142話 皆の変化

 そして何事も無く過ごしていくうちに次の大会が控えていた。


「ねぇ、私と組んでよ!」


 私がそう言うと不思議そうな顔でミナは見てくる。


「え、どうして私と組みたいんですか?」

「逆にどうして誘われないと思ったの?」


 ここ最近話して仲良くなっていると思ったのに……。


「だって、私一般生ですよ? 貴族の貴方はそれにふさわしい人と組むべきです」

「いいから組め!」

 

 なんでこの子はこんなに卑屈なのか……。

 私は彼女に持っていた紙を彼女の机の上に置く。


「早く書け!」

「えぇ~」


 彼女は私が出したペンを受け取ると書こうとしたが、ペンを紙の前で止めるともう一度私を見る。


「何?」

「本当にいいのですか?」

「何度言わせる気!? いい、私があなたと組みたいの! ミナは私と組みたくないの!?」

「正直、わかりません……私は今まで一人だったので……」


 確かに彼女は今まで一人だったのか、よく見ると彼女は少しうれしそうな顔をしているように見えた。


「じゃあ、今から三人で頑張ろう……ほら、何してんの……ルミリナ……」


 後ろの方へ声をかけるとルミリナは私達の前へ現れる。


「わ、私は組むなんて一言も……」

「じゃあいいよ、二人でも優勝できるから」

「なっ……」


 ルミリナはぐぬぬっと唸りながら私を見る。

 彼女は変わった。 

 理由はわからないが、彼女も徐々に一般生に対する対応に変化が現れ、今ではミナにゾッコンなのだ。


「わ、私は……ルミリナさんとも一緒に出場したい……かも……」

「はぅ! わ、私だってあなたと組みたいに決まってるわ!」


 嬉しそうにそう言うと机にあった紙に自分の名前を加えている。


「これで、優勝間違いないわ」

「………はい、頑張りましょう!」


 ルミリナの言葉に嬉しそうに答えるミナだった




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