第四章 怪しい二人組

第32話

「いけーチビクロ!」


 人型で黒い子供サイズのゴーレムがリザードマンに接近する、リザードマンが手にした槍でチビクロを攻撃するがチビクロはそれを難なく回避。


 そしてチビクロの頭が黒から紫色に変化し光った。するとリザードマンはとくに攻撃を受けたわけでもないのに倒れた。


「ふうっまさかチビクロがここまで使えるとはな」


 チビクロは強かった。最初はフレッゾまで戻ったら素材に戻そうと思っていたのだがミロットのヤツがゴーレム化した今なら素材となった毒針の力も発揮出来るんじゃないかと言われたのだ。


 物は試しとフレッゾの外の荒野でコンドルゴーレムが発見したリザードマンと闘わせてみたらご覧のとおりである、コイツは素材じゃなくて護衛として俺の傍に居てもらうか、白いバイラスゴーレムと同じ立場だな。


「よしっ検証もすんだしフレッゾに帰るか!」



 ◇◇◇◇◇◇



 フラッゾな街に来て約1ヶ月ほどが経過した。

 俺は相変わらず冒険者として冒険者ギルドから依頼をもらい日々の生活費を稼いでいた。


 南に抜けた先の砂漠に向かい、どっかにあるダンジョンを目指す。という目的を得たはいいがこの世界には車もなければ飛行機もない。

 よしっ行こうとなっても直ぐには行けないのだ。


 移動に時間かかるということはそれだけ金も手間もかかるということ、水も食料もいるしやっぱり先立つものは金って事だ。


 というわけで現在の俺はお金を貯めている途中である、ゴーレムも自由自在に生み出せる俺なので移動に際しての人件費などは問題ないのだがどうしても食料関係がネックだ。


 ナビはプライムに任せるということまでは決まったのだがどういうわけかミロットのヤツももついてくると言い始めたのだ。


 俺が渋い顔するとのやつは……。


「最後の罠は私が教えなかったらお前は死んでたかもしれないんだぞ、ダンジョンについても私もそれなりに知識はあるつもりだ、ついて行っても邪魔になるつもりはない」


 といつものクール女子発言、確かにスライムとチビエルフな俺だけでダンジョンに行ったとしてもダンジョンとやらを攻略できるかどうか分からん、何しろゴーレムの力技しか俺に頼れるものがないからな。


 その点博識なところがあるミロットは確かに頼りになるというのは事実だ。

 ただ何でそんなにダンジョンについて行きたいのかという話をすると。


「前人未到のダンジョン、あの砂漠にそんなものがあるなんて話は聞いたことがない。そのプライムの話が本当なら私もこの目で見てみたいんだよ」


 だそうだ、相変わらず好奇心が服着て歩いているようなやつである、或いは好奇心の化身だな。


 というわけで一緒に来る人間が増えたので旅の路銀もまた増加した、結果として俺は未だにフレッゾの街で冒険者をしているわけだ。


 ただし俺はかつての俺とは違う。ゴーレムを自由にクリエイト出来る俺はその便利さを今はかなり理解しているのだ。


 そして俺は街の外には殆ど出ていない、その理由こそゴーレムである。

 ゴーレムのバリエーションだが今のところそこそこ増えた。馬や犬や猫あとは昆虫だとかの前いた世界でも普通にいた生物に似たような生き物がこの世界にもいたからな。


 そういうやつらのゴーレムも出せるようにしたのだ、 俺はゴーレムだけは好き放題にクリエイト出来るのでそのゴーレムたちにフレッゾの街の外での仕事を任せているのである。


 モンスターの討伐依頼とかは流石に目立つのだが 黒紋蜥蜴こくもんとかげをはじめとした採取に手間がかかるけど高値取引される獲物を対象とした採取依頼とかを受けてそれをゴーレム 取ってきてもらうのだ。


 そして採取したものを入れておくカゴなどを事前に渡しておく、それに採取したものを入れて後はコンドルゴーレムでも使って真夜中に城壁を越えて俺の元に持ってくれば依頼完了というわけだ。


 おかげで俺は町から一歩も出ることなく少しずつだが確実に依頼を成功させ貯金をしているわけだ。


 そして現在、ゴーレムに仕事を任せて俺自身はまた別の仕事をしていた。

 その仕事とは。


「わーーーっ! なんだよこれっ! 汚ったねぇなっ!  おいミロット、この部屋にあるもん全部捨てちゃダメなのか!?」


「ダメに決まっているだろう、それでは全て研究資料なんだちゃんとまとめて整理整頓してくれ、じゃないと報酬は払わんぞ」


 そうっ俺は今ミロットのアトリエ宅でお掃除のアルバイトをしていた。

 なんとミロットのやつは片付けられない女だったのだ!


「本当にお前は見た感じしっかりしてそうなのになんでこういうところは抜けてんだよ」


「人を見かけで判断するお前が悪い、私は研究で忙しいんだ。掃除なんてする時間はない」


「しろよっ! お前ん家だろうが!」


 俺がぷりぷりと憤慨してしているとミロットはプイっとそっぽを向いた、こいつめんどくせぇな。


「ラディア~これ僕も手伝う必要あるの~?」


「当たり前だろ俺が金を貯めるためなきゃお前のナビも役に立たないじゃないか、ナビで役に立つことができないんだったら他のところで何かしら役に立てや」


「えぇ~~僕は力仕事とか向いてないんだけど~」


 とか言いながら魔法か何かで触れずにゴミの山を解体していくプライム、俺もエルフな筈なのにああ言う便利な魔法は使えないのかよ。


「文句言うなし、働かざる者食うべからずなんだよ!」


 そんな感じで日が暮れるまでミロットの馬鹿が放置してた家のゴミを片付けていた。

 ちなみに俺も人のことは言えないタイプの人間だったが、それはそれとして部屋は綺麗に使ってほしいもんである。

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