第42話

「……あ? 今なんつったこのチビ」


「この育ちの悪いチンピラがと言いましたが何か? あっもしかして聞こえませんでしたか~~~?」


 俺はリカラとかいうチンピラとんがり帽子に喧嘩を売った。

 額に青筋を浮かべながらただでさえ悪い目つきを 更に悪くして強盗にでも来たろくでなしみたいな気配を纏っている。


 俺を睨らむとんがり帽子、隣のインテリ風はオロオロしている。


「人が優しくしてりゃ 調子に乗りやがってこのクソガキが……」


「クソガキじゃねぇって何度言えばわかるんだ? まさか言葉が理解できてねぇのかお前は……人の姿を魔法で真似たお猿さんなのかな? 躾のなっていないメス猿さんよぉお~~」


「てってめぇ…いつまでもアタシが手出さないと思ったら大間違いだからな?」


「お前に俺はどうこうできるってのか~~? 全身から三下臭を振りまいてる雑魚虫が笑わせんじゃないよ~」


 俺ととんがり帽子は無言でにらみ合う、隣のインテリが「こんな口の悪いエルフは初めて見た」と言う、そして「リカラはいつも通りだけど」という言葉を言ったが俺たち2人は無視した。


 そしてとんがり帽子の気配が変わる、おそらく魔法を使おうとしているな。


「おっおいリカラ本気か!? 相手は子供なんだぞ!」


「知るか! ここまで馬鹿にされて引き下がれるかってのよ!」


「ハッ! お前らみたいな連中の対処法をこの俺が何も持っていないと思っていたか? 甘いんだよ、俺にはあるんだ相手がどんな奴である社会的地位というものが最低限ありそうなやつだったらそれをぶっ壊す方法がな!」


「上等だよ、やれるもんならやって見な!」


「リカラお前本気か!? 辞めろ馬鹿!」


「うるさい、喧嘩売ってきたのはこのクソガキなんだよアタシは舐められたくないんだ。あいつに魔法で目にものせてやる!」


 良いぞ良いぞもっと怒り狂え、俺はさらなる言葉で煽った。


「そうなクソダサいとんがり帽子かぶってるようなやつの魔法なんて何も怖くないね」


「てめえ人が師匠から受け継いだ由緒あるこの帽子を……絶対に許さねぇぞ!」


 そんなダサい帽子を受け継ぐんじゃないと言ってやった方が親切かな、まあいいや。

 食らえ、これが幼女のみ許された相手の社会的地位を叩き潰す必殺の奥義……。


「フレッゾの街の皆さーーん!この人たちは今、私にスカートをたくし上げて履いてるパンツを見せるように強要してきましたよーーー!」


 俺は言葉を続ける、2人は死ぬほど驚愕した表情を浮かべた。


「ちなみにそっちの白髪の男の人は お金を払うから 私が履いているパンツを売ってくれと人気のないところで頼んできましたよーーー!」


 ふふふっこれが俺が持つ最強の切り札の1つ。強制ロリコン認定の刑である!

 目の前に幼い幼女がいてその幼女が指さして自分がイタズラされそうですと言えば大抵の者はほぼ言い訳すら出来ないだろう。


 電車の痴漢と似たようなもんである、その場の全てを見た人間でもいなければ真実の解明などしようがない。


 ちなみに設定としては建物の裏手で変態行為にさらされたら子供がここまで逃げてきて公衆の面前で真実を暴露したという感じである。


 フレッゾの街の人々が怪しい2人組を見る視線が完全にゴミくずを見るようなものに変わった。

 うろたえる2人組、周囲の人間はさらにひそひそと会話をする。


「なっちょっちょっとまっくれ! 違う誤解だ!」


「アタシらがこんな糞みたいなガキに何かする分けねぇだろっ! 頭おかしいのかお前らーー!」


「リカラ、お前は少し黙っててくれ!」


 こういう時は何を言っても無駄だそしてろくでもない話というのは広まるもの。このスーパーチビエルフさんを敵に回した時点でお前たちの負けなんだよ。

 ヒィーハァーーー!


 俺は心の中で会心の意味を浮かべながら 社会的地位を失った怪しい負け犬2人組を見ていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る