第7話 大陸解放に向けて2
~ 12月22日 アルジェリア上空 19:00 ~
「タリバリン3は大丈夫ですかね?今までで一番キツイ戦場で足止めしてたらしいじゃないですか」
無線を介して聞いてきたのはタリバリン2、弥島英樹だった。
「AWACSがわざわざ休暇を命令として出すなんてそうあるわけでもないですし、心配ですね」
「隊長として私も彼が心配なんだが、まずはチャドを攻略しなければ話にならんな。とりあえずAWACSの指示があるまで後ろの奴らを引率しながらチャドに向かうぞ。敵反応があれば教えて欲しい」
とタリバリン1が言うと今いるタリバリン中隊員は「ウィルコ」と発言して行動を開始した。
とは言ってもチャドまで周辺警戒程度しかやる事が無いため、特に後方に位置する実戦経験の浅い飛行隊員の一部は任務中であるにも関わらず退屈そうにしていた。
しばらく高度を保ちながらチャドへ向かっていると無線が入った。
「こちらAWACSジャンバールだ。こちらのレーダー上に5つの大きな反応を検知した。恐らく敵の大規模連隊と思われるため、十分に注意せよ。それと本国司令部からの通達でこちら側の被害を最小限に抑えて貰いたいとの事だ。武運を祈る」
AWACSの無線が終了した後チャド大規模空襲隊に組み込まれたRA国のパイロット達は"ラジャー!"と返答し、タリバリン中隊を先頭にチャドへ全力で向かった。
~ 12月22日 チャド上空 19:20 ~
「全機、交戦を許可する」
AWACSの交戦許可が降りると各隊員はエンゲージ!と言ってこちらを捉えた敵地上部隊の対空網へと飛び込んだ。
平らな地形によって敵のロックを避けることは難しいが、低空飛行によってレーダーに捕捉される危険性を低下させる事が出来るため、要塞を取り囲むように配置された敵AAGUNとSAM、TANKにRKTL-TRUCKによる集中砲火を避けるため空対地ミサイルを装備した機体を操縦する者達は地上へと向かって降りた。
敵地上部隊との距離が縮まるに連れて敵の弾幕が濃くなっていく。
一直線に飛ばず左右に機体を揺らしながら接近し、同時に空対地ミサイルの発射準備をする。
機体のレーダーは敵を捉え、HUD上で緑のコンテナが敵を捕捉し、ピー!ピー!と言う音と共に赤く明滅し始める。
敵と2500mまでの距離に来た。
ついにこちらは敵TANKをロックオンし、パイロットは空対地ミサイルを発射する。
放たれた空対地ミサイルは敵に向かって飛翔し、目前で高度を取って真上から攻撃を仕掛けた。
ミサイルは敵TANKの天板装甲を貫き、車内で爆発した。
瞬間的に発生する高熱で搭乗員は死に絶え、車体に残っていた弾薬にも引火し、数十トンある砲塔を上方へ押し上げ、ターレットリングからは火花が溢れ出した。
パンパンとうるさく炎上するTANKを見ながらも次の目標へ攻撃を仕掛けるために高度を取って体勢を整える。
地上は地獄と化した。
戦闘機で地上部隊を叩いているとAWACSから無線が入る。
「こちらAWACSジャンバール。本国から飛び立った爆撃部隊がもうすぐ戦場に到着する。チャド大規模空襲隊の皆には後3分耐えてもらいたい。」
との事。
だがそれだけではなかった。
「…ん?これは…。警告!後2分で敵大規模連隊と会敵する恐れあり!今すぐ地上攻撃を中止し後に来る味方爆撃機の安全を確保するため空対空戦闘に移行せよ!」
少し前に聞いていた大規模連隊が予定より30分も早く接近していたようだった。
無線を聞いていたフェジン中隊の1人は「おいおいおいおい!!予測より結構早いじゃねーか!こちとら対地装備で来てんだ!こんなんじゃ戦いっこねぇーよ!」と言った。
するとフェジン中隊の中隊長は「うるさいぞフェジン9!AWACS聞こえるか、こちらフェジン1、フェジン中隊の帰還を求める」とAWACSに要請を出すとAWACSは即座に応答し帰還を許可した。
フェジン中隊は装備を換装するために1度エジプトへと向かった。
他の対地装備で来ていた中隊各機も同じくAWACSの許可の元、エジプト行きとアルジェリア行きの二手に別れた。
戦場に残った7中隊は驚異となる敵の大規模連隊を食い止めるためその空域へと向かった。
だがその途中で敵SAMから放たれた一発のミサイルが8000m上空まで高度を取っていたRA機編隊頭上右側で閃光のように眩しい光と共に強烈な爆裂音を響かせながら爆発した。
そして爆心から1000m程にいた3中隊5機は爆風と高熱によって撃墜されるという被害が出てしまった。
「ルファ3、8!応答しろ!残りの隊はどうなってる?!」
「こちらジャンバール!ブリアント4、ロングバット1、2が完全にロスト!」
「おい、おいおいおいおいッ!なんなんだよあれェ!なんなんだよぉ!」
「誰か奴らが脱出する所を見た者はいないか?!」
敵SAMによる謎の範囲攻撃の後、こちらの無線は混乱していた。
後に到達する敵連隊の対処を優先しなければならいが、先ほどのSAMが敵基地にあと何台あるかわからない以上これらの対処を同時に行わなければならない。
そんな中敵航空機の第一波が戦闘空域内に侵入し始めた。
AWACSはレーダに映る数多の反応を見て慄きながらも、各機に命令を下した。
「こちらジャンバール、敵大規模連隊の第一波が戦闘空域内に侵入したのを確認した。戦闘指示は各中隊長に任せる。その間こちらでは先ほどのSAMを解析する。解析終了次第すぐに伝達する。以上だ!」
今のを聞いた各機はそれぞれ中隊長に従って行動することとなった。
ー 作戦進捗度 32% ー
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