59話 教え子と弟子
いつの間にか、後ろにいたセシア。
「貴方、どうしてここに? 貴方は行けないと言われてましたけど」
「そんなの、一般試験で受かったからに決まってるじゃないですか」
………え?
てっきり推薦組だと思っていた。
貴族の坊ちゃん嬢ちゃんは、ほぼ全員と言っていい程推薦で来ているのでセシアもそうだと思っていたが、一般組だったとは……。
「あの両親がよく許可しましたね」
「そんなの関係ないわ! 内緒で受けたとはいえ、合格すればこっちのもんよ!」
確かに受かれば、この学院に入れるので貴族にとっては行かせない理由はない。
「相変わらず破天荒な……」
「だって、お父様がウェルサが行くのだから必要ないって言うし、兄が自慢してウザイしそれに……ミナさんにも会いたかったし……」
恥ずかしそうに言うセシアにミナは近づき、
「よくきましたね、セシア……」
そう言ってミナが頭を撫でると、まるで犬が飼い主に撫でられてるように嬉しそうにする。
「さて、主席は貴方で次席はサウルですか……訓練サボってたんですか?」
酷い言われようだ。
「仕方ないじゃないですか、あの後2人とも王都へ行っちゃって自主練だったんですから……」
「え?」
「?」
「師匠達ここに居たんですか?」
「えぇ、師匠が王都に帰ってすぐに……」
そう言うと、ミナは両手で僕の肩を掴み、
「何で連絡くれないかな! あの人は〜!」
そう言って僕の身体を前後に揺らす。
「知りませんよ!」
「も〜!」
そう言うと、手を離し地団駄を踏む。
「ほんっと昔っからあの人はそうなんです! 毎回毎回……も〜!」
ミナが叫んでいると、周りが振り向く。
「何あれ、痴情のもつれ?」
「ってかあれミナ様じゃない?」
「いやいや、多分あれは新入生だよ……それに痴情のもつれだとしても、ミナ様があんなに暴れる訳ないもの」
「そうよね、まずミナ様に限ってそんな事はないわよ」
そういってる間に人数が少なくなっていた。
ミナはというと、何かぶつぶつ呟いている。
「セシア、ミリス……行きましょう……」
これ以上関わってはいけない気がしたので、エレナにあとは任せて掲示板の前へ行く。
先程よりかは人が少ないので隙間を割って入ることができた。
Aクラス
主席 セシア・マックハート
次席 サウル・ラット
三席 オットー・スーウェン
四席 コロナ・ウィンベル
五席 レア・ルゥ
その他
ミリス・レイン
6人の名前が張り出された。
ウェルサを含め6人がBクラスに行き、ミリスがAクラスに昇格した。
「ミリスA昇格おめでとう」
「ありがとう」
互いに微笑み合う。
わかっていた事だが、それでも知り合いが一緒なのは嬉しい。
主席はセシアかぁ〜。
普通は主人公が主席なんだろうけど、漫画や小説みたいにはいかないのが現実である。
まぁこれからか……。
教室の場所を確認すると、3人で教室へ向かった。
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