141話 エレナの疑問
「ねぇ、どうして貴方は一人でいるの?」
「私と彼らとは住む世界が違う……あぁ、言い方が悪かったので訂正すると、私はどこにでもいる庶民でほとんどは上流階級……学院を卒業したら関わることなんてありません」
ふと私はそんな疑問を口にすると、ミナは本を読みながら答える。
「でもさ、何かをするにしても貴族達と繋がり持っておくのは良い事じゃない?」
正直、私の周りでもそんな人達だらけだ。
上に行こうと媚びを売り、必要とあらば自身の子供でさえ道具のように扱う。
子供の意思など大人にとってはその辺の石ころだと思っている。
使えるのなら拾い、使えないならその辺にポイだ。
「う~ん、私は魔法の研究が出来ればそれでいいですし」
「なら余計に仲良くしておくべきじゃないの?」
「うん、出来ることなら仲良くしたいですよ? だけど、彼女達にとっては私は目障りで関わりたくない対称なんです」
彼女の言う通り、貴族というのは物凄く複雑だ。
特にこの学院は貴族が多いという事もあり、必然的に一般生は孤立してしまう。
私の場合は貴族という事もあり、何という事は無いが一般でましてや主席の彼女は彼女達にとっては目障りだろう。
ほとんどの貴族が卒業できない中、彼女は卒業しようとしている。
私も最初は勿論、彼女が主席で腹が立っていた。
それは一般生という事ではなく、単に私より弱いと言うだけだ。
しかし、どうだろうか?
現状、彼女は強い……二席のルミリナでさえ、彼女に勝てはしない。
最初は五鞘にいるような器ではないとさえ思えた。
なのに今は学院の誰もが羨むほどの力を持っている。
私もよくよく考えたら、彼女を嫌う理由はもうない。
だけど、貴族の尊厳というものはそうはいかない。
一般生に負ける……つまり、その貴族は庶民より下という事が許せないのだ。
私も、
この学院で過ごすうちにどうやら私は変わっていたみたいだ。
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