準々決勝第三試合
またウェルサの力が変わった。
前は火魔法でセシアと戦っていたのに、今回は闇魔法で相手をかく乱していた。
適性的にはありえない事ではないが、上級魔法を無詠唱で使っているのにどうしても違和感しかなかった。
「幻影魔法か……あの魔法が使えるのならサウルより席が上だと思うんだけど……」
当然だ、上級魔法を無詠唱というのは下手をすると、現六法生ですら負ける可能性があるのだから。
「彼、元々は初級魔法も扱うのがギリギリだったんです」
「それ、本当なのか!?」
その言葉に両親とレイスは驚愕の声を上げる。
「え、えぇ……それと最初の頃は水、セシアと戦った時は火……今回は陰魔法……上級魔法はセシアと戦った時に初めて見ました」
「セシアちゃんと戦ったのはどのくらい前の話なんだい?」
「四か月ほど前、クラス選抜戦の時です」
「クロウ」
「御意」
レイスの言葉に一人の男性が現れる。
その姿は仮面と黒装束に包まれ、隠密といった感じだ。
「その今戦っていた陰魔法の男の監視を」
「御意」
男はスゥっと姿を消す。
陰魔法の類なのだろう、視界から消えたが両親は見ていた。
「出ていく時くらい魔法を使わず出ていきなさいよ」
先程彼がいた場所を見てそういった。
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