短編集-情感-

無題のメモ

私は。

今、何が起こったのだろう？

思い出せない。でも一つわかるのは私の名前だ。結由稀（ゆゆき）海斗（かいと）。それが、私の名前だ。

外に出る。

そこで私は絶句した。なぜなら、建物がほとんどない。

でも、ないってわけじゃない。倒れているのだ。ほとんどが。

そうだ。ネットを見れば何かわかるかもしれない。

突然そう思い立った私はポケットのスマホを颯爽と取り出す。

ネットニュースを見る。すると、世界に例を見ない大災害が起こったらしい。

自然の災害によって、人為的災害がまた起き、見るに堪えない状態になってしまった。

それは、日本でも、他の国でもだ。

ニュースの更新も、私のログイン履歴も、何もかも。

全て、11月27日で止まってしまっている。

今はもう12月入るくらいだ。

つまるところ、世界の時間は11月27日で止まってしまった。

そう考えるのが妥当なのかもしれない。

足を動かす。見たことある景色のはずなのに、記憶はうっすらで。

見たことがあるかも、ないかもと彷徨している。

そんなことはいい。私はこれからどう過ごす？食料が無ければ、生きることさえ難しい。

とりあえず探すしかない。

こんな絶望的な世界から。

そして、こんなチャチなものしかないが。

もし。誰かこれを見ているなら。どうか。

助けてくれ。