32話 和解、そして夢の中の少女

「二人とも、どうしたの?」

「………よ」

「え?」

「行かないでよ」


 震えながらいうルラにどうしていいかわからず、固まる。


「………ごめん、私の我儘なのはわかってる。 だけど……」


 暫らくしてルラは口を開くと小さな手を更にぎゅっと握る。

 少ししてルラは離れる。


 「向こうで女の子に鼻の下伸ばして卒業できなかったら許さないんだから」


 背中を向け、言うルラ。

 顔はこちらに向けず、そう言い放つ。


「そんなことしませんよ。 何しに行くと思ってるんですか?」

「どうだか、いっつも胸とか見てるし」

「うぅ」


 心は二十代なのだからどうしても見てしまう。


「あはは、冗談だよ……頑張りなよ、も応援してるから」

「ありがとうルラ」

「ん~……それじゃあ戻ろっか?」

 

 ルラは背伸びをすると、こちらに笑顔をこちらを見て言う。

 気が付くと、すっかり身体が冷えてしまった。

 

「ですね、冷えて来ましたし、戻りましょうか」

「うん」

 

 二人は宴会場へ戻ろうとするとルラが身体を寄せる。

 

「約束、絶対戻ってくるって」

「うん、約束する」


 ルラが小指を出すと、こちらも小指を出し絡める。


「君達を守れるくらいに強くなるから、ルラも魔術の勉強頑張って」


 ルラは頷き、互いの指を離す。

 そうして二人は宴会に戻るのだった。


―――――――――――――――


 その日の夜


「んっ……」

 

 目を開けると辺りは真っ白な空間に私はいた。

 何気ない顔でルラは起き上がると、ある方向を見る。

 黒色の髪を結い、自分とは違い三つの網目で結っている奇妙な服装の少女がいた。

 ルラは彼女を知っているのか、ツンっとした態度で少女を見つめる。 


「相変わらず、冷たいなぁ~」

「貴方の言うことは本当だった」

「そう、やっぱり」


 まるで未来予知したかの如く、少女はサウルのやることを当てた。

 最初は少女の事を夢の中のお友達として認知していた。

 沢山遊んでもらったし、楽しかった。

 

「なんでわかったの?」


 サウルについては話していたが、それだけで実際に向こうで面識もなければ村の人間にもこのような格好の少女はいない。

 

「う~ん、サウル君じゃなくて知り合いにね、よく似た子がいるんだよ」

「よく似た子?」

「うん、魔法やいろんなことが好きでむっつりで面倒見が良くてとっても優しいだんだよね」

「それって下心丸出しっていうんじゃ」

 

 ルラがそう言うと少女は大笑いする。


「ないない、そんな度胸無いよ。 むっつりな癖にヘタレなんだから」

「ふ~ん、貴方もその子が好きなの?」

「うん、大好きだよ」


 ルラが質問すると笑顔でそう答える。


「この世界の人?」


 首を横に振る。


「ううん、でも恋人にもうすぐなれた……と思う」

「なれた?」

「ううん、なれなかった。 だから貴方には後悔してほしくないの」

「後悔?」

「うん、ちゃんと手綱を握っとかないとああいう子は気付かないんだから」

「? なにが?」

「まだ君にはわからないか」


 勝ち誇ったように言う彼女にルラは頬を膨らます。


「いいもん、私は別に」

「まぁ君がその感情の正体がわかるまで付き合ってあげるよ」


 この感情は私にはまだわからない。

 サウルと居ると身体が熱くなるし、落ち着く。

 私が

 

「じゃあ取り敢えず今日も始めましようか」

「えぇ、今日も始めましょうか」


 そう言うと互いに顔を見合わせる。

 いっせーのっという感じでいう。 


「「」」


 そう言うとルラが目覚めるまでの間、二人は魔法について語り明かすのだった。

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