58話 六法生第四席

次の日……。

 掲示板にクラス分けが張り出される。

 特にAクラスには多くの注目が集まっている。

 学年の頂点なのだから当然っちゃ当然なのだが……。

 とにかく人が多い……。

 一法生だけでなく、全法生が居るので掲示板を見る事が出来ない。

 

「何してるの?」


 ジャンプしている僕に声をかけてきたのはミナだった。


「あ、師匠…お久しぶりです」

「えぇ、お久しぶりです。 師匠はどうしてここに?」

「あぁ、新入生のクラス分けが決まったそうなので見ておこうかなって思って」


 ミナがそう言うと、後ろの女生徒が、


「この子が言ってた弟子エネクト? 随分幼いわね、もしかして‥‥」


 そう言うと、ミナは杖で彼女の腹を殴ろうとする。


「おいおい、危ないじゃない…もしかして図星?」

「私達の第四席様がしょうもない事言うから」


 笑顔で言う彼女はどこか、母に似ていた。

 笑顔の目の奥が笑っていない。


「はいはい、そういう事にしておくわ」


 ミナの圧に全く動揺していない、流石第四席と言った所だろうか。

 ミナの世代は歴代学院の中でも2・3に入るほどの実力者揃いだそうだ。

 何故一位じゃないのか、それは僕の両親の世代が圧倒的だからである。

 国家魔法大会ルミナスで上級生を差し置き、6連覇を成し遂げた世代だ。

 ミナは面倒くさそうにため息をつく。


「サウル、この子はエレナ・ベレッタ…私達の世代の第四席で、二つ名は魔弾の射手って呼ばれてるわ」


 二つ名はなんてあるのか、いいなぁ〜。

 どこか厨二病くささがあって身体がむず痒くなる。


「因みに師匠は何て呼ばれてるんですか?」

「………」


 そういうと、ビクッと身体を震わせるミナ。

 後ろを見ると、エレナと呼ばれた女性は必死に笑いを堪えている。

 

「あ、いたいた……」

 

 声の方を見ると、ミリスがこちらに歩いてきた。

 教官に呼び出されたので一度別れていたのだ。


「話は終わった?」

「うん、それよりすごい人だね〜。 そっちの人達は?」

「この人は僕の師匠のミナとエレナさんです」


 そういうと、ミリスは目を見開く。


「え、六法生の第一席と第四席の?」

「まぁ……」

「………へぇ〜、この人達が……」


 まるで品定めでもするかのようにミリスは二人を見る。

 

「とりあえず、行きましょう……クラス気になりますし」

「あぁ、一人以外は僕知ってますよ?」

「っと言う事はAなんですね」

「えぇ、第二席の称号です」


 僕がそう言うと、深くため息をつき落ち込む。


「マジですか、師匠に教えられて次席だなんて……」


 落胆したような顔をして見てくる。

 え、ここって「まぁ、及第点ですね」 っとか 「流石、私に弟子ですね」っと言われると思ったのに……。


「はぁ、マジですか……がっかりです」


 酷い言われようだ。


「それで、第一席はどのような……」

「私よ!」


 セシアが現れた。


 

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