第8話 白の能力の片鱗

行く当てもなく廊下を歩きながら白と会話する。


白「「蓮はバカなの?お馬鹿さんなの??」」

蓮「バカなのは間違いない…怒られるのと、至高の本を読むなら、俺は至高の本を読んだ後で、先生に怒られる修羅の道を歩もうと思う」

白「「普通違うよ?クラスに辺な人認定されて、先生にも要注意人物として周知されるよ?」」

蓮「白……俺はな楽な道のりを歩みたいんじゃない……俺が知りたいのは険しい道の歩み方だ」

白「「うん、本没収されそうで逃げただけでたいそうな……しかも聞いたことあるフレーズだしそういえばここ解放された屋上あるよね」」

蓮「とりあえず教室では読めないな……そうだな屋上行くか……」


行き先を解放されている屋上へと決め本を片手に行き先に向かう。


白「「家でも学校でも変わらずポンコツなんだから……はぁ……「私のせいだけど」」

白は1人呟く……

最後の言葉は心の中で思うだけに白が留めていると丁度蓮は屋上への扉に手をかけ開けていた……


飛び降りようとしてる少女「え?…………」

ドアを開けると左の柵の奥には、目にいたくない自然な金色の長い髪を風になびかせている女の子がおり、柵の前には綺麗に靴が並べられており下には手紙らしきものが見える。


蓮「あぁ先客か……すまんな邪魔するぞ」

蓮「ヨイショっと」

少女「…………」

蓮「パラ……パラ」

その少女の離れた位置にあるが真正面にあるベンチに蓮は何事もない様子で腰をかける。


白「「ねぇ!ねぇ!あの子飛び降りようとしてるんだよ?なんで止めないし普通にまん前のベンチに座ってるの!」」

蓮「「白うるさいな……施設が爆破されて飛び降りるシーンはさっき終わったぞ?」」

白「「ラノベの話しじゃない!蓮おかしいよ……助けないと」」

蓮「「いいか白……俺もびっくりしてるこの展開には……だけど近づいても飛び降りられるだけ……あの子のこと知らないし

俺だけではどうにもできないだろう、だけどな……俺が焦らないのは白お前がいるからだ」」

白「「…………それって」」


蓮の言葉に白は、蓮が私に能力を使えと言っていることに気づく。すると少女の方から痺れを切らしたのかこちらに尋ねてくる。

流石に知らない人に見物されながら自殺するつもりはないようだった。


少女「あの……何にも聞かないんですか?」

蓮「聞いたら答えてくれるのか?冥土の土産に」

少女「……う、知らない人に……」

蓮「パタン……目の前で死ぬにしても理由を知らずに死なれるのは目覚めが悪くて困る……俺はここにいるから聞かせてくれないか?」


そう蓮は答える……知らない他人を巻き込んで死なれるのは困ると伝え少女との時間を稼ぐために少しきつい言葉を使いながら。


少女「はい……ごめんなさい弱くて……でも誰かに聞いて……グスッグスッ」

少女「なんです……」

それから少女の思いを傾聴する。

簡単にまとめると

彼女の家は裕福だったが……教育が辛かった。欲しものはお金で人も物も地位も手に入れるような両親で彼女は自由な時間もなかった。

その中である日部屋の中に、紙飛行機が入ってきて彼と出会ったことから変わった。

その子は家は貧しい子だったが知らない遊びを教えてくれ、2階の彼女の部屋へは木につたいよく遊びに来てくれていた。だけどそれは長く続かずバレてしまい彼とは一旦それから会えなくなった。中学に入りその後、偶然街中で彼との再会を果たし、外で隠れながら彼との時間を過ごし付き合うようになった。それが中学3年の時で彼は彼女の1つ上だったとのこと。先日彼は彼女には話していなかったがもともと片親だった父親からの暴力が常日頃からあり、彼は高校は奨学金を借りて行っていたが、学校をやめて働けと父親と口論になり、彼は彼女との約束を果たすため高校は卒業する気持ちが強く小競り合いになり、父親は飲んでいた酒の勢いからか鈍器で彼を何度も殴りついに亡くなったとのこと。父親は捕まったが彼は帰って来ず……。

泣いてばかりいたのを不思議がり両親に聞かれ話したら貧乏人に近づくからだと逆に説教をされて学校は送り迎え……学校以外は監禁生活になったとのことだったそれから両親の言うことも聞かず、駄々をこね彼のいた高校に反対を押し切り入学し、そんなことをしていたら両親も以前より強く言わなくなったが……彼のいない日々。

