短編集-情感-
冬結 廿
オクリモノ
※残酷描写注意
ネットサーフィンをしている午前2時。
俺はとあるサイトを見つけた。
「『この問題、正解できますか?』ねぇ…。」
下に続く文は“正解したら、商品を無料で配達!!”
普通なら、こんなサイト見ないのだが、この時間帯なのと、今日はスッキリしていたからだ。
今日、クソ店長の元のバイトを辞めてきた。二年経ってもあの態度が変わらないので、スタコラさっさと辞めてやった。
いつまで経っても配達が遅いだのなんだのいうからなぁ。
初めの頃より、三割は速くなってるんだと思うんだけどなぁ。
まぁ、今はそんなことどうでもいい。
こんな清々しい気分なので、変なサイトを開こうとしてるのだ。
まぁ元々、クイズは好きだから。簡単にできるでしょ。
そして、クリックする。
真っ白背景に黒文字だけのサイト。
広告を色々消して、問題のページに飛ぶ。
そこには“この問題解けますか?解けたら、無料でこちらの商品をお送りします!”と、書いてあった。
まぁ、俺はA型なので、上から順番にやろうと、本能的に思い、一番上の問題を開いた。
Q:6÷2(1+2)=?
と、書いてあった。有名な問題だ。
答えは9。よって、A:9と打ち込んだ。正解。
次。
Q:消しゴムは鉛筆より、10円高いです。鉛筆2本と、消しゴム二個を買った時220円になる時、鉛筆と消しゴムはそれぞれ何円?
これも有名だ。
答えに、A:消しゴムは60円、鉛筆は50円と書いた。
その後も、いろんな問題が続いた。画像が出て“ここにある山脈の名前は?”とか“この世界遺産の名前は?”とか漢字の読み、書き。
問題は大人が頑張って考えればわかるようなものばかりだった。
唯一、驚いたのが“鎌倉幕府が始まったのは?”という問題の答えがわからなく、知識問題はいくら考えてもわからないので、負けた気持ちで調べたら、1192年から、1185年に変わっていたこと。
‘良い国作ろう鎌倉幕府’の語呂合わせは調べたら思い出したが、変わっているのは知らなかった。
なら、今の小中学生はなんて覚えるんだろうと考えながら、次の問題に行った。
そして。最終問題。
Q:この中で毒であるのを選びなさい。
そして、選択肢には十個ほどの気体の名前が並んでいた。
知識はどう考えても出てこないから、調べて、わかるものはしっかりこたえた。
結果は正解。
そのページが終わると、問題のページに“景品一覧はこちら”というボタンが増えていた。
そのページには各問題の景品が載っていた。
石鹸、入浴剤、飲み物、文房具、調理器具など、色々あった。
が、最後の問題の景品だけ不穏だった。
景品名:日本産女児
と、書いてあった。写真には可憐な可愛い10代ぐらいの女の子の写真が。
しかも、この子に、俺は見覚えがあった。
よくいくコンビニの外で、寒そうにスマホを触っていた子だ。しかも、平日は大体毎日いた。
まぁ、どうせこんなの誰かの悪戯だろ。
そう思って、全ての景品を送れるように手配した。
__
後日、景品が送られてきた。段ボール箱3箱。
こんなに景品あったかなぁと思いながら、受け取った。
早速開封する。一箱目は、小物系。
二箱目は少し大きめのもの。鍋とか、食器とか。だから、割れ物注意って貼ってあったのね。
三箱目は、なんと、
まだ暖かくて、
けど息はなくて、
綺麗にしまってある、
女の子がいた。
ああ、
だから、
箱が、
真っ赤、
だったんだ。
それを理解すると、すぐに近くのコンビニにダッシュで向かう。
今は、夕方頃。
本当なら、ここは学生達がたくさんいて、その中に、俺が見かけるはずの女の子がいるはずだと思っていた。
周りの光るものが消えていく中、俺の女の子を待っていたいと言う気持ちは消えていなかった。
でも車の音も、人の声もほとんど聞こえなくなっていた。
俺は信じたくなかった。
間接的に俺が殺したことになるんじゃないか。
そう思ってしょうがなかった。
家に帰ったら、もういないんじゃないかって、俺が殺したんじゃなんかって。
そう、自分を責めてしまう。
時刻は丑三つ時。家に帰る気にもならず、コンビニに入り、肉まんを買う。
漆黒の寒空に、対象的な真っ白な熱を持った肉まんは久しぶりの食事なのもあり、美味しいと感じた。
そこで満足して、肉まんを頬張りながら、ふらふら、家に帰る。
次の日も、そのコンビニの前にスタンバる。
その次の日にも。その次も。ずーっと。
それを続けて、1ヶ月経ったある日、夜になると車が一つもないのに、今日は一つのトラックがあった。
コンビニの商品配達ではないだろうし。
「お兄さん、どうした?こんなところで蹲って。」
「あぁ、人を待ってるんですよ。」
「そうなのか。来てくれるといいな。その女の子。」
そう言われびっくりしたのと同時に、俺の意識はなくなった。
次に意識が覚醒したのは痛みが原因だった。
「ここも切らないとなぁ。入んないしなぁ。」
そう言い、でっかい鋸が電動で動き出す音がした。
「あっ、こいつ俺の部下じゃん。あんま、叫ばないでねー。うるさいと、次の獲物を捕まえる餌として加工できないから。」
そうして、身体が切断される感覚で意識はなくなった。
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