第41話

「……そろそろ昼くらいか」


 太陽が空の高いとこへ登ってきた、ゴーレムたちによるリザードマン殲滅作戦を開始しておそらく数時間は経過しているだろう。


 ゴーレムの目を通して戦況を確認したが基本的に こちらが一方的だった。

 少々やりすぎかもと思ったが向こうはフレッゾの街を滅ぼそうとしている連中なので容赦をする余裕はない。


 弱肉強食というやつだ、すまんのリザードマンたちよ。現在集落を潰した数は5つほど、それぞれ数十体のリザードマンがいた。


 ミロットが予想していた以上の数がいたことになるのだろう。やはり先手を打っておいて正解だった俺自身は何もしないのだがとにもかくにもゴーレムたちの活躍によりリザードマン軍団がフレッゾの街を襲うという可能性をかなり下げることができた。


 少なくともこれで今日や明日に夜逃げするなんてことはしなくても大丈夫だろう。


 俺は意気揚々とフレッゾの街へ帰ることにした。


「……あっ採取依頼のこと忘れてた」


 仕方ないので採取依頼をしてから帰るか、そしてたまには自分の力だけで黒紋蜥蜴をゲットしてやろうと気まぐれを起こした結果……夕方まで掛かって結局俺では捕まえる事が出来ず、チビエルフは色々な自信を失う事になるが、それはまた別の話だ。



 ◇◇◇◇◇◇



 その日の夜、ミロットたちにリザードマンの方については問題なく対処できたことを伝えた。

 ミロットのやつも口にこそ出さなかったが心配していたのか安心した表情を浮かべていた。


「そうか、本当に大したものだなゴーレムと言うのは」


「おいっその俺自身は何もしてない事を前提に話を理解すんなよな、まあ実際に何もしてないけど」


「本当に君のゴーレムって異常だよね~~」


「うっせ」


 プライムはスライムなので表情は分からん、いつも通りプルプルしていた。

 今日もミロットのアトリエで晩御飯を食べた、無論作ったのは俺のゴーレムである、あの白いバイラスゴーレムな。


 故に俺がご飯をご馳走したとも言えるだろう、まあ俺は自分の手柄をしつこく主張する事はしない身体はチビでも器は大きなチビエルフさんなのでそんなことはどうでもいい。


「それじゃあ俺は行くところがあるから」


「分かった、道中は気をつけるんだぞラディア。少なくとも端から見ればお前は子供に見えるんだからな?」


「おかん発言有り難く受け取るよ」


「おっおかっ!?」


 ミロットは目をくわっとしていたが無視してアトリエを出た。

 お腹いっぱいになった俺は気分もいいので今日は シャワーを浴びに行くことにした。


 この世界には魔法というものがあり魔力を原動力にした数々の魔道具がというものが存在する、その魔道具がこの荒野みたいな不便な場所での人間の生活を支えている。


 そんな魔道具の中には水を発生させたりその水をお湯にすることができる魔道具というものがあるらしい。


 さすがに銭湯みたいな大量のお湯を生み出すことは出来ないがシャワーくらいだったらこの街にもあるのだ。

 お値段は少し高めだから毎日というのはできないのが玉に瑕だが、それでも綺麗好きな俺はこのシャワーに 2日に1回は来る。


 俺は鼻歌を歌いながらそのシャワーの魔道具は設置された湯浴み屋さんに行った、するとそこで出会ってしまったのだ。


「なっ!? お前たちはっ!」


「……ん? なんだこのエルフのガキは」


 そこにいたのはとんがり帽子を被った目つきが悪い黒髪女と白髪のインテリ風の青年だった。

 そうっあの怪しい2人組である。


 どうしてこいつらがここに……そういやあのリカラって女のとんがり帽子はシャワー浴びていたわ。

 少し考えればわかることだったぜ、俺は少し抜けている部分がある。反省だ。


 そしてそれは今初めて会ったはずのこいつら相手にまるで知っているかのような反応してしまったことも含まれる、再び反省である。


 とんがり帽子は相変わらずのチンピラオーラ全開で不躾な視線を俺に向けてきた、インテリ風も来て何やら話す。


「リカラ、お前エルフの子供に知り合いなんてしたのか?」


「いないわよエルフに知り合いなんて、おいチビどっかでアタシて会ったことあるの? アタシはアンタ見たいな小生意気そうなガキと知り合った記憶とかないけど?」


「リカラ、またそんなケンカ腰で話を……」


「うっさい、アンタはアタシのおかんか何かなの?」


「……………」


 どうやら向こうは俺が操るゴーレムの存在にも気づいていないらしい、てか流石にあのテントウムシっぽい虫ゴーレム1匹で俺のことを知られたらたまったものでないしな。


 本来ならここは人違いでしたとでも言ったとっとと逃げるのが正解である。

 ……しかしこのとんがり帽子のあまりにもひどい 口の利き方といい態度といい、色々と鼻につく。


 俺は俺に対して舐めた態度や言動を取ってくる連中には躊躇なくそれにふさわしい対応をするとこの世界に来てっ生きていくと時決めた時に決めたのだ。


 素で対応してやる。


「………流石に10代の小娘にガキだ何だと言われるの気分が悪いんだが?」


「………何だって?」


「あっそれともお前さんの実は結構年食ってんのか? どうでもいいけどさ、そのゴロツキだかチンピラみたいな口のきき方どうにかした方がいいぜ、育ちの悪さが透けて見えてむしろ可哀想なんですけど~?」


 俺は他人を悪く言うときは自分の事は全て棚に上げて物を言える男(心はな)、だから今回も自分のことを全力で棚にに上げてとんがり帽子に暴言を吐いた。

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