8話 前世の遊び
数日後……
リラとルラは、僕の家に来ていた。
「じゃあ、行ってくるよ……」
「行ってらっしゃい……」
僕は真剣な顔で見つめると、ウオラは優しそうな笑顔で、
「心配するな、大丈夫だ……」
「二人でお留守番、よろしくね……」
「………はい……」
「……あの!」
後ろを見ると、リラが後ろに立っていた。
その後ろにルラもいる。
「ん?」
「私、本当にしたいんです!! どうか!!」
その手は強く握られ、真っ直ぐウオラを見つめている。
「大丈夫だよ……」
ルラはリラの手を握り、リラの顔を見ている。
ミリーは彼女達の方に向かってひざを折るとリラを抱きしめる。
「できる限りやってみるわ」
二人は扉をあけて出ていくと、家には僕達三人しかいなくなる。
……どうする?
こういう時、リラにどのように声をかけていいかわからない……。
「取り敢えず、何か飲みますか?」
「うん、リラ行くよ……」
三人で席に座ると沈黙が流れる。
「そう言えば、あれあったんでした」
そう言って僕はお小遣いで買ったクッキーを取り出して机の上に置く。
「わ~! おいしそう~」
ルラがそう言って食べるとリラも口を運ぶ。
いつもなら美味しそうに食べるリラだが、やはり上の空なのか黙々と食べ進める。
気まずい……。
どのくらい時間が経っただろう……。
そんな中、いつも自分から話さないルラが口を開く。
「そう言えば、リラはなんで剣がしたいの?」
「………」
「……リラ?」
声が届かないのか、ぼーっとしてながらお菓子を食べている。
「リラ!!」
ビクッと体を震わせルラを見ている。
「な、何?」
「もう、しっかりしてよね!!」
いつもと逆の光景に違和感が半端なくなってくる。
いつもはリラがルラを引っ張っているが、今日はルラがリラを引っ張っているように見える。
「ルラ……」
「サウル、何か面白い遊びない?」
「あ、それなら……」
僕は部屋に行きある物を取り出す。
「何してるの……?」
僕の部屋に入ってくる二人。
そういえばここに……あった!
僕は白いカードを取り出す。
「?」
二人は首をお互いの方に傾げ、僕を見ている。
「二人とも、神経衰弱しよう!」
「………シンケイスイジャク? 何それ……」
そう言うと僕は説明した
「取り敢えず横に向けてリラは剣の絵を描いてルラは水晶をお願いできる?」
「お絵かきなの?」
「そんなところ。 カードの半分に書いてね」
「こんなに書くの!?」
「簡単にでいいよ」
「形は?」
「水晶には円形しか無いよルラ……」
僕が当たり前のように言うと、ルラは首を傾げる。
「何言ってるの? サウル……」
「へ? 水晶って円形でしょ?」
ルラは首を傾げながら、何言ってんのこいつみたいな目で僕を見てくる。
「色々あるよ? 円形以外にも三角型に四角型・凸凹型にモーニング型……数えればきりがないよ……」
「そうなんだ、じゃあ丸いので頼める?」
「こんな感じ?」
そう言いながら物の一分で一つかき終える
「え、上手い……」
水晶と言ってもいいくらい綺麗な丸に、座布団をを書き水晶っぽく表現している。
思わず僕が率直な言葉をこぼすと、
「えへへぇ~」
照れくさそうに頬を染めはにかむ彼女。
「私も出来たわ」
「上手いじゃないか」
ルラほどではないが、年相応らしい可愛らしい剣の絵が出来ていた。
「でしょ~!」
そう言って楽しそうに、そして誇らしそうに背中を反らせる彼女。
「じゃあどんどん書いて行こう!」
「わかった……」
「任せなさい!」
僕達は黙々と作業を進める。
よかった、何とかなったみたいだ……。
リラの方に目を向けると、先程までの落ち込んでいたリラは楽しいのか、すっかり絵を書くのに夢中になっていた。
僕は彼女には落ち込みよりも、楽しそうに何かに打ち込む姿の方が好きだ。
それにしてもあのルラがな……。
今度はルラの方を見つめる。
引っ込み思案で、いつもリラの後ろにいた彼女が、あんな行動をするなんて……。
そう思いながら彼女をみていると彼女はジト目で、見てから手でまだ発達していないであろう胸を隠す仕草をして、
「………何?」
「ん、何でもない……」
「………そう……」
彼女は再び作業に戻る。
僕も絵をかき進める。
「サウルは何かいてるの?」
「ん? 頭に浮かんだ絵……」
僕が書いたのは五芒星と六芒星だ。
前の世界では魔法と言えば、大体はこれだった。
「何これ……」
「どうしたの?」
「う~ん、わかんないけどこれ、知ってるような気がする」
「私も……」
「どこかで見たとか?」
「う~ん、多分……」
一瞬蒼なのかと思ったが記憶にないということは恐らく違う。
どこかで見たものだろう。
しばらくして僕42枚、リラとミラ24枚ずつ書き終えた。
「これでどうするの? 終わり?」
「ううん、さっき書いたものの横に空白があるでしょ?」
そう言って先ほど書いた絵の横に数字を書いていく。
「ここに数字を書き込んで、1から12までね」
「それだと余るでしょ?」
「いいから取り敢えず自分の書いたカードに12枚順番に数字書いて」
二人は12枚の同カードに順番に数字を書いていく。
「書いたよ~。 残りどうするの?」
「残ってるやつもう一度、1から12まで書いて」
二人は言われた通りに書いていく。
「完成だ! これで遊べるぞ」
僕はカードをシャッフルし、書いた方と反対側を上に向け置いていく。
「あ、そういうことか……」
ルラは何か気づいたようで、
「どうするか分かったの?」
「多分、同じ柄の同じ数字を当てるんじゃないかな」
「正解だ。 これは交互に二枚めくって当てたらそれを取り最後に多くとった奴の勝ちだ」
「え、何それ面白そう!!」
僕はルールを説明し、
「じゃあ始めるぞ!」
「負けないわよ!」
リラがそう言うと、ルラはフンス!っと言った感じで張り切っていた。
僕達の神経衰弱が始まったのだった。
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