第53話
その後出発を決めた俺たちだが、食料やら旅の荷物やらは全てミロットのアトリエに置いてきているので、それらをフレッゾの街の外に運び出す事にした。
そして作業を終えました、無論頑張ったのは大半がゴーレムだけどな。ちゃんと俺達も頑張ったけどな。
まずスネークゴーレムたちに俺たちが問題なく通れるくらい大きな穴を作ってもらい荒野の地下を通ってミロットのアトリエまでの一本道を作ってもらった。
ミロットはここにいたので内緒だが、床に穴を開けて荷物を運び出しているので後々ここにヤツが戻ってきた時に烈火の如くブチ切れる未来しか見えないので秘密である。
その後はリザードマンゴーレムやサゴンゴーレム、バイアスゴーレムたちに旅に必要な荷物などを運ばせた。
俺たちの仕事は運ばれてきたものの荷造りである、こんな小さなエルフちゃんに肉体労働とかお前ら異世界人の頭の中はどうやってやがるんだって話である。
そんな俺の文句を当然の如く無視するミロット、ヤツは自分の荷物をぞんざいに扱われるのが嫌なのかゴーレムの仕事を監視しながら荷造りをしていた。
そしてさらに俺は新たなゴーレムをクリエイトする。一つはプレーンゴーレムで姿が馬車に見える感じのやつだ。
それを引く馬もゴーレムである 俺の予想以上に ゴーレムクリエイトというスキルは自由な発想でゴーレムを生み出すことができる代物である事が分かってきた。
本当にこのゴーレムクリエイトってスキルには助けられてばっかりだな。まあ異世界と言えばチートスキルだ、チートならこれくらい優秀なのも頷ける話だよな。
「……このスキルが無かったら、俺とかとっくにくたばってるだろうな」
「そうか? 私にはお前のしぶとさがあれば何も無くてもどうとでもしてそうだが…」
「全くだよ、ラディアってスキル以上にその色々とぶっ飛んだ性格とかの方が武器になってると思うけど?」
「おっお前らな……」
ミロットやプライムが軽口を叩きながら荷造りを進める、仕事が終わればゴーレムたちの大所帯が残るのでこいつらの大半はゴーレム化を解除して土に還ってもらうつもりだ。
白いバイラスゴーレムとチビクロは護衛代わりに残ってもらおうと思うが……あっあの荷物持ちの壺ゴーレムも残しておこうかな、なんとなくヤツには愛着があるのだ。
「……おっもう朝か」
見ると荒野の向こうからお日様がこんにちはしていた。いつもは街の城壁で見えない荒野の夜明けの景色。初めてみたが悪くないな。
「結局夜通しになってしまったな」
「もうっ夜更かしは美容の大敵なんだよ? 僕のこのプルプルな身体が潤いを失ったらどうするんだい」
「「…………はっ」」
「!?」
阿呆な事を言うプライム、俺とミロットはそんなプライムを鼻で笑った。
「まあっ後はゴーレムたちが自動で動いてくれるだろう、俺達は仮眠でもして少し休もうぜ」
「うんうん、それが良いと思うね。僕も寝ようかな~~」
「何を言ってんだよ、お前は砂漠への道案内なんだから起きてゴーレムを案内しろよな」
「なぬぅっ!?」
冗談である、少なくとも数時間はゴーレムにはフレッゾの街から離れた街道を進んでもらうだけのつもりだ。
プライムの表情ななんとなく分かるようになってきた俺だ。
さてっ準備は整ったな。
俺たちは出発した。
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