129話 セシアの反撃

「炎槍よ!」


 セシアの手に炎の魔槍が現れる。


「その槍で倒せると思ってんの?」

「えぇ、この魔法で十分よ……」


 手を上に挙げると、膝を屈める。


雷炎槍らいえんそう!」


 セシアが一直線にウェルサに向かって襲い掛かる。

 あの速さで来られたら、初見では躱せないだろう。


「ふん!」


 躱せないと分かったのか、ウェルサは手を前に出し、魔壁で受け止めた。

 しかし、受け止めたのは良いが、威力が凄いのかウェルサの顔が歪む。

 弾き反らそうとするが、魔力の壁が破られた。

 同時に魔法の槍が消える。

 その隙を逃さず、セシアは魔力を込める。


 手から四本の槍がウェルサを中心に四方に刺さる。

 これは……。


火鳥籠ひのとりかご


 ウェルサの四方の槍が互いにつながり、上に伸びると鳥籠の形になる。


「こんなもの……水壁ウォーターガード

 

 自分の周りを水の壁で覆う。 

 それは愚策だ……。

 セシアはそのまま魔法を唱える。

 

「……灼籠やくかご


 鳥籠の中が業火に包まれると同時に爆発して霧が発生する。

 ウェルサは倒れる。

 爆発の衝撃は何かで抑えたようだが、湿度の高さでその場に崩れ落ちる。


 サウナより高い湿度で汗が止まっていない。

 風魔法で払えばいいのだが、呼吸もままならない。

 そして彼は意識を失い、セシアの勝利が決まった。

 

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