11話 お泊り

 リラとルラの家に着く。


「お邪魔しま~す!!」

「おう! いらっしゃいサウル、この前は悪かったな……」


 入っていきルースが申し訳なさそうに言う。

 恐らくあの時は何とか理由をつけて止めたかったのだろう。


「あの時の俺は大人げなかった、お前はまだ六歳というのに……」

「大丈夫ですよ、僕は気にしていません」


 心は20代ですから。


「まぁ、なんだ……気にせずにゆっくりくつろいで行ってくれ」

「はい、今日は一晩宜しくお願いします」

「それじゃあ俺達は少し村長の会議に出てくるな……」

「行ってらっしゃい……」


 そう言って二人が出ていくと上の方からリラが降りて来た


「あら、一緒だったの?」

「うん、昼間ばったりとあってな」

「ふ~ん」

「何だよ」

「別に……お風呂いこっと……」

「あ、私も……」

「あ、じゃあ僕…………何でもないです」


 二人が言い終わる前に笑顔でこちらを見ている。

 決して目は笑ってないけど。


「行こうルラ」

「うん……」


 二人は風呂場へ向かっていった。


「別にいいと思うんだけどな、まだ六歳だし」


 それいいのか、お義父さんよ……。


「六歳って言ってもあの子は女の子なのよ……」

「そんなもんかね?」

「そんなもんなのよ」

 

 しばらくたつと二人とも風呂から上がってきた。


「サウルも入りなさい」


 そう言われ風呂場に向かう。

 よくよく考えれば美少女の入った湯だ、人によっては高い金を払ってでも払いたくなる美少女エキスたっぷりの湯だ!!

 何度も言うが、ロリコンではない。

 しかし、同年代の美少女の湯だと意識してしまう。

 服を脱ぎ風呂に入る。


 「これが美少女湯か……」


 なんてことはない湯だが彼女達が先程まで入っていたというのが妄想を駆り立てる。

 そんなことを考えていると、先程開いていなかった扉が少し開いているのに気が付いた。

 そこにはルラがこちらを見て引いている。


「ちょ、ちょっとまってルラ!!」


 ルラはまるでゴミでも見るかのような目をこちらに向けている。


「………変態」


 その言葉が心にクリティカルヒットする。 

 ルラはお風呂場を出ていく。

 何故だろう……何かを失ったはずなのに何か新しい物を手に入れた気がする。

 ルラからの信頼は堕ち、あの蔑んだような目で見られて何かに目覚めかけた僕なのだった。



――――――――――――――


 風呂から上がりリビングに行くと二人が待っていた。


「遅いわよ! 早くあのシンケイスイジャク? しましょうよ!!」


 よかった、ルラはリラに何も言わなかったみたいだ。

 言われたら今頃血祭だけど。


「あ、はい……」

「なんだなんだ? 面白いのか?」


 不思議そうに見ているルース。


「ならみんなでしませんか?」

「面白そう!! お母さんもやろう!!」

「え~」


 カードを広げルースとヒルダにやり方を教える

 

「ほう、これは記憶力の勝負か……」

「そんな感じです」


 カードをシャッフルし適当に並べていく。


「それじゃあ、まず順番を決めるためにこちらを……」

「それは?」

「順番を決めるカードです」


 カードを引くと僕→ルラ→ヒルダ→ルース→リラの順番となり、ゲームを開始した。


最初の結果

48組中

一位ルラ  13組

二位ヒルダ 11組

三位ルース 9組

四位僕   8組

五位リラ  7組


「惜しかったですねリラ」

「次は負けないわよ!!」



二回目


一位ルラ  13組

二位僕   10組

三位ヒルダ 9組

三位ルース 9組

五位リラ  7組


 「次!」



三回目


一位ルラ  12組

二位僕   11組

三位リラ  9組

四位ルース 8組

四位ヒルダ 8組


「やった~! 勝てた~!」

「おめでとう、リラ」

「次はサウルよ! 覚悟しなさい!」

「それじゃあ私達は寝るわ、貴方達も早く寝なさいね」

「は~い!」


 最後はリラに花を持たせるためにわざと負けたに違いない。

 

「それじゃあそろそろ僕も」

「え~!」

「明日の遠征忘れてませんか?」

「そうだった!! 皆寝るわよ!!」


 変わり身早いなリラは……。


「じゃあ、僕は向こうの部屋なんでおやすみなさい」

「おやすみ~」

 

 用意された部屋のベッドに入る。

 布団に入ると蒼の事について考える。

 蒼はどこにいるのだろう……。

 探しても探してもこの村にはいなかった。

 唯一雰囲気が似ているルラに聞いてみたが、わからないと言っていた。


 転生場所がずれたとか?


 例えば何か干渉があってここではない世界に転生。 

 若しくはこの世界の何処かに転生しているか。 

 いずれにしても蒼が幸せな人生を送れているのかがどうしても気がかりだ。

 

 そんなことを考えていると、扉が開く音がしてそちらに目を向ける。


「やっぱり駄目だよ」

「大丈夫よ、どうせ寝て……」


 声の方を向くとまるでだるまさんが転んだの用に目が合った瞬間二人は固まる。


「何してんの?」

「あ、えっと……夜這い?」


 どこでそんな言葉覚えてきたの!!

 マセガキは恐ろしい。


「意味わかってます?」

「わかってるわよ……」


 そう言って布団に入ってくる。


「ほら、ルラは反対に入りなさい」

「う、うん……失礼します……」

「ちょ、夜這いって本気ですか!?」

「本気よ!! だからこうして一緒に寝てるじゃない!!」

「………は?」

「だからこういうの一緒に寝るために行くことを夜這いっていうんでしょ!?」


 あ~、ですよね~。


「あ、はいそうですね」

「なら黙って夜這いされてなさい」


 はぁ~、なんて心の汚い人間なんだろう。

 夜這いと聞いてエロい事を考えてしまうなんて、これだからチェリーは……という以前にまだたたないけどね!!

 よくよく考えてみればまだ6歳、出来る年齢ではなかった。

 

「それじゃあ、寝ましょうか……」


 寝ようとするが腕をがっちり二人にホールドされ寝返りが打てない。

 それに二人の体温も伝わってきて、緊張して眠ることができない。


 こんなところ蒼に見られたらなんて思われるかな


 恐らく「この浮気者!!」若しくは「女の敵」だとかさんざん言われるのだろうが、一つ言えることは「ロリコン」と言われるのは確実だろう。


 そんなことを考えながら天井を眺めるのだった。







1月12編集

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