彼と約束した死ぬ時は一緒という言葉が心に残り今日彼の誕生日に自殺を決めたとのことを涙ながらに語った……


蓮「そうか辛かったな……」


蓮は彼女の想いを聞きながら白に命令する。

蓮「「白お前の力で彼女に……」」


少女「でももういいんです楽になるから彼に会いに行くから」

ベンチにいる彼に話しかけていたが彼女は振り返り先の道はなく空と下に広がるコンクリートを見つめる。するとベンチから声が聞こえる。

蓮「楽、会いに行くか……生きてて楽になる、誰か、また会いたい人ができる方法があったらお前はどうする?」

少女「そんなのないですよ………」

蓮「勿体ない「三次元にしては」可愛いし素直な性格だからこそ傷ついている……勿体ないな」

蓮はゲームでの会話を思い出しながら時間を稼ぐように会話する。


少女「ありがとう……褒めてくれて 

でももういいんです……最後にありがとうございました」

飛び降りようと目を瞑ると誰かに抱きしめれており目を開ける。

少女「え?さっきまでそこにいたのに」

そこには先ほど話を聞いてくれた彼がいた……ベンチとの距離は遠く、柵を乗り越える音すらしなかった……まるで瞬間移動してきたような彼に驚いていると急に眠くなり意識を手放した……。


少女「…………」

背中に感じる木の感触と頭には少し柔らかくも筋肉質な感触を感じる。眩しいが目を開けると本を読んでいる彼がいた。

少女「え、え?なんで私ベンチに……」

 ……パラ……パラ

彼はからは返事もなく集中して本を読んでいる様子だった。

少女「あの……」

蓮「うん?えーと名前は確か」

華恋「東雲 華恋です」

蓮「かれんちゃんか……初恋の人残念だったな」

華恋「え……そうですね……彼とはまだキス……これからだったのに……私も追わないと約束が」


状況が整理できなかったが彼の言葉を思い出し、初恋の彼への思いが込み上げてくる。


蓮「約束か……俺も嫁と果たせなかった約束ばかりだ……。それにジャッチメントチェーンも確かに強力だよな……制約と制約を結んだなら尚更だな」


まさかの思わぬ返答に困惑しつつ彼女は聞いたことのない言葉をオウム返しで聞いていた。


少女「え?ジャッチメントチェーン?」


蓮「「白食べれるのか?」」

白「「うん準備は出来てるよ甘じょっぱそうだけど……いいの?大切な人との夢だと思うけど」」

蓮「「人間じゃないお前がそれを気にするのか?俺は生きていればまた夢もこの子は持てると思う、ポンコツな俺でも、誰かをこんなに想える奴が死ぬのは違うと思う。間違ってるのは俺と白お前だけでいい……」」

