第七話「光と花」

コウが神様に苦情を伝えた。

花びらと魔法を使って自分を救った事。

この5年間ずっと待ってくれた事。

そして、16歳の時から婚約してる事。

全て私に対する想いを伝えたけど、最終的に死ぬしか選択肢はなかった。

今度、深い眠りにつくのは私の方になる。


「神様、最後に一つだけお願いがあります」

「なんだ?」

「私の花と真珠を指輪かネックレスかブレスレットにしてくれませんか?」

「分かった。最後の願いを叶えてあげよう」

「ありがとうございます!」

光の魔法がミラの周りを包み込む。

神様の魔法でピンク色の真珠が指輪、ネックレス、ブレスレットに変わる。

ただ一つ変わらないのは、ミラの髪に飾る大きなピンク色の花だ。

魔法がなくても、大きなピンク色の花が枯れる事はない。

それはミラが生きてきた証でもある。

「コウ…今までありがとう。私、5年間待ってて良かったよ?

コウと一緒にいる日々は楽しかったし、幸せだった。

辛い時や苦しい時もあったけど、ずっと忘れないから。

今度は私の番だけど、コウは待っててくれる?」

「必ず君に会いにいくよ。何年経っても待つから。安心して眠ってくれ。こちらこそ、今までありがとう」

「もうそろそろ時間だ」

「ミラ!君に出会えて、恋して良かった。

来世では夫婦でいよう。そして、二人で幸せになろうな?」

「うん」


花びらが二人を包み込む。

ミラの大きなピンク色の花が魔法によって咲きながら、キラキラとした小さな光の数々が二人の周りに漂っている。

ピンク色の真珠を巻いて占いする事がとても魅力的だ。

呪文を呟きながら、花びらの占いを始める。


小さなピンク色の花びらの数々が一気に彼女たちの体にばら撒く。

そして、その小さなピンク色の花びらの数々がだんだん白くなっていく。


ピンク色の真珠がバラバラに撒き散らして、下へ下へと落ちてゆく。

魔法が消えてしまう証拠だ。

ミラの魔力はまた取り戻せるかもしれない。


コウは自分の光の魔法で、ミラに祝福の呪文を唱える。

この先、何があっても、ずっと幸せな人生が送れますように。

好きな人のために命を落とす事はなくなりますように。

愛する人とずっと一緒にいられますように。


「ミラ、大好きだ、愛してる」

「私もだよ?コウ?」

ボロボロと涙を流すミラの姿がぼやけていく。

ミラが白い光と花びらに変わっていく。これは神様と天使からの祝福の証だ。

ミラが静かに消えていった。

どこかでコウを見守ってると信じてる。


時は流れ、1年が過ぎた。

ミラは昔の姿のままで蘇った。

いつもと変わらない姿で。


花びらの占い師のミラの髪はサラサラして、キラキラしてる金色だ。

そして、透き通った水色の瞳を持っている。

何より彼女のシンボルとなるのは、この白くて長いベールとピンク色の大きな花だ。

ただ、今度はピンク色の真珠は巻かれていない。

頭にはピンク色の大きな花とベールが付いているままだ。


「ミラ!おかえり!」

「ただいま!コウ!」

「僕と結婚してくれませんか?」

「はい!喜んで!」


二人の幸せはずっと続いていく。

お互いにとって、命をかけて守りたい人で、ずっと好きで、深く愛している人だ。

その後、コウとミラの愛情は、特別なおとぎ話として伝わっていくようになる。


これが光の魔法を持つコウと花びらと魔法の占い師のミラの優しくて、切なくて、どこか温かい恋の物語だ。

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For you あなたのために〜花びらの占い〜 ドーナツパンダ @donatupanda

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