エピローグ

第54話 おまけ

 これは俺が魔族の2人組とリザードマンたちを相手に無双する少し前、ミロットのアトリエから黒マントを追い返したすぐの時のことだ。


「おのれ……あの女の魔法もだが、何よりあのゴーレムは何なんだ! 明らかにあの女でもましてやスライムでもない、なのに命令もなく私に攻撃を仕掛けてくるとは……」


 あの時、俺がゴーレムに指示を出すときは殆どが心の中で念じてる感じだった、つまりはミロットのテレパシーみたいなのである。じゃないと戦闘中に指示を大声で出してたら何をゴーレムがするのか丸わかりで意味ないじゃん。


 何故ゴーレム限定で俺がテレパシーが出来るのか、そこら辺の理由とか不明だ、多分ゴーレムクリエイトのスキルに付随してるオマケみたいなもんだろ。


 にしても黒マントは悔しげに文句を言っているな、まあ姿の見えないゴールムマスターに手も足も出ずににやらればそれは気分も最悪だろう。


 ……ちなみになぜ俺が黒マントの様子を見れるかというとヤツの体にちっこい虫型のゴーレムをつけていたからだ、やつが瞬間移動みたいな方法で逃げるのを知っていたので念のためという理由で戦闘のドタバタに紛れてくっ付けていたのである。


 魔族の2人組の方も怪しいので虫型のゴーレムを隙があればつけておくつもりだ、これさえつけておけばどこに逃げられても安心だからな。


 そして俺が黒マントにゴーレムをつけていた理由は別にある、こいつみたいに人ん家に強盗に来るような危険なアポ電強盗予備軍にはきっちり落とし前をつけさせてやろうと思ったからだ。


 正直、現在の俺は魔族コンビの相手をしながらリザードマンたちの方にも巨大ゴーレムをクリエイトするので若干忙しい、なのでさっさとこいつへのお仕置きは済ませてしまおうと決めた。


 と言う訳で──


「しかしあのスライムを諦める事は出来ない、私には何としてもヤツを使い、手にしなければならない物があるのだ。そうっアイツとの契約を達成し、全てを支配する圧倒的な力を得るためにあのスライムが知るアレの在処を…」


 ゴーレムクリエイト……黒マントが何やら重要な事を言っていたがそんなことは無視して俺がクリエイトしたのは……。


「全ては我がやぼうぉおおおおおっ!?」


 ゴーレムがやつを中心にモリモリと出現する。

 驚愕する黒マントは素っ頓狂な声をあげる、さっきまでのシリアス寄りな雰囲気もぶち壊しですな。と言うか魔法が切れたのか声があの性別不明な感じじゃなくなってるぞ。ハスキーボイスだ。

 多分女だな。


 ふふふのふ~~俺のゴーレム達はただ勝つだけじゃないぜ黒マントよ。

 今からお前をサンドバックにしてやる、行けっゴーレムたちよ!


 俺の命令に従いゴーレムたちが黒マントを囲んでぶちのめそうとする。無論、黒マントも応戦するが……。


「なっコイツらどこから現れた!? まさかあのアトリエにいたヤツがここにいるのか!?」


 ゴーレム軍団が黒マントに攻撃を仕掛ける、リザードマンのツメ攻撃、サガンゴーレムの細長い腕でよパンチ、バイラスゴーレムのタコ足ラッシュが襲いかかるが黒マントは何とか躱した。


「この程度の攻撃で……舐めるな! ゲイルクロー!」


 前方のゴーレムが切り裂かれた、あの不可視の攻撃は本当に大した威力だ。

 けどね~~。


「フンッこんな雑魚がいくら居ても……は?」


 いくら居ても……何かな?

 なら更に追加で……500体ほど追加ね。

 ゴーレム軍団が黒マントを包囲する。


 多勢に無勢である、さすがにどうしようもないだろうね。あっ黒マントは逃げ出した。

 しかし黒マントはマントを掴まれた、ヤツがまた瞬間移動して逃げる前に黒マントに攻撃して抵抗を封じる。


 ゴーレムが攻撃を仕掛けようとしたその時、マントが外れる。するとそこには予想外の顔が現れた。


 黒マントは女だった。やっぱな~いやっ声からして女だとは思ってたけどな。長いツーサイドアップの銀色の髪と赤い瞳が特徴的な美少女だ、スタイルもよく巨乳さんである。


 ………………。


 なるほど、さすがにサンドバッグにするのはやめにするかな。

 俺は相手が野郎ならボコボコにしても大して心は痛まないが、美少女な相手だと普通にボコボコにするのは気が引けるタイプの億エルフさんである。


 今回のことはゴーレムにしばらく追いかけ回されるの刑で勘弁してやろう。


 ちなみにこちらはあの魔族の2人組もテレポートして逃げたタイミングだ。

 しかし虫ゴーレムをくっ付け済みなので逃げた先ではゴーレムたちがもりもり出現して奴らを囲んでもみくちゃにしてやるつもりなのである。


 魔族の方のリカラも大した美人だが、口も悪いしな。

 あと肌の色が薄紫色してるから若干人外な感じが増してるから少し刑は重めである、ミロットみたいな褐色とか今の俺みたいな白人並に綺麗な白い肌なら減刑してたんだけどな。


 取り敢えずこの銀髪美少女は……捕まえてほっぺを引っ張ってやるか。


「なっや、やめろぉおおーーーーー!」


 複数のゴーレムに捕まり、胴上げの途中みたいな体勢で身動きを封じられた銀髪美少女。

 そのほっぺを引っ張るのはトカゲゴーレムである。ヤツらがカプッと噛む。


 そして引っ張るのをゴーレムの視界で楽しむ俺なのであった。ちなみにこの後直ぐに俺は気絶した。

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