各控室 サウル編

 一方、一刀法生組では……。

 

 少し緊張する。

 どれと相対しても、恐らく勝てない圧倒的な相手だ。

 ミナ《師匠》においてはまだ僕に対して魔法箱を使ってさえいない。

 恐らく相手も僕らに合わせてくる。

 ならば相手は師匠かエレナさんだ。

 どちらも強力な魔導士だ。

 師匠が火力重視の万能型だとするなら、エレナさんは数重視万能型だ。

 

「緊張してる?」

「ううん、セシアこそ大丈夫?」

「えぇ、私は大丈夫……それよりお願いがあるのだけれど」

「お願い?」


 セシアがお願いをするなんて珍しい。


「えぇ、恐らく今回の戦いは私達の 盤面フィールドで戦ってくると思うの」


 戦術面でのお願いか……っという事はセシアは師匠に再戦したいという事だろうか。


「だから、今回の試合は貴方が先生と戦って」


 意外だった、てっきり再戦したいと言い出すかと思っていた。


「いいの?」

「えぇ、今回は貴方に譲ってあげる」

「……わかりました」

「ま、私がエレナさんを倒して貴方が倒れたら次は私の番だし」


 エレナさんと戦ってみたいって事か……。

 そう言うと、ノックが聞こえてくる。


「準備はよろしいですか?」


 女性がそう言うと、僕らは会場に向かう。


「勝つわよ!」

「うん!」

「えぇ!」

「やってやるです!」


 そう言って互いに会場に足を踏み入れた。


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