こんなつもりじゃなかったのに..
こんなつもりじゃなかったのに...。これまで、何度呟いただろうか。
僕は人が好きだ。誰が好きとかではなく、人と関わることが大好きだ。だからこそ、人の役に立とうと頑張りすぎてしまうらしい。
中学の時、親友が「バイクに乗ってみたい!」と言うのを聞いて、家にある親のバイクに乗って親友を迎えに行った。
「やべー、かっこういい!!」
奇声を上げて喜ぶ親友を見て、僕も心から嬉しかった。大事な親友との青春の一ページ。大人になったら、風を感じながらかっ飛ばした思い出を語り合える。そう思っていたのに...。
こんなつもりじゃなかった。
僕の運転するバイクは激しく転倒し、風を感じるどころか今まで味わったことのない痛みを感じた。視界がぐらついて、全身痛くて、だけど笑えるぜーなんて思いながら起き上がったら、あいつは丁度工事中の積み上げたパイプに埋もれていた。
それから、あいつは車椅子なしではいられなくなった。
こんなつもりじゃなかったんだ。
高校に上がって、僕には可愛い彼女ができた。一緒にいられるだけで幸せで、彼女の願うことはなんでも叶えてあげたいと思った。
初めてのクリスマスの夜。「忘れられない日にしてほしい!」という彼女の願いを叶えるために、サプライズをした。
普段から、一生一緒にいたいと言ってくれていたので、彼女もきっと喜んでくれるだろうと思った。
幸い、僕のサプライズは成功して彼女のお腹の中には新しい命が宿った。結婚すれば一生一緒にいられる。彼女はこの夜を忘れることはない。これからもっと幸せにできる。そう思っていたのに...。
彼女は3学期を迎えることなく、二つの命を投げ出してしまった。
こんなつもりじゃなかったのに...。
僕は学校を追い出され、大好きな人々と離れ離れになって、一人ぼっちになってしまった。
一人はつまらない。誰かと話していないとどうにかなってしまいそうだ。僕はすぐに同志を集めようと考えた。
気づけば、僕の周りには人だった者たちが倒れていた。
こんなつもりじゃなかったのに。
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