12話 魔獣掃討
一方その頃
ウオルとミリーは魔獣の目撃情報の場所に来ていた
「この辺りだが……」
「ウオル、これ……」
黒色の髪に2つの赤と蒼の鋭い瞳の男ギースに呼ばれ振り向くと、ある物を受け取る。
そこには紅く輝く綺麗な石があった。
「何故これがこんな場所に……」
「殺した魔獣の中にこれが入っていた」
手にした石は魔石と呼ばれるもので電気や火など日常に使う為の物で魔石の貯蓄から変換などによってそれぞれすぐ使えるようになっている。
魔石の魔力は普通蒼く輝くだけなのだが、この魔結晶は紅く輝いていた。
そもそも魔石は初めは白色に輝いているがいくつか種類がありはじめの使い方によって使い道が決まる。
「魔獣に埋め込んでるということは王国絡みか?」
「だろうな……」
今現在、現国王が病に倒れ国王選定が始まっている為その権力争いだろう。
「全く、汚ねぇ真似しやがる……俺達がレイス支持者だからって」
レイスとはかつてのパーティー仲間であり、アルス王国第三皇子でかつての恋のライバルだ。
レイスは何もかも優秀で勉学や知識、戦闘においても全て俺なんかより優秀で全てにおいて完璧な人間だった。
しかし、完璧すぎるが故に反感を買っているのもまた事実である。
王国の後継者は全部で5人。
第一王子ルデオン
第二王子サルス
第三王子レイス
第四王女アリシア
第五王女サレン
この内、下の二人レイスより年上だが王位継承などまるで興味が無く女性ということもあり最後の方になっている。
ルデオンかサルス……いや、サルスはそんな卑怯なことはしない。
サルスは人を正々堂々と打ち負かすか、立ち向かう性格だ。
こんな回りくどいことはしない。
「まぁ、とにかく魔獣はある程度掃討……!?」
ギースと向く方に何か気配を感じる。
振り返ると狼が現れる。
狼なんて可愛い大きさではない化け物がこちらに歩いてくる。
その気配を知っていたのか、蒼髪の女性が一人眠そうに起き上がっていた。
「何だこいつは!?」
「わからねぇ、とにかく油断するなよ!!」
「全く、眠たいのに変な奴来ないでよ……」
「そう言うな、取り敢えず行くぞ!!」
配置に着き仕掛けてくるまで警戒する。
「やめろ、私は敵ではない……」
狼の口から声が発せられる。
「魔獣じゃないのか?」
「少なくともお前たちの敵ではない」
「じゃあお前は……」
「私の名前はいい、それよりこの辺の魔獣は掃討したみたいだな」
「わかるのか?」
「私は魔法感知があるからな、異常な魔力があればわかる」
獣の話が本当ならもうここには魔獣がいないことになる。
「まだ君がいるじゃないか」
「私もかつては魔獣だった……人を喰らい、最愛の人達の家族を喰らった憎むべき魔獣だ……」
「だった?」
「あぁ、私は理性を取り戻した……彼女達の魔法で……」
そんな魔法は聞いたことが無い、アルス王国では魔獣になった獣は元には戻らないと言われて抹殺しか救う方法はないと言われていた
「そいつは……今も生きているのか?」
「あぁ、生きている……と私は思いたい……」
「えらく情報を教えてくれるな」
「お前達には関係のないことだ……予言が見えん奴に教えたとて私の目的に支障はない……」
狼は背中を向け去っていった。
奴が去っていくと先ほどの殺伐とした雰囲気が消える。
「あれはやばいわ、戦闘にならなくてよかった~!!」
確かにあれは見なくてもっわかるほど規格外の強さのオーラを放っていた
見るだけで普通の人間なら恐怖で失神又は発狂しているだろう
「それにしてもあの狼は何かを探していたようだけど……」
奴は確かに何かを探してはいるようだったが黒幕ではないのなら放っておくことにこしたことはない
「とにかくこれを持ち帰って奴に調べてもらおう」
そう言って夜明けまで魔獣を警戒しながら夜明けとともに帰宅するのだった。
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