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場所は変わって泊っている宿屋から少し離れた場所の湖。
国の敷地内にあり、観光地として有名だそうだ。
「流石に人が多いわね」
今日が特別な日なのか、家族や恋人が観光で来ている。
「うっわ~、カップルだらけ……ん? あれ……」
レアが指差す方を見ると、見知った家族が三人見えた。
「……クレアの家族じゃない」
「ちょっと待ちなさい」
セシアがそう言うと、ミリスはノーモーションで向かおうとするレアを止める。
「え~、だって~」
「今日は家族で来てるみたいだし、邪魔しちゃだめだよ」
「別にいいよ、皆で回った方が楽しいし!」
声のする方向に振り向くと、クレアがいた。
「あれ、さっき」
歩いていた方向を見ると、クレアの両親はこちらを見ている。
かなり離れていたはずなのに、クレアは一瞬で気づき近づいてきた。
「それで、どこ行くの?」
「この先にいいスポットがあるから行こうと思ってたんだ」
「そうなんだ!」
「スポットってここの反対側の場所か?」
いつの間にかナオトとハナもこちらに合流していた。
「えぇ、よく知ってますね」
「昔、ここに来たことがあってな、ある人にその時教えてもらった」
「え……」
オットーは驚いた顔をしていた。
「それより、皆試合お疲れ様~」
「ありがとうございます、見られていたんですね」
「あぁ、試合見てたぞ……皆健闘していたな」
ナオトがそう言うと、クレアがキラキラした瞳で、
「お父さん、私も学院入りたい! 面白そうだもの」
「駄目だ、お前を一人には出来ない。 何をやらかすか……」
溜息を吐き、クレアにそういうナオト。
クレアはむぅ~っと頬を膨らませる。
「ほら、行くぞ……いい時間に間に合わなくなる」
ナオトがクレアを無視して歩き出す。
クレアは膨らましたまま不機嫌についていく。
僕らもそのあとを追った。
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