第1話 あれ?お前俺との出会いの記憶食べた?
とある部屋でのこと。
???「大好きだよれ・んお兄ちゃん♡」
まるで有名な声優ような声が目の前から聞こえる。
蓮「俺もだよましゅあろー」
それもそのはず相手はゲームの中の妹だからだ。
白「キッモ……」
後ろから……いや頭の中に響くように男性とも女性とも取れない中性的な声がする……。
(無視だ無視)
だが今は二次元の妹との中を裂けるものはいない……。
ましゅあろ「お兄ちゃんいつもの……して?」
蓮「わかったよましゅあろ……」
次のシーンに行こうとすると画面と蓮の目との間が空間が切り取られたかのように黒く染まりどの角度から見ても次の画面は見えなかなってしまう。
普通ならありえない光景だが、こんなことをできる生物に蓮は心当たりがあった。
(頭の中のうるさいあいつしかいない……。)
白「邪魔するよー」
あんのじょうそいつの仕業だった。
蓮「あーウザすぎる……!どかせバカ!」
無視していたら白が痺れを切らしたのか、俺の目に「視界ジャック」が如く特定の者との視界を黒く染められてしまったらしい。
蓮はどかそうと、手を必死に動かし振りほどこうとするがすり抜けて退かせない。
蓮「…………」
白「もっと現実を見ようよ本当に気持ち悪いよ」
白「私は甘くて酸っぱい味は好みだけど恋愛は現実でしようよ蓮……見た目はいいんだからさ」
蓮「はぁーなんだよいきなり、夢見たいな存在のお前にだけは言われたくない……」
頭から聞こえる白の声に蓮は反論する。
自分のことを白と呼んでいるが、その性質は伝説の生き物獏そのものである。
白「そんなこといっていいの?この妹との再会何度目だと思ってるの……?甘酸っぱくて美味しいのはいいけどさなんか複雑……」
白の言葉の真意とは蓮は白に……夢を食べさせる変わりに蓮の一部の夢を消してもらっている。
もっと簡単に説明すると……白曰く『夢とは脳の情報の整理のため見せる映像のことを指す』らしく、ここで言う夢とは記憶のことである。
伝説上の獏が悪夢を退けるのも、病は気からという言葉通りその人の病の元を食べるためとのことだった。
白曰く悪夢は、悪夢の性質によるが大体塩見が強く、食べるとぞわぞわするとのことだった。
(どうでも良い余談だが味覚音痴になった時、疲れてる時に食べるらしい。)
蓮「いやそれは困る……」
蓮は名作アニメ、名作ラノベを読んだ後……終わった後の空虚感に耐えられず白に記憶を消してもらいリセットをかけている。
そして蓮はこの「妹との軌跡、甘いましゅあろはいかが?」を何度目か分からないが毎回新鮮でわくわくドキドキな感情でプレイしているのだ。
蓮「美味しいならいいだろう?」
蓮は開き直り、美味しく頂けるなら何が問題なのかと聞く。
白「うん……美味しいんだよ?甘ずっぱくてさ……でももうこの味は繰り返し食べたから飽きて来たかな……」
そう白は返してきた、甘酸っぱくて……それは白曰く恋愛の時に人が抱く感情……余談だが、それが最高長に達すると至高の味だと言う。
白はそれを待たずに大抵食べてしまうとのことだが。
蓮は恋人同士、将来を誓い合い結婚した者同士の恋が覚めるのも白みたいなのが居るせいじゃないか……そう蓮常々思うが、蓮は白以外の獏には会ったことはない。
話は戻るが……二次元相手に白曰く甘酸っぱい味を出す練習の記憶の根源は……もちろん恋心であった。
蓮は画面の前の絵でしかない二次元に恋をしていた。
蓮は真面目な顔で声のみ聞こえる白相手に言語化しこの想いを伝える。
蓮「俺は画面の奥の嫁達、妹達に恋をしている。」
白「…………引くわーマジ引くわなんでこんなやつ……に」
蓮「それはいいからさーいい加減このモザイクどけてくんねぇ?というかそれはこっちのセリフなんだけど……毎回邪魔するなよ」
白「仕方ないじゃん私だってさ人権?的なのあるの衛生的に目に良くない」
白は蓮の夢の中が住処になっており、他の夢の中にお出かけすることはあっても必ず蓮の所に帰ってきてしまうのだと言う。
蓮の『視覚』や『夢=記憶』は白には共有されているとのこと。
(あれ?俺の方こそ人権なくね?)
と蓮は思うがツッコミはしない。恐らく彼女にはこんな思考も筒抜けだからである。
話は少し前に遡る。蓮が不思議な獏と同居するきっかけになった時の話。
白との出会いは……遡ること3ヶ月と少し前の中学最後の冬のことだったと思う。蓮が曖昧な言葉を使う理由は蓮にその時の記憶がなく蓮の最初の記憶は、病室の知らない天井であった。
後に駆けつけた家族曰く、原因不明の電磁波と思われる停電が街全体に起きたという。
蓮は原因不明の意識不明状態に陥り2ヶ月間寝たままで、新しく入る予定だった高校入学の時も病室で寝ていた。
ようは蓮は何が起きたか先程の説明や意識不明という文字通り不明であった。
ふと直前の記憶やその前後の記憶がないのは記憶喪失ならおかしくないと今この時まで蓮はそう思っていた。
(が……白なら記憶を食べれる……)
蓮は試しに白に尋ねた。
蓮「あれ?話は変わるけどさ白、3ヶ月前のお前と俺の出会った時の記憶食べた?」
白「うーんと‥てへぺろっ」
蓮の視界は黒いモザイクに隠されたままだったが、やたらと頭の中でてへぺろという声だけが反響する。
どうやら白が記憶を食べたのは確定のようだった。
なんとか蓮はどうやって出会ったのか思い出そうとするが……記憶がなければ答えが出るはずもなく蓮は最終的に諦めた。
蓮「はぁーまぁいいか」
蓮の中で微かに残る残穢のような感覚が、白と出会った時に何かを聞き、白の正体を見た気がするのだが。
それはもう白に食べられてしまった。
食べられた夢……記憶は元には戻らないため言っても仕方ないと蓮は諦める。
それに白自信も答える気もないようだった。
結花「お兄ちゃんご飯だよー食べに来てー」
下の下界、いや現実から妹らしき声がするが今は画面の前の妹で忙しいので蓮は居留守が如く無視を決め込んだ。
結花「お兄ちゃん!バイト代以外お母さんが本当にお小遣い止めるって……」
蓮「グラウンドマザーが!早く言え今すぐ下界に下る」
結花「お兄ちゃん狂ってーいや来るってーお母さん」
母「中二病も乙だね」
わざわざ言い直す妹だが、俺は狂ってないと蓮は言葉に出さないが反論する。
母親には中二病乙と言われるが蓮は別に乙てない、しかもグラウンドマザーは乙の使い方違うと憤りを覚える。
蓮は思考とは真逆に優しくドアを開き大人しく下へと続く階段を降りて行った。
その後、下で夕食を終え蓮と白の日常風景になりつつある。押し問答は続き。
蓮は明日初登校となる学校であり、アニメとゲームは深夜3時までと決めいつもより控えめに二次元を堪能してから夢の世界へと旅立った。
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作者余談欄
ここまで読んでくださりありがとうございます♪
よければハート貰えると嬉しいです。
設定が難しいので読者に納得していただけるよう努力します。今回はハッピーエンド目指して書きます。
手探りで頑張っていきます。心の片隅程度で良いので、応援よろしくお願いします。
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