蓮「「それにさっき力を使ってるだろう栄養とイーブンと考えればいいんじゃないか?」」

先ほど白は、俺の映像記憶を彼女に見せベンチにいるように見せかけていた。さらに彼女を眠らせるためにも能力を使っている。

白「「うん……白昼夢も使ったしそうだね」」


少女「あの……私すいませ……え?」

彼女は白と会話をし答えない俺に痺れを切らして起きあがろうとするが、それを俺はオデコに手を当て膝に再度戻す。

蓮「俺の膝の居心地は悪いか?」

少女「え、柔らかいけど…男らしくていい匂いがううんじゃなくてえ……?」

蓮「…………俺は今からお前に辛いことをする」


これからのことを考え大切な人の思いを勝手に許可なく奪う……、実際話しても誰も信じないだろうし目を覚ました彼女はなにも覚えていないだろうが……。


華恋「え?私のことめちゃくちゃにするの?流石に叫びますよ?ここ学校だし……君もただじゃ……もしかしてさっきの言葉も……」 


……彼女は何か勘違いしている様子だった。


蓮「俺は蓮だ君じゃない……そして三次元にそんな願望はないから安心しろ、それじゃ」


白「「ー夢見渡りー」」


華恋「三次元に?えなんか急に眠く……」

またまた困惑しつつも彼女は眠った様子だった。白から返答はないが恐らく食事に入ったのだろう。


華恋「スゥ……スゥ」


蓮「寝たか……散々だったが本がやっと読める」

膝の上で眠っている彼女を見つつ、そんな彼女の顔を隠すように本を目の前に広げ続きを読む。



華恋「スゥ…………うん?」

華恋「あれ?なんで私こんな所で寝てるの……」

数時間して彼女は目を覚ました、4回チャイムがなったため今は4限目終わりぐらいの時間になっていた。


華恋「あれ?……蓮?蓮くん……」

華恋「蓮くん?でもなんであれ……抱きしめられて頭撫でられて……膝枕……えー!ごめんなさい」

起きたと思ったら顔を赤くして飛び起きるようにしてベンチの端まで腕を出しながら下がる彼女。

蓮は本を高くあげ頭に当たるのを回避し、本を閉じて横に置く。

蓮「いや大丈夫足……痺れてるだけだからベンチ揺らさないで……」

華恋「あれなんで蓮くん通りこんなこと……何か目的があって?あれ……」

俺の名前は覚えているようだが初恋の彼との夢のような日々は白に食べられてもうないのだろうと会話の中で悟る。


蓮「さぁー風でも浴びにきたんじゃないか」

華恋「あれ?私……蓮くんに会いにきたの……噂の1ヶ月遅れでくる?イケメンの人に…………それで一目惚れして……あれ?あ!」

華恋「ごめんなさい蓮くんっごめんなさい」

――ガチャ!バーン――ダダダダ――


墓穴を掘るように思い出しながら喋った後顔をボンッと赤くして屋上から校舎に戻るドアを思いっきり開け階段を急いで降りていく音がする。


蓮「「白何をした……」」

記憶を無くした後の心配をしていたが様子がおかしく白に問いただすように尋ねる。


白「「夢を少しならいいんたけど食べすぎると大半の記憶がなくなって空虚感というか違和感を感じたりするのそれこそ記憶が強ければ強いほど」」

白「「だから代わりに夢の種を蓮の記憶を植えてきたのでも感情とかは操作してないから、さっきのはその記憶からの彼女の素直な気持ちだから」」

蓮「それ軽く洗脳じゃ……」

白「「うん、否定はしないよ……軽蔑した?」」

白の言葉を聞き……俺をベンチに座っているように記憶を見せたことを白は白昼夢と言っていたが別の記憶を見せられるということは、言い方を変えれば記憶を植え付けることもできるということで……。

蓮「いや……俺が頼んだし……獏てなんでもできるんだな知らなかった」

白「「ごめんね彼女本当にいい子で、蓮の彼女になれるかもだし……本当に辛かったみたいだから少しでも楽にと思って……今後使う時はちゃんと蓮に断り入れるからそれだけは信じて」」


蓮「あぁそうしてくれると助かる」

俺の彼女にという言葉は引っかかるし、白は悪人いや悪獏じゃないことは付き合いの中で知っていた。

続けて白が俺に話しかけてくる。


白「「さっき感情の話ししたけどね蓮……記憶があるから感情があるんだよ」」

白「「綺麗な空を見た記憶から綺麗とかなんで青なんだろうとかいう不思議な気持ちとかの感情が湧くの、仮に最初から空を見たことがない人がいて空が綺麗だとか、なんで青色なんだろうとか思わないでしょ?」」

蓮「そうだな……同じ記憶でも人によって感じ方が違うってことか?最初から知らなければ感情も湧かない……彼女がその状態で白が俺の一部の記憶を植え付けたと……なんか難しい話しだな……というか俺にはそれ使ってないよな?」

白「「……私がいても違和感ないようにはしてる……けどそれだけだよ……だってそうじゃないと」」

蓮「してるのか……素直にてことはそれだけだろうし…俺じゃ抗えないし獏なりの生存方法と捉えればまぁわからなくもないか……うーん考えるのは辞めるよ。まぁ獏というよりまるで神の所業だな……」


その言葉を聞いて少し安心した自分がいた。記憶を植え付けるのがどのくらい広範囲でできるかは分からないが俺が本当に八九鬼蓮なのか……

白の言葉を聞いて心配になったからだ……。どうにも意識不明になる前の昔の記憶はあるが……理性的な所で思考が働かなかったり違和感を感じている面もある。

白「「うん……ごめんね私消えちゃうわけには行かないの……」」

蓮「まぁ生にしがみつくのは獏も一応生き物なのか……わからんけど普通の感情だろうに……でも一応理由は聞いても?」

白「「言えないけど……消えたら大変なことが起きるの……この先必ず……。だがら蓮の側にいるの貴方に相応しい相手が見つかるまで」」


蓮「そうか……また難しい話だな……」

今日は情報が多く……白の能力は底が知れないことも感じた。だけど後半は頭を捻っても返答に困り白にそう告げる。

蓮「まぁ本読むからこれでお終いでお互い持ちつ持たれつこれで仲良く同罪人?罪漠と罪人だろ?」


残り話数の少ない本を再度手に取り読むのを再会する。


白「「うんありがとう蓮」」

ありがとうと白からお礼の言葉が聞かれる。

どこか安心しているような、悲しいような声。


――パラ――パラ――


蓮「………………」


屋上のベンチで1人本を読む……

白は食事のため夢を食べる……でもそれはその人の記憶を必ず見ているということ、先程の白の発言から、白にも記憶を見て、同情、罪悪感、悲しみ、後悔のような感情が湧くんじゃないのか――食べられたその後の記憶がどこに行くか分からないが………

食事のためというが――白の話を聞くと獏に感情があるのはとても残酷で、悲しいことじゃないのか……そんなことを考えつつ今回の件は一方的に白に押し付けた気がするので洗脳の件はそれ以上追求しなかった……。

それと同時に何故白が俺に住み着き、恋愛を進めてくるのか本当に食事のためなのか、「この先必ずという発言から」また別の目的があるのか……そんな疑問だけが心の中に残った。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

作者余談欄

ここまで読んでくださりありがとうございます♪

よければハート等貰えると嬉しいです。


白昼夢とは

日中目を覚ましたままで空想や想像を夢のように映像として見ていること。また、そのような非現実的な幻想に浸ること。


白日夢とも言うみたいです。

一応白の名前の由来です。


白の判明してる能力は夢を食べる(記憶の消去)白昼夢(相手に存在しない空想、想像を映像として見せる)夢見渡り(記憶を見る、相手の中に入る、強制的に眠らせるもON.OFF可能も兼ねた能力)

記憶の植え付け(記憶の定着)です。


手探りで頑張っていきます。

応援よろしくお願いします。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る