最終話 それから結婚記念日へ
十二月三十一日
二人で年越しそばをすすった。
今日は二人きりで年越しをむかえる。
さて、来年はどうなるんだろうか?
一月一日
明けましておめでとう。
今日から新しい年、また日誌を書き続ける日々が始まる。
今日は陽さんと、初詣に行く。
一月三日
今日は陽さんと私の実家に来た。
日ノ出の件についてはすまなかったと、正月早々平謝りされた。
そして当の日ノ出は、借金の返済に成功したが、また借金をこしらえてしまったようで、また返済したが日ノ出は勘当されたそうだ。
まあ、日ノ出の事なんて今はどうでもいい。
一月十二日
私の近所で雪が降った。
陽さんはこたつにこもったまま出てこない。
寒がっているところが、ネコみたいで可愛かった。
二月三日
今日は節分だが、朝起きたら鬼の面をつけた陽さんにおどろかされた。
「アハハ、驚いた?」
相変わらず楽しい陽さんだ、これなら福はたくさん訪れるだろう。
二月十四日
私は今年、初めてバレンタインを実感した。
陽さんからチョコレートをもらった。
「はい、夫婦の義理チョコ。愛がたくさんあるから、召し上がれ。」
市販のチョコだったけど、陽さんからもらったチョコは手作りのように愛おしかった。
ニ月二十日
久しぶりの激務、今日はイライラしてしまった。
でも、陽さんはそんな私に言った。
「そんなイライラしていると、いい作品が書けないよ。あなたなら、大丈夫。」
私はその言葉にいやされ、再び筆を走らせた。
三月六日
暖かいと冷たいが繰り返す季節
まだまだハッキリ春とはいえないが、陽さんが就職に成功した。
就職先は制服を作る会社らしい。
「それじゃ、行ってきます!」
陽さんは遠足気分で仕事へ向かった。
三月二十一日
桜前線が北上しているこのごろ、陽さんが私に言った。
「ねえ、二人で花見に行こうよ。」
「そうだな、いつ行く?」
さて、花見はいつになるかな?
四月七日
また、締め切り前の激務だ。
今日までに原稿用紙百枚分を、書き終えなくてはならない。
近所では桜が咲き始めている。
早く書き終えないと、陽さんとの春を楽しめない。
だけど書き続けることも、同じくらい楽しいのだ。
四月十五日
今日は結婚記念日。
陽さんと二人で、徳川園へやってきた。
「結婚記念日に花見デートなんて、なんだか私たちってまだ若いね。」
「ああ、二人の生活はまだこれからということだな。」
日誌のページに陽さんとの写真を載せる。
私が小さな机で書いた日誌は、いつまでも思い出を記し続けていく・・・。
人生の一度きりの彩りをそえて・・・。
小さな机で書かれた、ある小説家の日誌 読天文之 @AMAGATA
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます