第33話

「あー、今日もお腹空いたな」


 時刻は日が暮れて夜。ミロットの家の掃除にだいぶ時間を使ってしまった。現在はミロットの自宅では俺がクリエイトしたゴーレムが夜食を作っている。


 片付けの時に夕方近くになって、もうゴーレムにやらせようと決めてからは汚部屋の片付けもパッパと進んだ、最初は土やら岩で出来たゴーレムがアトリエに入るのを嫌がったミロットだが小さめのゴーレムならという条件で許可を貰ったのだ。


 まあ数は軽く百は越えて用意したけどな。

 数の暴力で瞬く間に部屋が綺麗になるとミロットも文句を言わなくなった。


 その後、このゴーレムたちは炊事洗濯も出来ると話すとならば夜食をっという話になったのだ。

 調理の間が暇なので俺はフレッゾの街に放っているゴーレムと視界を共有しながら散歩していた。


 モンスターを小さくしたやつとは違い普通の小さな生き物を元にしたゴーレム、そいつらならとんでもない数を一カ所に集めたりしなければ目立つことはない。


  町の外でも中でも俺のゴーレムは活動している、別に仕事をゴーレムに丸投げしたせいで暇になったから暇つぶしにゴーレムを作りすぎちゃって町に放し飼いにしているわけではない。


 これはあくまで必要なことなのだ、ほら異世界に転生とか転移してきた人間が街で活動してるといきなり訳のわからんトラブルとか向こうからやってくるもんだろう、異世界テンプレだ。


 そういうもののフラグを見逃さないように。にちやゴーレムたちを使って怪しそうな奴がいないから見張っているのである。


 フレッゾの街の中でどんなフラグが立つのかは知らないが、まあやっておいて損はないと俺の異世界ラノベマニアの勘が言っているのだ。


 俺は冒険者ギルドや飯屋以外を利用することはほとんどないからな、怪しいヤツらが余所にいたら見逃してしまうしな。

 基本的にフレッゾは冒険者の街って感じの街だ。


 冒険者が冒険者ギルドで依頼を受けて依頼を達成することで街の経済を回す仕組みが成り立っている街だ。だから余所から怪しいヤツらがきても冒険者ですと言えば普通に中に入れる、俺みたいなチビエルフでも普通に入れたしな。


 そんな無駄に懐が深いフレッゾの街の中をゴーレムで観察する、特に問題らしい問題もないか。

 仕方ないのでフレッゾの外、荒野の方に配置してるゴーレムたちと視界を共有してみよう。


 荒野に配置しているゴーレムたちは基本的にフレッゾからかなりに距離を置いたところで活動させている。

 フレッゾの冒険者たちが基本的に活動するのは街からあまり遠くない範囲である。だからそんな冒険者とゴーレムがバッティングしないようにコンドル ゴーレムを使って周囲の索敵も行っている。


 ゴーレムたちの活動範囲を確認しながら基本的に採取依頼を受けてゴーレム達はその依頼されたものを集める、採取するのが仕事なわけだな残念ながら ここはモンスターが無駄に多い世界だ。


 特に危険なモンスターがな、ギルドで話に上がってる妙に数が多かったりフレッゾの街の近くで活動が活発になっているモンスターとかの噂話を俺は耳に入った場合はゴーレムを使いそいつは討伐したりしている。


 本来なら素材とかも持ってきて欲しいところなんだが街で基本的にダラダラしてる俺がそんなモンスターの素材を持ち込んだら無駄に目立つのでそこらへんは自重しているところだ。


 ちなみに最近の冒険者ギルドで噂になってるのはリザードマンだ。この荒野にはリザードマンの集落が点在しているらしい。


 基本的にはそこまで多くの群れを作ることはない リザードマンだが群れを率いる上位個体が生まれた場合などはそうではないらしく、その場合は途端に危険度が跳ね上がるそうだ。


 そういう個体が現れる前にリザードマンを見つけたら基本的に倒してその数を間引くというのもこのフレッゾで活動する冒険者の仕事らしい。


 俺も異世界にきた当初にリザードマンには殺されそうになったので奴ら躊躇なく倒す。

 リザードンゴーレム やサゴンゴーレム たちを使ってリザードマンを見つけたら 基本的に倒すように心がけている。


 もしも荒野を探索する途中で集落を見つけたらゴーレムだけで倒すべきか、それとも冒険者ギルドに一報を入れるべきか。そこについては少し悩んでいる俺だ。


「よしっそろそろゴーレムたちの夜食も完成してるだろ、ミレットのアトリエに行くか」


 来た道を方向転換しアトリエに向かって俺は歩き出したその時である 。


「あぁんっ!? やんのかてめぇ、喧嘩なら買うぞオラァッ!」


 なんだなんだ?

 何やら男がだいぶ機嫌の悪そうな声で怒っている。

 声のした方を見ると大柄な男3人が男女の2人組に絡んでいた。


 男3人の方は冒険者だろう、一応武装している、ただ見た目を言えばチンピラだな、あるいはごろつきか。


 そして男女のペア の方は共に結構若い、2人とも 10代後半くらいに見える。男の方は白髪とオレンジ色の瞳の眼鏡。インテリな気配を感じさせ運動とかは苦手そうな若者だ。


 女の方は魔女がかぶってそうなツバの広いとんがり帽子をかぶっていて、艶のある長い黒髪と青色の瞳を持つ気が強そうな女だ。


 ともに服装はなんとなく魔法職を連想させるローブを男が、そして女はマントをそれぞれ着ていた、更に女はミニスカート着用者である。


「ハッ! 気安くアタシに声を掛けてきたのはお前らだろう? 相手にしなかったからってキレてんじゃねぇよ三下の雑魚冒険者が!」


 やたらと口の悪いな、とんがり帽子のミニスカ女。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る