7話 相談

「ただ今帰りました~」

「おかえりなさいサウル」


 そう言いながら気まずそうに僕を見る二人、


「二人とも、僕は気にしてません……」


 子孫繁栄には必要なことだ……。

 二人の行為がこうして僕を誕生させたのだ。

 元10代の若者が何言ってんだろう。 


「それより二人ともお話があります」


 二人は互いに顔を見合わせ、僕を見つめるとミリーは席を立ち、


「何が飲みたい?」

「ホットミルクでお願いします」

「ウオラは?」

「コーヒーがいいかな」


 ミリーはミルクを入れ、魔道具で温めている。

 

「それで? 二人とはどんな感じよ……」


 その場の雰囲気に耐えられなかったのか、茶化した感じでウオラが言う。

 きっと息子の恋愛事情が知りたいのだろう。


「別に何もありませんよ。 六歳に何聞いてるんですか」

「いや、お前は大人びてるからな。 そういうのも早いかなって」

「そんなわけないじゃないですか」


 中身は精神年齢20代だけども。


「正直、どっちが好みよ?」

「好みって……」

「どっちが好きなんだ?」

「どっちも好きですよ」


 リラは活発で物怖じしないところが好きだし、ルラは大人しいが一緒にいると落ち着いた感じが好きだ。


「どっちもか、すげえなお前……」

「何がです?」

「何がって、両手に花じゃねぇか羨ましい」


 そう言うと後ろで笑顔で立ち止まっているミリーがいた。

 怖い、笑顔なのにまるで後ろに何かが待ち構えているようなオーラが凄かった。

 後ろに目配せするが、ウオラはまるで気が付いていない。

 あの圧力に気づかないなんて……。


「父様だって、母様がいるからいいじゃないですか」

「そうだな。ミリーは美人だし気前が良くて、料理上手で最高の嫁さんだ……」

「もう、あなたったら……」


 ミリーについて言うとウオラは当たり前のように言うと、ミリーは照れながらコーヒーとミルクを置いて戻っていく。

 ナイス、ウオラ!


「今の所は良いが、いつかは一人に決めるんだぞ」

「だから子供に何言ってるんですか」

「それで話ってなに?」


 ミリーが自分の飲み物を持って机に座ると聞いてきた。


「あ、はい。 ちょっと相談がありまして……」

「相談?」

「はい、リラとルラの事なんですが」

「あの双子ちゃんが、どうかしたの?」

「はい、彼女たちは父様達にそれぞれリラは剣術、ルラは魔法を教えて欲しいと二人から頼まれまして……」

「二人の両親に言ったら反対されたと?」

「えぇ、リラの方は反対されました」

「だろうなぁ〜、剣は怪我だってする……親からすれば、危険な事はさせられんよなぁ〜」

 

 リラは女の子だ……もし傷が出来れば、一生残る……親としてはそんな危険なことをしてほしくない気持ちはわかる。


「僕はやりたいと思うことなら、人生一度切りなので可能な限り後悔させてあげたくないんです」

「そうはいってもなぁ~、彼女達のステータスを見てみない事には何とも……」

「そうですよね……」


 適性がわからないのに覚えても、何の意味もない。

 

「一度向こうの両親とも、私達で話してみることにしましょう」

「そうだな……」

「お願いします……」

「あと、ルラちゃんにはまだ伝えてないんでしょ? 」

「はい、ぬか喜びさせたくなくて……」

「早く伝えなさい……」

「決まったら、サプライズしてあげたいんですが……」

「はぁ~、わかったわ。 私が明日予定を聞きに行ってくるわ……」

「すみません」

「この話は終わり、ここまで! いいわね?」

「はい……」

「それでサウル?」

「何でしょう?」

「節度はちゃんと守りなさいよ……」

「だから六歳児に何言ってるんですか……」

「大事な事よ!―――――」


 いつも通りの会話に戻る僕たちなのだった。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る