第15話 強制労働
自然と瞼がゆっくりと上がる。
一瞬視界がぼやけるが、直ぐにはっきりと見えるようになった。
少し暗いが目の前にはコンクリートの床が見える。
うつ伏せで影が出来て暗いのかもしれないと考えた。
そしてそこで目が覚めた。
自分が今どういう状況下にいるのかを理解したからである。
キュアシェットは咄嗟に身体を跳ね上がらせ、女の子座りをした。
「ここは…何処なんだ」
自身が騙されて眠らされていたことは理解していたが、まさか知らない場所に連れてこられるとは思ってもみなかったのだ。
彼女は周りを見る。
目の前には頑張れば通り抜けられるほどの隙間の広い鉄格子があり、天井にはロウソクで部屋を照らしていた。
右側には便器が設置されており、洗面台もそこにある。
トイレットペーパーは既に使い切られた後のようだった。
「本当にどうしよう…」
そう思った時、何故か寒気がした。
そのため今1度自分の身体を確かめてみた。
見てみると黒い下着以外全て無くなっていた。
「どうしてこんな事に…」
そう呟くと檻の外から小さな足音が聞こえてきた。
徐々に音が大きくなっていく。
キュアシェットはたまたま自分の後ろにあった木のイスに腰掛け、恐らく看守であろう人物が来るのを待った。
1分が経つ頃、足音もかなり大きくなり、遂に目の前に人が現れた。
だが、味方では無かった。
「罪人番号DB-225番、出て来い」
キュアシェットは罪人番号とはなんだ?となってしまった。
やはり何かやらかしたのでは?とも考えた。
だが次の瞬間発砲音と着弾音が聞こえ、左側から破片が飛んできた。
反射的にキュアシェットは着弾音がなった場所を見た。
コンクリートに穴が出来ていた。
煙も少し上がっていた。
そして発砲音の方へと目線を向けた。
檻の外から彼は"拳銃"で撃ってきたのだ。
唐突に発砲する看守に対して恐怖を覚えたキュアシェットは、自身の罪人番号を覚え看守の言う通りに檻から出た。
今のをされてはキュアシェットは抵抗しずらくなってしまった。
「黙ってついてこい」
そう言われ、看守の後ろを黙ってついていくと更衣室についた。
入れと言われ彼女は黙って入る。
後ろからは看守がぴったりとくっついてきていた。
二人が部屋に入ると看守は扉を閉めた。
看守がまたついてこいと言わんばかりに彼女の前へ歩き出し、部屋の奥の方へと歩いた。
看守が目の前で立ち止まっている。
看守に目を向けると、看守はそこに座れと言いたげな顔で近くにある青いベンチを指さしていた。
彼女は彼の指示に従いベンチに腰掛けた。
するといきなり隠し持っていたであろう拘束具をキュアシェットの手首・足首にそれぞれに装着させた。
手首の輪っかは鎖でつながれており、足首の輪っかも同じく鎖でつながれている。
拘束具をつけられたと思いきや、看守がいきなり彼女の胸を黒いブラジャーの上から揉み始めた。
下着姿で86㎝もあるバストが目の前でたゆんと揺れていれば看守も男であるがゆえに我慢できなくなったのだろう。
「.....ッ!」
キュアシェットは恥ずかしさのあまり顔を赤らめてしまった。
2分ほど彼は彼女の胸を揉んでいた。
そして満足したのか、胸から手を放しベンチから少し離れたところまで歩き、
「ついてこい」とだけ言って部屋の出口まで歩いていった。
キュアシェットも体に足枷がついてはいるものの、懸命に看守の後ろを追いかけた。
9:05 労働棟 地下2階 待合室内
「ご命令通り罪人番号DB-225番を連れてまいりました」と先に部屋でくつろいでいた"見るからに臭そうで小太りなかなり禿げたおっさん"に言った。
「ご苦労。もういけ」
キュアシェットを撃った男は失礼しますと言って部屋を出た。
ここで今一度彼女の服装を確認しておこう。
キュアシェットはいま黒い下着を上下着用しており、そこに拘束具が装着されているだけである。
そのような状態で今彼女は待合室内にいる"見るからに臭そうで小太りなかなり禿げたおっさん"と2人きりになっていた。
先程の男が出て直ぐにこの"見るからに臭そうで小太りなかなり禿げたおっさん"が口を開けた。
「君が”
「そうですが....?」
「いやぁ~君の活躍は知っているよ。普段から兵器開発に勤しんでるみたいじゃないか。彼らが乗っている機体も君が手掛けたのだろう?本当に素晴らしいよ君は。まさに私の部下になるべき人物だ!」
キュアシェットは徐々に嫌な気持ちを表情に出し始めていた。
「それで、なにが言いたいんですか?まさかあなたの部下になれと?そんな要求、断るに決まって...」
いつの間にか手が届く距離にまで近づいていた彼に気づかず、左頬を叩かれていた。
「....え?」
彼女は困惑した。
「君に拒否権はない。ただ私に従うのみだ。そして君は私が要求するものを設計してもらう。満足いく物でなければその日に射殺したって私は構わない。さぁ、どうする?」
汚すぎる。
今にも吐きそうなほど気持ち悪い、クソをいくらつけても足りないほどの男。
しかし彼女は抗うことができない。
「...わかったわよ」
キュアシェットはあっさりと了承してしまった。
「んふぃ...!これで決まりだな。楽しみにしているぞ、キュアシェット・グレートテムラート」
9:18 労働棟 地下5階 強制労働部屋 [=設計室=]
「君には今日からここで働いてもらう。飯は持ってこさせるし、クソなら部屋の隅にある便所をつかえ。それと...”欲”が溜まったら俺を呼べ」
彼がそう言うと手で彼女を部屋へと押し入れた。
そして彼は”では、ごゆっくりと”とだけ言い残しコツンコツンと音を立てながら薄暗い廊下を闊歩していった。
「どうして....こんなことに。姉さま...誰か...助けてよ....」
キュアシェットは薄暗い部屋の中で静かに涙した。
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