第14話

「リラ……」

「ん?」

「本返して……」


 ルラがリラにそう言うとリラは本を渡す


「歩きながら読まないでよ……」

「私、そんなことしないよ」

「そうだったかしら……」


 ルラは本を受け取ると落ち着いたのかホッとした顔をしている

 そうしながらしばらく歩いているとウオルが立ち止まる


「父様、どうしました?」

「ミリー……」

「えぇ、二人とも荷台に……」


 訳がわからないが僕らは荷台に乗ると十人程の人影が現れた


「こんなところで歩きとは、不用心だな~」


 額の傷だらけの男がそう言うと横にいた男が


「頭、あれ見てくださいよ……」

「すっげえ上玉だな、楽しめそうだ!!」


 そう言うと傷だらけの男はウオルを見て


「おい、命だけは見逃してやるから有り金とその女渡しな……」


 男達が下卑た笑みで言うとウオルは笑顔で


「それは出来ません、ここは引いてくれませんかね?」


 おいおい、どうしたウオルさん……

 いつも堂々としているウオルとは違い下手に出ている

 まさか、あいつウオルより強いのか?

 そう思っているとミリーが耳打ちし、


「サウル……少しだけ、二人を頼める?」


 僕がそう言うとミリーは馬車を降り置いていた槍を構える


「お前、まぁいい力ずくで奪うだけだしな……女は殺すなよ……」


 そう言って男は手をあげ一斉にかかってくる

 

「はぁ~、そっち話任せたぞミリー」

「えぇ! 久しぶりに槍を使うわね!!」

「何調子乗ってやがる!! この人数に勝てるわけ……」

「ふ~ん、魔法は要らないかな……」


 そう言うと彼女は目にもとまらぬ速さで一人の剣を受け流し槍の反対側の刃のある部分で横に切り伏せる

 他の四人は動揺したのか一歩下がろうとするが彼女は間合いを詰め一気に槍を振るい残りの四人を切り伏せる

 地面には血を流した盗賊の五人の姿だけがあった


「致命傷は避けたけど、どうする?」

「う~ん、子供たちの前だから殺すのは無しで縛っておこう」


 そう言うと頭と呼ばれた人物は


「情けねぇ!! 女一人にこれか!!」


 そう言うと剣を構える

 ウオルは怪訝そうな顔をして 


「その構え、雷流か……」

「ほう、知ってるのか……俺の技量は雷流の中でも上の方だ!! 覚悟しろ!!」

「お前、名前は?」

「あぁ、冥土の見上げに教えてやる……クレオだ……」

「クレオ……あぁ、師匠が言ってた破門された奴か」

「何だ弟分か、なら俺の事を知っていて当然か」

「そっか、同じ門下なら同じ流派にしないとな……」


 そう言うと彼と同じ突きの構えを取る


「………死ね……」


 そう言うとクレオは目にもとまらぬ速さで突っ込んでくる


「二閃!!」


 クレオがそう言うと同時に倒れていたのはクレオだった


「しょうもない、たかだか二閃程度が限界なんて……」

「おまえ、まさか……」


 そう言うとクレオは意識がなくなる


「さて、残りのお前ら大人しく投降しろ」


 クレオがやられて戦意喪失したのか剣を捨てる

 そうして残った奴らに他の奴らの衣服を剥ぎ取らせを口と手足を縛り運ばせる 

 そして互いに縛らせ最後の一人はウオルが気絶させ縛りそれぞれローブを掛ける

 そうして縛った奴をの縄を確認して


「よし、大丈夫だったか?」

「私は大丈夫だけど……」


 そう言ってルラはリラの方を見る

 リラは半泣きになっていた……それはそうだろう、怖かったのだから……というわけではなく恐らくは彼女の下の方が濡れて大惨事になっていた事であろう


「あらあら~大丈夫?」


 ミリーに言われ涙目で駆け寄るリラ

 こうしてまたリラの黒歴史が増えるのだった


「」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る