第36話
少ししょうもない茶番があったがインテリ風がした説明を要約すると、どうやらあの怪しい2人組はリザードマンたちと利害関係が一致する謎の組織の下っ端らしい。
そしてリザードマンたちはフレッゾの街の人間、特に冒険者を目の敵にしているそうだ、まあ基本的にこの街で活動する冒険者はリザードマンを見つけたら倒すからな。
当たり前だがそれはリザードマンからすれば同胞 を襲う人間たち強い恨みを持っているというわけだ、 そしてあの二人はやはり人間ではないらしい 見た目は完全に人間だし肌の色も普通に人のそれなのだが魔法か何かで変身してるとか。
そんな人外同士はフレッゾの街の人間が知らないところは手を組んでフレッツの街を滅ぼそうと企んでいた。
何でもあの怪しい2人組が所属する組織のヤツらがリザードマンたちに力を貸しているらしく この荒野に生息するリザードマンたちはすでにフレッゾの街を滅ぼすための行動を起こしているらしい。
おそらくあの邪悪な魔法使いみたいなやつが群れを率いる能力を持つ上位個体なのだろう。
この荒野中のリザードマンたちを支配することができるような存在なら確かにフレッゾが街を滅ぼすくらい可能なのかもしれない。
あるいはそこまではなくてもあの怪しい2人組はリザードマンたちにフレッゾの街を滅ぼせるだけの力を与える手立てを持っているのか?
この街で寝泊まりするチビエルフとしては冗談じゃないというのが本音だ。
こうなったら今日中に荷物まとめてフレッゾを出るしかないか?
正直リザードマンたちがどれだけのもんか知らないが大規模な戦闘とかになってそれに巻き込まれたら俺自身の命も危ない、だって俺はゴーレムをクリエイトするしか能がないか弱いエルフちゃんだからだ。後ろからの支援をする立ち位置に撤するぜ。
ゴーレムを自由に使えない街での戦いは怖い、ゴーレムを自由に使って悪目立ちすればそれはそれで禄でもないことになる可能性も考えるとどのみち面倒だからな。
そうなる前に逃げるというのも作戦としてはありだと俺は思う、しかし短い間でもこの街で生活して この町に住む人間たちとも多少なりとも面識を持った俺だ、このまま何も言わずにおさらばするというのは流石に気が引けるのも本音だった。
「う~~どうすればいいんだ~~?」
「何か悩んでいるのかラディア?」
「……実は」
話しかけていたミロット、それと近くにいたプライム、 一緒に食卓を囲っていた2人に俺はリザードマンのことについて話した。
俺一人で抱えられる悩みではないからな、こういう時はさっさと他人に相談をして意見を聞くというのが手っ取り早く解決策が出たりするんだ。
……まっ解決策なんて全く出ない時もあるけどな。アテにはしてないよとか言うとミロットあたりは拗ねそうなので言わんけど。
「まさかそんなことになっているとはな…」
「ラディアってどこにでもゴーレムも放ってるよね ~プライバシーって言葉知ってる?」
「お前のランプの中にも小っさいクモのゴーレムを 仕込んでやろうか?」
「やめてよ、このランプの中は僕のプライベートルームなんだから!」
バカなやり取りをしている俺とプライム、しかし当然ながらこのフレッゾの町にアトリエを持っているミロットはかなり難しい顔をしていた。
「お前が言う怪しい2人組もそうだがら魔法使いの格好をしたリザードマンと言うとリザードマンメイジか? リザードマンメイジくらいならさして脅威ではないが、もしそれ以上の上位個体ならリザードマンの100や200は簡単に従えるだけの支配力は持っているだろう」
「フレッゾの冒険者ギルドで対処はできるのか ?」
「フレッゾの冒険者ギルドに登録している冒険者はせいぜい数十人、街の兵士たちを入れて200人に届くかどうかくらいだろうな。戦闘になればかなりの数の犠牲者が出る。その上で勝利できるかどうか微妙なところだ」
日頃ゴーレムも使ってやってることだからわかるけ、 数の暴力って本当にとんでもない力なんだよな。
リザードマン200体でこの街がピンチか。いやっ確かにリザードマンってゴーレムたちが余裕で狩ってるの見てばっかりだから忘れがちだけど、結構怖いし強いもんな。
……………。
「プライム、俺は一つ考えてることがある」
「奇遇だね実は僕もこの状況をどうにができる唯一の方法を考えついたところさ」
俺とプライムはお互いの意見を同時に口にした。
「もう今日中に出発しちゃうか」
「もう今日中に出発しようよ」
「ふざけるなお前ら! 特にラディアは戦える能力あるんだから少しはこのフレッゾの街を守るために 何か考えろ!」
ミロットが怒りながらツッコんでくる。てっきりコイツなら脱出に納得するかと思っていたのだが、もしかしてこのフレッゾに友達とかいるのか?
いやっまさかな…。
「たくっ面倒くさいけど……仕方ないか」
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