第13話

 次の日


「二人とも~用意出来た?」

「「は~い」」


 二人はリュックを背負い僕の方へ来た

 僕は二人に頭を下げ


「お世話になりました」

「おう、何時でも泊りに来いよ!」

「行ってきます!!」


リラが元気よく言うとルラも


「行ってきます……」

「気を付けてな~」


 そう言って僕らは彼女らの家を後にして僕の家に向かう


「ねぇ、冒険者ギルドってどんなところなの?」


 リラにそう聞かれ少し戸惑う

 なんせ何もなかったからだ

 喧嘩や荒くれ者たちが集うイメージだが決してそんなことはなく皆良い人達ばかりだったのだ


「う~ん、父様みたいな感じかな……」

「ならいい人達ばかりね!! 荒くれ者ばかりのイメージだったからルラが怖がっちゃって……」

「怖がってるのはリラでしょ? 私はサウルが守ってくれるよね?」


 そう言って僕の右腕に腕を絡ませる


「あ、ズルい!! 私も守りなさいよ!!」


 今度はリラが反対側の左腕に腕を絡ませる


「え~、リラってばサウルを守るんじゃなかったの?」

「そ、それはほら今はサウルの方が強いわけだし……」

「あの、僕まだ習いたてですよ?」

 

 何なら一日練習しただけだし……


「……とにかく!! サウルは私達を守りなさい!! いいわね!?」


 そう言うとルラが耳元で


「守ってくれないと大声であの事言っちゃうぞ☆」


 その瞬間背筋が凍った

 まさかの彼女が脅してきたのだ

 純真な蒼い瞳でそう言う彼女……恐ろしい……

 

「はい!! 全力でお守りいたします!!」


 僕はばれたくない一心で背筋を伸ばし彼女達に敬礼する


「?」

「ふふっ……」


 意味が分からず首を横にコクッ傾げるリラと笑顔で僕の事を見るルラ


「と、取り敢えず僕が見た限りの冒険者ギルドは何事もなかったですよ……」

「なら安心ね」

「そうね、リラがお漏らししないか心配だったけど大丈……」

「しないわよ!! あんた私をなんだと!!」

「ごめんごめん、いい大人だもんね……大丈夫よね?」


 君達、僕と同い年だよね?


「当たり前よ! 六歳になっておねしょだなんてしないわ!!」


 先程から聞いてて思ったことはルラって小動物みたいな仕草や行動なのにもしかしてSじゃないかと思えてきた


「なら安心ね……」


 笑顔で言いながら僕達が歩いていくと家の前でウオラとミリーが手を振っていた

 僕達は二人のいる場所へ向かい 


「おかえりなさい 父様、母様……」

「おう、ただいま! 元気にしてたか?」

「二人ともこんにちわ~」

「はい、僕は元気です」

「「こんにちわ~」」

「じゃあ、今からアルス王国へ向かうぞ!!」


 そう言って僕達は近くの馬車が借りられる所まで歩くのだった



―――――――――――


「外ってこんな感じなのね!」


 馬車を借り前のように道を突き進んで行く


「リラ、落ちないでよ……」

「大丈夫よ!!私をなんだと……うわっ!」


 リラが体勢を崩しそうになったのでミリーが後ろに引っ張る


「お転婆なのはいいけど気を付けてね、落ちると痛いから」

「ごめんなさい……」

「ほら言わんこっちゃない……」

「ルラ、口が悪いわよ」

「………」


 リラがそう言うとルラは黙る

 これがルラの本性なのかもしれない

 

「ルラちゃん大丈夫?」


 ミリーが心配そうにルラを見つめている

 よく見ると顔は少し青く辛そうな顔をしている


「馬車酔いか? ルラちゃん」

「大丈夫……です……」


 そう言って彼女は本を開こうとする

 酔っているのにそれをやるのはよくないと言おうとしたが先にリラが動きルラの本を取り上げる


「何するの? 返して……」

「なら気分がよくなったら返してあげるわよ」

「だから、大丈夫だ……」

「いいから大人しくしていなさい!!」

「………」

「ウオラさん、ちょっと休めますか?」

「それじゃあ少し歩くか……」


 そう言ってウオラは馬を止めミリーはルラの方を見て

 

「歩けそう?」

「ん、大丈夫……」


 ふらつきながら立ち上がるとリラは段差の所で待っていた


「ほら、手……」


 リラは手を差し述べると照れくさそうに彼女の手を取り下りる


「ん、ありがとう……」

「どういたしまして」


 そう言うと僕達は歩き出すのだった

 

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