第50話
このゴーレムクリエイトというスキルはこの世にある素材を使いゴーレムを生み出すスキルだ、素材はかなり自由に選べる具体的に言えば 火、水、風、土、これら4つの自然エネルギーを含むものなら基本的に素材に出来る。
はっきり言ってチートスキルだ、これだけで戦っても負ける気がしないね。
ゆえにこの際バカでも勝てないとわかるゴーレムをクリエイトしてやるか。
「ゴーレム……クリエイトォオオオオッ!」
俺がスキルを発動すると同時に周囲の目に見えない空気の流れが明らかに変わった。今回俺がクリエイトしたゴーレムは物体のゴーレムではないからだ。
リカラとインテリ風が口をあんぐりと開けて……空を見ている。
そういや魔族って暗視も出来るんだったな。
人間だったら何が起きてんのかいまいちわかんないと思ったけど、ある意味何も分からんない方が幸せだったのかもな。
そうっ今回のゴーレムクリエイトで俺が素材としたもの、それは水と風である。より分かりやすく言うのなら大気と空気中に含まれる水分の二つだ。
その二つを別の状態にすることで、ゴーレムにすることにした。その別の状態とは水と風で生み出せるもの。すなわち雲だ。
荒野の夜空に真夏ではしかお目にかかれない様な入道雲が出現する。その雲は形を徐々に変えていき 文字通り意思を持ったかのように動き始める。
これだけの規模のゴーレムだ記念に名前の一つくらいつけてやろうかな。
「コイツが本日の俺の最強ゴーレム、名前はクラウディアンゴーレム・ハンドだーー!」
白く巨大な雲の手が空に出現した。
「ふざけんな! こんなののどこがゴーレムだコラッ!」
「ゴーレムクリエイトでクリエイトしたんだからゴーレムに決まってんだろうが!」
「雲でゴーレムを創るとか有り得ないだろ、幻に決まっている!」
「そっそうよ! どうせ見掛け倒しに決まってるわ。アタシの魔法で消し飛ばしてやる!」
リカラのヤツがピーピーと何か言っている。
見かけ倒しかどうかその身を持って味合わせてやろうか。
「ハンド! いけぇえっ!」
俺が命令を下すとハンドは動き出す、その白い雲の手が黒く色を変えていく。
黒い雲というのは雷雲だ、程なくして俺なら聞き慣れたあの遠雷の音が聞こえはじめた。
雷雲の手の所々から発光現象が見える。
今、雷雲の手の中ではいくつもの雷が生まれているのだろう。
ハンドが手の形を変えて、人差し指をリカラとインテリ風に向ける。
ゴロゴロゴロ──ゴロゴロ──
「まさか……不味いぞ、リカラ逃げろ!」
インテリ風はこれから何が起こるのか理解できたようである。
「さあっこちらの戦いもそろそろ幕引きってやつだな!」
ハンドの指先から……雷光が放たれる。
ドゴォオオオオオオオンッ!
「「ギャアアアアアアアアアアアアアアアッ!」」
その稲妻はさっさと逃げなかったアホ魔族2人を真っ黒こげにした。
音もうるさくて派手だ。眩しいね。
まあっまだ生きてはいるんだけどな。
黒こげな2人組はよろよろと起き上がりこちらを睨んできた。
わざわざ手加減してやったのに怒ってるのか?
「おらっ生かしてやってるうちにさっさと失せろよこの負け犬魔族が!」
「コイツマジでぶっ殺してやろうか!?」
「よせっ勝ち目がなさ過ぎる……だがっいつまでも俺たちの相手をしていていいのか?」
インテリ風が何やら不敵に笑う。
「ああっリザードマンたちの事か?」
「そうだ、今頃フレッゾは……だから俺たちの相手をさっさと終えたいんだろう?」
「……いんや、ただ単にそろそろ帰って寝たいんだよ俺は、何しろお前の魔法で少し酔った感じになってるからさ今の俺」
「…………は?」
このインテリ風、俺に比べるとまだまだオツムが甘いな。良いことを教えてやるか。
「このゴーレム、ハンドって言ったろ…手は俺もお前もふたつあるじゃん? そう言う事だよ」
ここってファンタジーな世界だから腕など四本くらい持ってる種族とか良そうだが、エルフと連中は腕は二つなのである。
つまりこのハンドってゴーレムは?
「…………嘘だろう?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます