第10話 初めての友達 エルミナ視点
「あれ、意外に早かったね!大丈夫だった?怒られ…はしないか。ピリついてたけど、あれはヤキモチかなー?」
先に部屋に戻っていたイブが出迎えてくれる。
「はぁ…っ」
ドアを閉めるなり、床に崩れるように座り込んでしまった。
息が苦しく、顔が熱い。視界も涙でかすんでいる。体も震えていた。
「あんた大丈夫?どこか具合でも悪いの?」
イブも床にしゃがみこんで、体を支えてくれる。
「――き」
「え?」
「好き…大好き…力強かった…ぁ…そのまま引きずり倒されたい…っ。もういっそ、抱いて…!!」
もうホールにいるときから叫びだしそうだった気持ちを吐き出す。
「え…なにあんた怖いんだけど」
気持ちだけでなく、物理的にイブが引いていく。
「ご、ごめんなさい!しゃんとします!あなたを見境なく襲ったりしないので安心してください!」
イブを怖がらせてしまった。
これから同室としてやっていくのに…自分が抑えられなかった。
「ぷっ!なにあんた…そんな可愛い顔してギャップすごいな!!」
離れていた距離をつめて、イブが手を差し出してくる。
「改めて、あたしイブ!あんたは…エルね!仲良くやってけそうで安心したわー」
そして今度は身を乗り出してくる。
「ねぇねぇ、みんな聞けなかったけどルディウス・ヴィクトールとどういう関係なの!?教えなさいよ!」
それから私とイブは夜遅くまで、荷解きをしながらたくさん話をした。
私に、初めての女友達ができた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます