夢見渡り 獏と過ごす高校生活

ゴリラつらみ

第0話 エピローグ 

冬の風が冷たく体に染み入る、2月中旬


それは赤い流星のようだが、近づくと共に人の形にも見えた。


今年で15歳、最後の冬を迎えた少年はただそれを眺めることしかできなかった。


それはどんどん此方に迫ってきていた。

もしあれがここに衝突したら……そんなことすら考えられないほどにその光景はとても綺麗に映り少年は見惚れてしまっていた。


そんな絶景に見惚れている自分とは、対極に少年が冷静だったのは、部屋一面、此方に向かってくる赤い流星の光に照らされており、これからとある少女との約束のため準備をしていた少年が、準備をそっちのけにするほど部屋一面を照らす光の元凶に気づいたくらいだったが……周りは変わらず静寂に包まれ、騒ぐ様子もなかったことも起因していた。


眺めていた流星は少年の瞳いっぱいに光を映すと共に……

たしかにはっきりとした声が聞こえた。


『会えた、会えたよ‥蓮』


とても悲しそうな、でもどこか再会を嬉しそうにしている女性の声がはっきりと聞こえた。


流星は光が収束する様に女性の形をとる。

その際、眩い光を放ち部屋と少年を包み込んだ。


その時の衝撃からか少年は深い底へと意識を手放した。

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