第49話

 突然だが……俺は全てを理解した!


  そうっやけに意識が明瞭なのだ、そして気づいた事実がもう一つある。

 俺がこの世界に来る際に書いたキャラクターシートに記されたゴーレムクリエイトというスキルもそうだったが、あのステータスの方も本来このチビエルフの体には影響を与えているのだ。


 なぜそれを確信できるか、多分だがINTあたりのステータスが関係してるんだろう。

 確かあれは賢さ関係のステータスだったからな、少なくとも前の世界にいた時の俺よりとてつもなく高くなっているからだ。


 ただここでもう一つ問題がある、あの百億という数ステータスは当人がそうだと自覚しなければ効果を発揮しないのだ、そうじゃないと俺の場合日常生活に支障が出るようなステータスだからな。


 何しろ百億である、お財布は大したことないくせにステータスは億エルフの俺だ。

 もともと酒で酔ったとしてもその時の記憶は決して忘れたいしない俺だ……ん?


 何やら他にも大事な事を忘れてる気が……いやっそんな訳ねぇか。

  飲み会の席などの場合は特に口調や態度にも出さないのだ、ただし本来は言わないことしないことを躊躇なくするようになる。


 日頃からダブルスタンダードでわけのわからない 理不尽を言ってくるクソ上司にお前はクソだと言ったり、後輩の女性にセクハラまがいのことをしていたアホにお前はアホだと言ったりな。


 そんな感じだから他人と飲み行く時という事がほとんどなくなった。そんな俺である、俺はリカラの仲間であるあのインテリ風の魔法をくらい。その時の状態に近くなっているのだろう。酩酊エルフと言った方がいいのだろうか。


「さあって後はこの酔っぱらいを魔法で何でも答える様にするわよ!」


「あの魔法、下手すると頭がパーになるかもだぞ?」


「構わない、この大人を舐め腐ったエルフに地獄を見せてやるのよ!」


 リカラのやつが何やらわけのわからないことを言っていた。

 ……いいだろう、この最強の億エルフさんが相手をしてやる。


「億エルフ……フランベルジュ!」


 ワザ名はテキトーだ、特に意味はない。

 俺は魔力を解き放った、俺の体から黄金のオーラのようなものが立ち上がり、それが周囲に放たれる。


 リカラとインテリ風が吹っ飛ばされる。これがMP百億の魔力か、圧倒的だな……はっきり言って魔族の2体を相手にする程度だったら負ける気がしない。


「俺は覚醒した、もはやお前らモブ魔族なんぞ相手にならん。尻尾をまいてさっさと失せろ!」


「なっなんだとこのドチビエルフ!」


「モッモブって……」


 ドチビ? ドチビだと? よしっ少しだけ遊んでやろう。

 俺はでたらめな速度でリカルのやつに接近した、ヤツが腕を振るう、俺に反応してきた。


「だが……遅い!」

「っ!?」


 リカラの打撃を俺は素手ではじき返した、そして奴の懐に入り込み……エルフラッシュをかました!


「億エルフラッシュロマネコンティーーー!」

「ぐぅうああああああああっ!」


 エルフラッシュとは目にも止まらぬ連続パンチである。手が幾つにも見える速さでラッシュをかます。


 またも意味の無いワザ名をつけてしまったぜ。それとリカラは面白いように吹っ飛んだ。

 インテリ風がこちらの動きに驚愕していた、だが奴はすぐに落ち着きを取り戻し攻撃魔法を唱えた。


「なんてヤツだ……だがこれで動きを止める、アイシクルブラストーー!」


「……だから遅いんだよ」

「なぁっ!?」


 俺は今度はインテリ風の懐に飛び込んだ、そして一発叩き込みインテリ風もぶっ飛ばす。

 インテリ風は地面にゴロゴロと転がった、インテリ風はリカラよりかはムカついてないので加減している。


 一応こいつにはそこまで恨みはないからな、むしろ勝手にロリコン呼ばわりしたことをちょっとごめんねと思ってるくらいだ。


「くそっ! エルフがこんな馬鹿げた身体能力を持ってるなんて聞いたことないわよ、ブラストサークル!」


 声のした方を見るとリカラのやつがコウモリの羽みたいな翼を背中から広げて飛行していた。

 あいつマジでサキュバスみたいな感じになってんな、エロ悪魔である。


 それはそれとして空を飛んだやつはいつぞやのチンピラをボンッとした魔法を発動した。ヤツの回りに現れた魔法陣が俺の方に飛んできた。

 当然俺はまた超スピードで移動、そしてジャンプで空を飛ぶリカラの目の前に現れた。


「お前、飛行魔法でも使って…」


「ないよ、ただジャンプしてここまで跳んできただけ……食らえ億エルフフォンドヴォー!」


 要はゼロ距離ドロップキックである。

 ぶっ飛ばされたリカラはインテリ風の隣へと落っこちた、インテリ風のやつもダメージこそ負ったものを気絶はしてないようだ、ノロノロと起き上がり何やら2人が会話をしているな。


「なっなんて強さなんだ!」

「ふざけんな、エルフなんかにこのアタシが……」


「まだやるのか?」


「当然よ、絶対に地獄を見せてやるわよ!」


 ふ~~ん、なら俺はここらでひとつ、連中が尻尾を巻いても逃げていいような条件を加えてやることにした。


 俺は更に魔力を高める。

 ふぉ~~おぉお~~高まれ俺の魔力よ~~。


「……いくぜ、これが俺のチートスキルだ!」


 何故なら今の俺なら理解出来るのだ、このゴーレムクリエイトというスキルの真の力がな……本物の億エルフの力を見せてやる。

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