33話 別れ
次の日の朝
「それじゃあ私はこれで。 サウル、学園でまた会いましょう」
そう言うと次の日の朝ミナは馬車に乗り、ウオラ達はこちらを見る。
「それじゃあ俺達も行ってくるな」
「はい、それではまた王都で」
「ルラちゃんとリラちゃん、ちょっと」
「「?」」
ミリーがそう言うと、二人は離れて何かを話している。
「なぁ、サウル」
「はい?」
ウオラが三人を見ながら話しかけてくる。
「この村は良いな」
「………はい」
「俺達は先に行くが、鍛錬を怠るなよ。」
「大丈夫ですよ」
「それじゃあ最後に俺の固有魔法を見せてやろう」
そう言うとウオラは構える。
構えは四大流派の構えどれにも当てはまらない。
何故なら普通、他の流派は一本の剣のみで戦う。
今ウオラの構えは二本の長くもなく短くもない剣を互いに持ち、させて構えている。
「ふぅ~」
大きく息を吐く長さは長く吐き終えると、上から二つの剣を振り下ろす。
普通の斬撃に見えた。
斬撃は雷流の抜刀並みに速く清流のように滑らかに軌道を描く。
一振りで終えると、空気が切り裂かれる音だろうか、スパっという音が響く。
その音は一振りの音ではなく複数の斬撃の音が目の前で響く。
音が響くと突風が舞う。
風が止み目を開けると、そこには何もなかった。
「斬撃が何個に見えた?」
「複数です」
「正確に」
「音的に少なくとも四つ以上には聞こえましたが、正確に見えたのは二つでした」
「そうか」
「あの、いくつなんですか?」
「8だ」
正直二つの剣が普通より遅い速度で振り下ろされたようにしか見えなかった。
「まぁ、気にする事ないさ、鍛錬すればそこそこ見えるようになるだろうし」
「その技防げない気がするのですが」
「そうだな、今まで防げた奴は何人かいるぞ」
化け物級の技を防げるなんて、相手も化け物なのだろう。
引き攣った笑いを浮かべてしまう。
「あはは」
「頑張るこったな」
頭に手を乗せそう言うとミリーたちは戻ってくる。
「お待たせ~」
「おう、じゃあ行くか」
「うん、じゃあねサウル。 二か月後王都で」
「はい、二人ともお気をつけて」
ウオラとミリーはミナの乗ってきた馬車に乗る。
三人が乗ると、王都に向かって走っていく。
馬車が見えなくなるまで手を振り見送る。
馬車が消え、二人に向き直る。
「さて、今日も訓練しよっか」
「そうね!」
「あ、でも戦いするのに結界どうしよう」
ルラは右ポケットから石を取り出す。
「ミリーさんから預かったこれで結界作れる」
「あ、さっき話してたのって使い方?」
「そうそう」
「じゃあ始めよっか」
「うん」
ルラは魔力を込めると周りに結界が張られる。
ミリーが渡したのは魔法石と言って魔石に魔法陣を刻んだ特殊な石だ。
「じゃあまずは私達からね」
ルラは結界を張っているし、必然的にリラと戦う事になる。
「今日は勝つわよ!」
「その前にどの戦いにしますか?」
「フリー戦でいいわよ。 剣ではサウルは相手にならないし、魔法では私が圧倒的に不利だしね」
「了解しました」
互いに構える。
そうして今日から師匠のいない訓練が幕を開けるのだった。
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