(二)-7

 しかし、Noと言うべきときにははっきりきちんとNoと主張しなさいという、若い頃に苦労してきた地方公務員の父の教えに従って、私は上司のこの言葉に抗った。ただ、抗い方に問題があった。このとき私は言葉ではなく、この上司の横面を思いっきり平手ではたくという形で抗議してしまったのだ。

 職場の仲間たちからは男女問わず、応援してくれる人たちがいたのだが、この事件で、私はそれを台無しにしてしまうことになった。


 後日、上司への暴行があったとの寺庄からの訴えで寺庄の上司に当たるマネージャーが調査にやってきた。この人はもともとこの男の扱いにやや困っていたらしい。だからこのマネージャーは面談で私にすこぶる同情的で、私のことを心配してくれた。


(続く)

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