60話 Aクラス
「ところで聞きたいのだけれど、もう1人の生徒はAじゃないのかしら?」
「あぁ〜、テイル君? 彼ならAを断ったみたい」
断った?
意外な言葉だった。
この学院の生徒は皆、Aや上を目指す人間ばかりだ。
「あぁ、でも勘違いしないでね…彼、Aが嫌とかそういうのじゃないんだよ」
聞けば、彼はミリスとAに上がる予定だったのだが……。
「上がる資格はないってBにしたみたい」
Aでも正直、セシア以外…彼に勝てるかと言われればわからない。
少なくとも僕自身は勝てる自信がない。
次席と言っても現時点で決まった称号に過ぎないのだ。
この学院では毎年、幾つもの模擬戦が行われる。
五鞘をかけての模擬戦がほとんどなのだ。
ミナから聞いた話だと一法生の頃は実力を見るために上級生や同級生が挑んでくる。
上級生からすれば世代の実力の確認と勝てば拍がつくという名目で……同級生はクラス分けで駄目だった分、称号で挽回しようという輩が挑んでくる。
勿論、五鞘は闘いを拒否出来る……しかし、拒否し続けると査定に響く事がある。
「まぁ、彼なら大丈夫でしょ」
「知り合い何ですか?」
「ううん、Bクラスいた時少し話しただけだけど……彼には何か強い意志を感じたんだ」
教室につき、入るとレアがこちらに気づき、近づいてくる。
「おっはよ〜、これからよろしくね! ミリス・レインさん」
「え、あぁ…うん、よろしくね……えっと……」
グイグイくるレアに動揺していると彼女は自己紹介をする。
「レア・ルゥだよ、私はAの中でも最弱だから…足を引っ張らないよう頑張るね!」
どこが最弱だよ……。
前回の模擬戦……確かにコロナとオットーが圧倒的だったが、彼女は何か魔法を発動していた。
「どこが最弱だ……」
後ろからオットーの声が聞こえる。
「おいっすオットー君、今日も仲良く登校かい? 君達付き合ってるの?」
茶化したように言うと、コロナは表情を崩さずに、
「幼馴染なだけ、そう言うのじゃないから」
コロナがそう言うと、オットーはコロナからは見えないがめっちゃ落ち込んでる。
片思いかな?
「それよりも、レアさん……この前の模擬戦、何か魔法を使ってなかった?」
そういうと、レアはキョトンっとした顔で、
「え、私? 何もしてないよー」
「答えたくない…か……まぁいい、これからよろしくな」
「よろしく〜」
はぐらかす彼女に言及するのを諦めたようだ。
「こちらこそ、お互い頑張りましょう」
「えぇ、よろしくお願いします」
つくづく、僕とウェルサ以外には好意的に返すセシアだった。
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