151話 第三の試練

 ミナの箱から雷を凝縮した人型が、正座をして目の前に現れる。


「すみませんが、お願いします……レキ」

「わかりました」

 

 どこからか声が聞こえる。

 レキと呼ばれた存在はそういうと、立ち上がって剣を抜き構える。

 剣士、それに言うにふさわしい形をしていた。

 身体に甲冑を纏い、兜姿の形をしているので性別は分からないが、先程の声からして女性だろう。

 

「それが、第三門ね……先程とはずいぶん小さいわね」


 小さい……確かに今までの門に比べれば、人型で小さく見えるだろう。

 しかし、小さいとは言ってもルミリナと同じ身長だ。

 

「とはいっても レキ《この方》は強いですよ?」

「ミナ、貴方の方が小さいでしょ」

 

 ミナの言葉にレキが反論する。

 当然だ、ミナの方が圧倒的に小さいのだから。


「そ、そんなことよりお願いしますね!」

「はいはい……」


 呆れたようにミナにそういうと、ルミリナに向き直す。

 ルミリナも向き合い、何かを感じたのか真剣な表情になる。


「それじゃあ、ついてきてね」


 レキの言葉が終わると同時に雷が彼女の周りで激しさを増す。

 二人は互いに機を窺っているのか一歩も動かない。

 

「ふむ、いいわね……隙が無いいい構えだわ」


 レキはつぶやくが、ルミリナは無言のままレキを見ている。

 数秒が立ち、ルミリナは動き出そうとするがレキが先に動き出していた。


「動作に無駄が多いわ」


 そういうと、剣を振りかざす。

 ルミリナは魔法剣で何とか受け止めるが、後ろに吹き飛ばされる。

 

「……がはっ!?」

 

 一撃が重かったのか、後ろに叩きつけられ苦悶の声をあげた。




 


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