99話 迷い子

「……何でついて来たの?」

「………」

 

 ダンマリである。

 先程別れた少女がついて来ていたのだ。


「もうすぐ暗くなるから、帰った方がいいよ?」

「………」


 俯いたまま一言も話さない少女……どうしたものか。

 

「ただいま〜」

「おかえりなさ〜い」

「おかえりなさい!」


 僕がいうと少女も緊張したように言う。


「……誰? その子」

「あ、そう言えば……」


 名前を聞いていなかった。


「……ルナ……」

 

 ルナと名乗るとミリスは近づき、膝を折り、彼女の目線に立ち手を乗せる。


「私はミリス、サウル君の友達よ……よろしくね、ルナちゃん」


 コクっと頷き、「よろしく」っというとセシアがこちらに寄ってくる。


「何か訳あり?」

「えぇ、家族を探してるようで、偶然王都でその名前の人と会った事があるんですよ……もしかしたら、他人の空似かもしれませんが……」

「ふぅん……」


 そういうと、ルナは僕の方へ駆け寄ってくる。


「どうしたの?」

「さう…る……?」

「えぇ、僕の名前はサウル・ラットです」


 ルナに挨拶すると、ルナは抱きついてくる。


「お願い、ティオレに合わせて! お願い!」

「そう言われましても……」


 この子はまだ小さい、それに僕達は魔法学院の練習試合に来ているのだ。

 帰りの馬車に彼女を乗せることは出来ないだろう。


「ルナちゃん、貴方はまだ小さいでしょ? 親御さんとかに相談した方が……」

「親、ティオレ……だけ……」


 そういうと、ルナは俯いてしまった。


「ミリス、ちょっと……」


 そういうと、二人に経緯を話した。


「あれ、じゃあ、探し他人って……」

「うん、どうやらティオレって人らしい……」


 そういうと、セシアはティオレに近づく。


「話は聞いたわ、貴方に少し聞く事があるわ」





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