9話 嬉しい報告
「あ~! また負けた! もう一回!」
リラは後ろに倒れ込むと、履いていたスカートの中が見えそうになる。
無意識に僕の視線がリラのスカートの方に向いてしまう。
どうしてこの見えそうで見えない瞬間というのは、何故こうも目が行ってしまうのか……。
子供だろうが大人だろうが女の子のスカートって、視線がどうしてもいってしまう。
前世ではこんなことなかったのに……。
因みに僕は六歳なのでロリコンには当たらない。
恐らく同い年の女の子だからだ、そうに違いない……。
「リラ、はしたないよ……」
リラに言いながら、ルラは僕をジト目で見てるような気がする。
僕は視線がいたいので、顔を直ぐにルラと反対方向に横に向ける。
「…………」
そのジト目やめて!
そのジト目の所為で精神のHPが5ずつ削られる。
「何してんのよ二人とも、早くカード集めて!」
そう言われ僕は視線を向けると、ルラと目が合う。
「さ、続き続き……」
ずっと見てるよ、怖い怖い!
彼女は僕を見ながら、カードを見ないでシャッフルしている。
「………」
ルラの痛い視線を無視しながら、僕もカードをシャッフルしていく。
シャッフルを終えると、僕達は再びゲーム開始する。
ルラはそこで僕から視線を移す。
助かった。
あの蔑みの目は僕にとって脅威だった。
もう少し遅れていたら僕はHP0で発狂していたかもしれない。
美少女の蔑み恐るべし……。
「誰から行く?」
「じゃあ私から」
ルラから僕、リラと順番にめくっていくことになった。
そうしてめくっていくと終盤に差し掛かり、
48組中
僕14組、ルラ16組・リラ12組
という結果になった。
「ぐぬぬ……」
気持ちはわかる、先程からルラが三連続一位、僕が二位でリラが三位なのだ。
それにしてもルラ……。
気のせいだろうか、先程から常に勝てそうで勝てない……。
たまたまかもしれないが、勝ちそうになると突き放される……。
次もまたやってみると結果は
ルラが一位の20
僕が二位の16
リラが三位の12だった
「ギャー! また負けた~!」
「また負けたな……」
「ぐぬぬぬ……」
そう言いながらもう一回やろうとしているところ扉の開く音がし、
「ただいま~」
ウオラとミリー帰ってくると、先ほどまで和やかだった雰囲気が、一気に緊張で辺りを包む。
「おかえりなさい」
僕がそう言うと一目散に、二人の所へ向かうリラ。
「どうでした!?」
リラがそう言うとミリーは一瞬悲しそうな顔をする。
リラは察したのか下に俯き、結果を聞くまで泣きそうなのを堪える。
駄目だったか……。
僕はこの後リラになんて声をかけるべきか考えていると、
「……おめでとう、何とかなったわ……」
こちらをちらっと見て笑顔でそう言った。
リラはミリーの方を向くと泣き崩れてしまった。
「よかった……」
いや良かったじゃねぇよ。
残念でしたみたいな雰囲気を醸し出すのやめなさいよ。
成功は良い事だけれども、そんなことするなよ……。
そんなことを思っているとルラはいつの間にかリラの方に抱き着き、
「やったね! リラ!」
「ありがとう!」
「おめでとうございます。リラ」
「ありがとう! サウルより強くなって、逆に守ってあげるんだから!」
「あはは……」
僕よりも運動神経が良い彼女ならすぐにそうなるだろう。
女騎士に守られる男……何かやだな……。
「僕も強くなりますよ!」
「これからビシバシ行くからな!」
「はい! よろしくお願いします!」
ウオラとミリーはそう言って僕の方を見る。
その眼は ルラにはちゃんと伝えなさいよ という感じだった。
「よし、今日は二人とも泊まっていきなさい」
「え、いいの!?」
「あぁ、君達の両親には話しつけてある」
「「やった~!」」
二人は嬉しそうに飛び上がる。
「取り敢えずご飯にするから、お風呂に入ってきなさ~い」
「「「は~い!」」」
そう返事して、三人は風呂場へ向かう。
「ちょっと! どさくさに紛れてなんであんたも入ろうとしてるのよ!」
ばれたか……。
二人のジトっとした痛い視線が刺さる。
「あ~、失礼しました~」
何事もなかったかのように僕は出ていくと、
「お前なぁ~」
呆れたようにウオラは僕を見ている。
「少し話せるか?」
ウオラにそう言われ、僕達は外に出る。
外はいつも通り星々が綺麗に輝いて街灯もないのにこの世界を小さく照らしている。
「ルラにはいついうんだ?」
外に出るとウオラがそんなことを聞いてきた。
予測はしていた、彼女にはまだ何も話していないからだ。
彼女に聞かれないように外に出たのだろう。
「一応、リラちゃんとルラちゃんの両親には黙っておくようにはいっておいた」
「そうですか……」
心配そうに僕を見つめ、
「自分で話せるか?」
「はい、明日話してみます」
「どうしても無理なら、俺が言うから言えよ」
「はい……」
明日のプランは一応考えてある。
後はそれを実行するだけだ。
「さて、じゃあ中に入るぞ」
「父様」
「ん?」
「ありがとうございました」
「おう、いいってことよ!」
家に入ると二人はミリーに髪を乾かしてもらっていた。
「二人とも上がったんですね……」
「うん! 凄いわね風魔法! 簡単に乾いて便利だわ!」
「凄い……」
足をパタパタして髪を乾かしてもらっているリラと、魔法をじっと見ているルラがいた。
「はい、これで完了」
「あ、あの!!」
ミリーが魔法を解除するとリラは椅子から立ち上がると、ルラが目をキラキラ輝かせながらミリーを見つめる。
「ん? 何? ルラちゃん」
「わ、私に魔法を教えてもらえませんか!?」
oh...マジか……。
まさか彼女から言うとは思っていなかった。
彼女の言葉を聞いてミリーは僕を見る。
こうなればサプライズもくそもない。
僕はミリーに向かって頭を下げる。
「実をいうとね、リラちゃんがウオルに修行するって相談された時ね……ルラちゃんもお願いってサウルが頼んできてたの」
彼女は目を見開くと僕の方を見る。
「魔法の本を読んでるし、魔法の事が好きなんだろうなって思って」
「―――――――!」
恥ずかしそうにルラがうずくまり、顔を手で覆っている。
ミリーは膝を折り頭に手を乗せる。
「ルラちゃん、これから頑張ろうね」
涙目になりながら笑顔で頷くルラ。
「………はい! よろしくお願いします!」
「じゃあ二人とも二日後少し遠征するから」
「冒険者ギルドですか?」
「あぁ、彼女達のステータスがわからない事には方針を決めれないからな」
「「冒険者ギルド……!!」」
リラとルラは互いの顔を合わせて嬉しそうにする。
「それから、サウル……出発の1日前俺達は少し出る」
「?」
「依頼で出ないといけないのよ」
「魔獣ですか?」
魔獣……普通の動物とは違い魔力を持った獣。 理由はわかっておらず魔力を持った獣は理性がある場合は良いのだが、ない場合が多いため、村の脅威になるので討伐するしかない。
「今回は定期調査だ。 気になることを耳にしたんでな」
「そうですか」
「ということで二日間、お前はリラちゃんたちの家に世話になることになった」
「わかりました」
「というわけで訓練は暫らく休みだが、自主練はしとけよ」
「せっかくだし、今日は魔法の基礎訓練としましょうか」
ルラは目を輝かせ、リラはルラに付き合う形で僕達は魔法の授業が開始した。
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