113話 格闘戦

 格闘戦の会場は変わらない場所で行われる。

 ただ一つ違うとすれば、結界がないと言うくらいだ。

 格闘戦は武器や魔法の使用は無く、只々己の身体のみで競い合う戦いだ。

 第一試合は剣技科の一刀生の首席対フィオレスの子が戦っていた。


 ふーん、あの子が首席か……。

 

 一見どこにでもいる普通の小柄な女の子だが、何故か底知れぬ強さを感じる。


「では、アルス学院剣技科一刀生首席アリエ対フィオレス学院剣技科一刀生首席ボットの試合を始める」


 互いに構えるっと思いきや、アリエと呼ばれた少女は構えなかった。


「構えなくても良いの?」


 カエラがそう言うと、アリエは笑顔でカエラを見る。


「はい、大丈夫です」


 心配そうに見るカエラにアリエが言うと、筋骨隆々のボットが笑っていた。


「こんな貧相な女が首席かよ! 剣技科も地に落ちたな!」


 大笑いしている前でカエラは笑顔で男を見ている。

 目は全く笑っていないが……。

 

「では、はじめ!」

 

 ボットはニヤリと笑う。


「これだと上のやつも大した事なさそうだぜ!」


 そう言って彼女の腕を掴もうと手を伸ばす。

 瞬間、ボットは後ろにのけぞった。


 速い!


 ギリギリ見えたが、彼女が左手で右手を弾き、その拳が彼の顔面を殴ったのだ。

 そのまま男はなんとか、大勢を立て直す。


「な、何が!?」


 あの攻撃が見えなかったのだろう。

 驚いた感じでアリエを見ている。

 アリエは不思議そうに見ている。


「おっと、流石見た目通り頑丈ですね〜」

「テ、テメェ!」


 煽られたように取ったのか、勢いよく掴みかかろうとするボット。

 あの巨漢に突進されたら、彼女などひとたまりもない……しかし……。

 

「あーぁ、つまんないなぁ〜」


 そういうと、彼の背後を瞬時に取る。


「もう寝てて良いよ〜」


 そのまま両手を乗せると、勢いよく地面に叩きつけられる。

 そのままボットは動かなくなり、アリエの勝利となった。

















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