第18話 あいつと仲良いの?   エル*ルディ視点

食堂で注目を浴びてしまったのが気まずくて、イブと二人昼食をとる時間をずらすことにした。

イブは化粧室へ行くというので、人目の気にならない廊下でイブを待つことにした。


ここにしよう、目的を廊下の隅に決めたところでふと目の前の壁に映る自分の影に、少し大きな影が重なった。

背後から、顔の横に手をつかれる。


「なぁ、あいつと仲良いの?」


突然かけられた声と近すぎる距離に驚いたけれど、大好きな声の主はすぐにわかった。

私に後ろから覆いかぶさるように逃げ道をたって、ルディがすぐ耳元で話す。

ゾクゾクとしたものが耳から全身を駆け巡る。


「――っ。同じ、部屋だから…っ。仲良くしてもらってるの…っ」


必死でイブについて簡潔に説明する。


「……そっちじゃなくて」


何か小さく言っただろうか。

自分がいっぱいいっぱいでよく聞こえなかった。

それよりもっと、もっと私を押しつぶしてほしい。

ルディ相手なら逃げないけど、逃げられないように捕まえてほしい。



そっと見上げると、ルディは私から顔を逸らして「もういい」と言い残して去って行ってしまった。



***



(またやっちまった)


どうして俺はエルミナに対して優しくできないのか。

もっと紳士らしくしたいのに。余裕のある、頼れる男でありたいのに。

あいつは俺が力加減を間違えたとき、いつも同じ表情をする。

顔を赤くして、涙目になって――俺が怖いんだろう。怖がられても仕方のない行動だ。


大事にしたい。大切に扱いたい。

なのに…力いっぱい抱きしめたい。


「…ちくしょう」

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