなら殺しても構わない」


 クレアの目が大きく見開かれた。

 

「勝てると思ってるの?」

「勝てる勝てないじゃない、出来る事は精一杯やりたいんだ」


 助けられるのなら助けるべきだ。

 どれだけ嫌な奴だろうと、目の前で知り合いが死ぬなんて放ってはおけない。


「ふ~ん、いいよ……ギリギリまで見守ってあげる」

「皆、それでいい?」

 

 僕は皆の方を見ると、セシア以外は僕の言葉に賛成の様だった。



 

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